常陸国の人。天平勝宝七歳(755)二月、防人として筑紫に派遣される。
【通釈】足柄の御坂を通して頂いて、振り返ることなく、俺は越えて行く。強い男でも立ち止まってためらう不破の関を越えて、俺は行く。馬の蹄(ひづめ)がすり減って尽きると言う筑紫の岬にとどまって、俺は身を浄め神に祈ろう。みんな無事でいてくれとお祈りする。帰って来るまでは。
【補記】「足柄の御坂」は足柄峠。相模国の西境であり、狭い意味での東国からの出口に当る。「不破の関」は岐阜県不破郡関ヶ原町にあった関。近江・美濃国境に当り、東山道の要所。
更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日