マイホーム建築記

− ソーラーサーキット工法で建てたマイホーム −

第1章:初めに

 「家が欲しい」。カミさんからそう切り出されたときには正直うろたえた ^^; そもそも家を建てるなんて今まで考えたことも無かったのだ。ただ漠然と「もし家を持つことができたら庭には金木犀と沈丁花を植えたい」・・・程度しかイメージしていなかった。.それに一般庶民にとっては「家を建てる」=「多額の借金」である ^^;。今まで会社を何度も渡り歩く自由を謳歌してきた私には、これでほぼ一生今の会社に縛られることを意味する。これはかなり覚悟がいる ^^;。しかしながら、やはり男と生まれたからには一国一城の主となってナンボであろう。ハラを決めて家を建てることにした(実際はカミさんに負けたのである。トホホ。)

 ようやくハラは決まったものの、当たり前だが土地が無ければ家は建てられない。望む土地などそうそうすぐに見つからないのが普通だろうから、それまでにいろいろと勉強したり、間取りを考えておけばいいか、などど安易に考え、都市公団の分譲区画に応募したり(これは結局ハズれたが、後々ラッキーだった)、近くの不動産屋を回って希望の場所と金額の物件が出たら連絡してもらうことにした。(2001年11月中旬)。ところがなんたる神様のイタズラか、たった2週間後の11月末に不動産屋から連絡が入った。聞けば物件の場所は文句無し(というか最高のロケーション)、金額も一帯の相場通り。ほとんど即決で購入を決意し、その日からドタバタな勉強と金策が始まることになった ^^;


第2章:工務店探し

 さて、土地が手に入れば次は建物である。家を建てるにはまず工法を選ぶことになるわけだが、家などハナから考えていなかった私にはどの工法で建てるべきか皆目検討が付かなかった。しかしながらカミさんはだいぶ前からアタリをつけていたらしく、カミさんから一冊の本を手渡された。それが「いい家が欲しい」なる本。内容にはだいぶ重複が多いものの、外断熱・2重通気工法の利点が紹介されており、従来の内断熱工法よりはるかに優れた工法に思えた。この外断熱2重通気工法は(株)カネカ(鐘淵化学工業)が開発した工法で「ソーラーサーキット工法」と呼ばれるもの。ソーラーサーキットと聞くと太陽光発電関連か?と思ってしまうが、実際は全然関係が無く、ネーミングを変えた方が良いような気もするが、とにかく特約工務店のみで建築可能とのこと。そこで近場の特約工務店を探すこととした。

 いくつかの工務店に足を運び、また実際にソーラーサーキットで建てた方の家を見学に行ったりしながら最終的に決めたのは(株)吉建ホームさん。茨城で10年前からソーラーサーキットを手がけており、施工上様々なノウハウの蓄積が見込めることと、ソーラーサーキットならではの小屋裏の活用を提案してくれたのが決め手となった(ちなみに吉建ホームさんはアフターサービスもすぐに来てくれる、とても良心的な工務店さんだと思います)。

 ともあれ、2002年3月に工事請負契約を締結し、いよいよ本格的な家作りの開始である。



第3章:間取り

家具を配置して間取りを検討してみる
ラフではあるが外観を確認してみる

 土地購入と同時にメガソフト3Dマイホームデザイナー2002を購入し、実際の土地の形状に合わせて間取りを試行錯誤。このソフトはなかなか良く出来ていて、間取りを手軽に描けるし(ほとんどマニュアルは不要)、リアルタイムで床面積が計算されるため、法的に床面積がオーバーすればすぐにわかる。また決定した間取りを 3D化して外観を表示してくれるのだが、いろんな外壁パターンが用意されていてかなり具体的なイメージを掴むことができた。小屋裏に対応していなかったり、屋根の形状が自由に変更できなかったり今一歩のところもあるが、いろんな家具や住設パーツが標準で入っていて、家具を置きながら間取りをイメージするには便利なソフトである。
 およそ数ヶ月間を費やし、ようやく間取りが決定。幸い、土地が角地で建ぺい率に10%の緩和が適用されるため、その利点を生かし、庭はあまり取らずにそのぶん建築面積を広げることとした。角切りの部分の間取りが難しかったが、結局建築面積28坪、述べ床面積58坪(小屋裏10坪含む)の物件となった。
 間取りは、1階にリビングとダイニング、バス、トイレ、洗面所、ユーティリティー、2階に寝室(14畳!)、洋室、納戸、マシンルーム(約9畳)、トイレ、洗面所、そして3階小屋裏という構成。歳を取ると階段の上り下りが辛くなるので、将来はリビングを寝室へ転換して1階だけでも生活できるよう配慮した間取りである。
 また2階のマシンルームは私の専用部屋で、コンピューター関係の機器を収容しつつ電子工作等も楽しむ趣味のための部屋。一般には書斎とされる部屋で大抵小部屋になってしまうものだが、ここは剛毅に9畳弱を確保した (^^v。


第4章:様々なこだわり

 ハウスメーカーの家とは違い、いろんなワガママを盛り込めるのが注文建築の良いところ。我が家にはカミさんを中心に様々なこだわりを盛り込んだ。例えば

・軒を出来るだけ出す(夏の日差しを遮るため)。そのため、当初予定していた切妻の屋根は入母屋に変更
・バルコニーには日射しをさえぎるオーニング(日よけ)を設置
・玄関は目いっぱい屋根を出し、雨の日でも濡れずに出入り可能。ポストもこの屋根の下の濡れない位置に設置。
・北側も含めてすべてペアガラスの low-e ガラス採用。
・出幅 2mのバルコニー(標準だと90cmぐらい。これでは使いづらい)。横方向も極めて広く取る
・コンセントはとにかくたくさん設置。多すぎて困ることはない。
・コンセントやスイッチは車椅子に乗っても便利な高さへ変更
・電気回路を30回路程度まで細かく分割。(これにより例えば部屋のブレーカーが落ちても廊下は電気がつく等の効果あり)
・電動昇降式の物干し竿を室内に設置。
・内装、建具はムク材。腰壁でさらに木の温もりを出す
・外壁は特注の総タイル貼りでほぼメンテナンスフリーに
・アラベスク柄のステンドグラスを設置。
・マシンルームには作り付けの机や棚を多数設置。ディスプレイが見易い採光を
・将来のIT化に取り残されない(?)先行配線(後述)
・間接照明の多用
・廊下、階段は広く

等。まぁ、こんなのは序の口でもっともっとこだわりがあるが、大小数え上げればキリが無い。実際、これらのこだわりが快適さに直結しており、まさにカミさんに感謝感謝である。


第5章:着工から完成まで

ベタ基礎の周りを断熱材(白い部分)で囲む 2002/7/21、上棟
TIP工法。家全体の構造材の外側を
斜めの板で補強していく (9/29)
断熱材貼り終了 (10/13)
下地サイディング貼り終了 (11/9) タイル貼り終了 (11/28)
大工さんとの打ち合わせの1コマ (12/1) 気密測定(2回目)
完成見学会 (2/1, 2/2)

 梅雨入りも間近い6月初旬、地鎮祭を行い、翌日から基礎工事が着工。基礎断熱を行うため、ベタ基礎の周りが断熱材で囲まれていく。基礎を見る限り、それほど大きな家とは思えない。どうも壁が無いとぜんぜん広さの感覚が掴めないのだ。メジャーで測ってみると確かに図面どおりなのだが、とても小さく感じてしまう。

 基礎完成後、まだ7月だというのに台風が2個も関東を通過。かなり変な時期に台風が来たが、建築が開始してからでなくてラッキーである。そして 7/21、いよいよ上棟。やはり柱だけでは広さは未だ実感できず。

 さていよいよこれからが本番である。住んでいる家と建築現場が200mも離れていないという地の利を活かし、大工さんへの毎日の差し入れを心がけ、なるべく早く会社を引き上げて現場に顔を出すようにした。勤務先がフレックスということもあり、毎日4時頃帰宅がデフォルトと化し、回りからはずいぶんとニラまれたかもしれない ^^;。しかしマメに現場に顔を出すメリットは大きかった。窓の高さなど図面と実際では感じ方がずいぶんと異なるもので、現場を見ながら変更したり、電気配線を変更したりと大忙し。平日の夜は仕事の後に打ち合わせをしたり、土日はショールームに行ったり、カタログを見較べたりと何かと時間が必要なのだ。

 ここらへんはハウスメーカーの方が考える間もなく短時間で仕上がってしまうし、そもそもカタログ上の選択肢も限られているので変に悩む必要も無いのだろうが、注文建築では予算が許す限り何でも選べてしまう。そのぶん悩む時間が多かったが、ソーラーサーキットは施工に時間がかかるため時間的な余裕があったのは助かった。

 9/1, 9/2 は工務店主催の構造見学会。普通の工務店ならコストダウンのしわ寄せを隠すために家の内部は公開したがらないところだが、ソーラーサーキットの最大の特徴はこの内部構造にあるわけで、この工務店では構造の段階でも見学会を行うのだ。一方、施主にしてみれば一般に内部構造を公開するということは手抜き工事も行い辛くなるわけで、そういう意味で安心感がある。もっとも今回は工事の進捗が遅れて通気層の施工が間に合わず、柱と屋根が出来たに過ぎないのだが、中に入ると不思議なことに空気全体がひんやりとしている。どうやら基礎断熱がかなり効果を上げているようで、完成後の性能に期待が高まる。

 その後も大工さんがこつこつと家を作り上げていく。構造材の外側にナナメに板を打ち付けていく TIP 工法を施工し、その後に断熱材を貼る。この断熱材は商品名:カネライトフォームという厚手のポリスチレンの板。吸水性はゼロだし固形物なので、従来の内断熱工法のグラスウールのように数年経つと吸水し、自重で剥がれて役に立たなくなるということは無い。ただカットしたり貼り付けたりする手間が従来工法よりかかるわけで、当然施工に時間がかかる。実際、うちよりも後に着工した斜め向かいの従来工法の家はほぼ完成してしまっている ^^; 。が、ここは良い家を建てるためだと言い聞かせ我慢我慢。

 10/12、第1回目の気密検査。外壁を張る前に気密性をバズーカ砲のような機械で測定する。1回目の測定では若干数値が悪く、皆で気密欠損となっている部分を捜索。どうやら釘穴が1つ断熱材に空いており、そこが気密欠損となっていたようで、そこを塞いで再測定。幸い、これで数値が改善し、好成績で検査終了。これでようやく外壁工事にとりかかれる。

 11月上旬、サイディングの取り付けが始まる。このサイディングはタイルを貼るための下地なのだが、道行く人には変な色の家だなと思われていたかもしれない ^^; やがてサイディング貼りも終了し、タイル貼りが開始。3色ミックスの特注タイルを2人の職人さんが丁寧に貼っている。斜めになっている部分のタイル切断が難しかったと後で聞いたが、11月末にタイル貼りが終了し、ようやく見た目にも一人前の家となった。

 12月上旬、いよいよ内装工事が本格化。石膏ボードで壁や天井を大工さんが取り付けていく。カミさんは作り付けの棚やニッチ等で大工さんにどんどん要望を出し、理想の家が着々と完成していく。

 そして 2/1〜2/2 に完成見学会。天気は上々で来場者もまずまず。結局2日間ともカミさんと現場に詰める。施主にとっては完成見学会というより歓声見学会なのだ(笑)。ただし小さなお子さん連れの来場者には、悪気は無いとわかっていてもせっかくの家にキズが付かないかとヒヤヒヤ。完成見学会に行くなら、小さいお子さんは連れて行かないのがマナーです!!

 ともあれ、2/28に引越し。外構工事が間に合わず、玄関が使えずに不便したものの、4月にようやく完成となった。


第6章:マルチメディア住宅とマシンルーム

BOX と CD 管の様子。
上下とも CD 管だらけ ^^;
天井裏をはしる CD 管の束 ケーブルテレビの保安器、ブースター、
分配器、電話の保安器、ISDN ルーター、
光ファイバ終端装置、ルーター、ハブ、
パッチパネル、ルーター類用の無停電電源等を収容。
スペース的にはまだまだ余裕あり (^^v
LAN構成 (2004/1/8 現在) マシンルームの様子 (2003/8/17 現在)

 さて私の趣味の部屋、マシンルームであるが、マルチメディア住宅(?)の要となる部屋でもある。電話、ケーブルテレビ、衛星放送、インターネット回線(光ファイバ)、イーサネット等の各部屋への配線をこの部屋で一手に管理するボックスを設置。このボックス(左写真)の大きさはおよそ 2m×1m とかなり大きく、一般家庭ではまず設置しない大きさ。注文建築だからこそできるワガママである(笑)。後日談であるが、電話工事、光ファイバ工事、ケーブルテレビ工事,、ネットワーク工事の担当者が口を揃えて「個人でここまでやるのは珍しいですね」と誉めて(呆れて)くれた。わっはっは。

 このボックスから各部屋へ、電話回線x2、地上波テレビ、BS/CS、イーサネットの5回線をスター型に配線するわけだ。とはいっても実際にはCD管というプラスチックの配管を設置し、線は後から通線することとなる。さしあたって今回配線するのは電話x1、イーサネット、地上波テレビの3線だが、テレビ配線以外はすべてCD管を設置しておくことにする。これで各部屋に4本のCD管が通ることになり、余程のことが無い限り、配線の追加や変更で困ることは無いだろう。

 情報コンセントは1階リビングに2ケ所、1階ダイニングに1ケ所、2階の寝室に2ケ所、2階の洋室に2ケ所、マシンルーム内に2ケ所、3階小屋裏に1ケ所の計10ケ所に設置。また風呂にもテレビを設置したので、テレビ配線は11分配とかなりの数である。

 さすがにこの大型のボックス、写真左のように機器を入れてもまだまだ余裕。 BS/CS ブースターと分配器、もしくは地上波デジタル関連機器を入れてようやく満杯といったところか。

 このボックス内にはちゃんと無停電電源を入れているので、停電となっても1時間程度は外部の情報を得られる。またボックスへの電源も分電盤上では専用回路にしているので、全体のブレーカーが落ちない限りはこの部分が停電することはない。

 またこの部屋はディスプレイを快適に見られるよう採光を工夫した。CRT、液晶を問わずディスプレイを見る際には光源が背後にあるとディスプレイの映り込みが邪魔になる。かといって前方に光源(特に太陽光などのような強い光)があると目が痛くなる。そこであえて少し部屋を暗くし、天窓を2つ付けてディスプレイの真上から採光するようにした。また照明器具も真上にレールスライド式のものを付け、必要に応じて位置を調節できるようにした。

 またコンピューター関係の趣味にハマるとどうしてもモノが増えてしまうので、かなり多めに作りつけの収納を設置。ただし収納を多く取るとどうしても部屋が狭く感じるため、梁を出して天井高を上げ、縦方向で開放感を確保した。

 以上、様々な工夫を盛り込みつつ、そこそこ満足のいくマシンルームに仕上がった.特に壁に埋め込んであるボックスにはくルーターやハブのような配線がもっともゴチャゴチャする部分を収納してあるため、スッキリ度は抜群。コンセントも多めに付けてあるのでかなりスッキリした仕上がりとなった。



第7章:完成

カミさんデザインのキッチン カミさんデザインの2階トイレ
リビング ダイニング
ダイニングには120cm水槽を設置 3階小屋裏
梁を出して天井高を確保し、2つの
天窓で採光するマシンルーム
階段には特注のステンドグラス
外構工事完了後の外観
カミさんが外構をデザイン
外壁は3色ミックスタイル(特注)

 基礎着工から8ヶ月かかってようやく完成した我が家をご紹介。

 まずはキッチン。カミさんが基本デザインし、「キッチンハウス」へオーダー。IH ヒーターにミーレ社の食洗機をビルトインし、背後にはたっぷりな収納棚を確保。カミさんが悩みに悩んでデザインしたキッチンで、ベルギーレンガがアクセント。

 またカミさんは2階のトイレもデザイン。タイルを選ぶために二人で新宿のショールームまで何度も出かけた努力の結晶。ペデスタルな洗面器がポイント。

 階段のステンドグラスは璃房さんへオーダー。模様は私の希望でアラベスクとした。とても気に入っているので、いずれ余裕ができたらもっと大きなステンドグラスを入れたいと思っている。

 そしてソーラーサーキットの最大の利点、小屋裏。従来の内断熱では夏場など50℃以上になってとても実用に耐えないが、ソーラーサーキットなら30℃前後(実測値)。ちょっとエアコンをかけるだけで十分に普通の居室として使える。広さも 10坪あり、内装は白で統一。床材はラジアータパインのムク材を使用。さすがに両端部は人が立って歩ける高さではないので物置として使用しているが、天窓を2つもつけており明るさと換気性は抜群。

 ダイニング東側にはムク材の作りつけの引出しやカウンターがあり、南向きの窓からは庭のクレマチスや時計草が見える。西側には最高のインテリアたる 120cm水槽を設置。水槽台はヒノキのムク材で大工さんが作ってくれた特製品である。ここまでムク材にこだわってしまうとテーブルとて下手なものは置けない。ムク材のミズナラのテーブルと椅子を奮発した。夜は間接照明と水槽の明かりが木の温かさを醸し出す非常にムーディーなダイニングなのだ。

 一方、リビングにはソファセットとプラズマテレビを設置。この部屋には当然ネットワーク線が引いてあり、サーバーに録画してあるテレビ番組をネットワーク越しにプラズマテレビで見ることができる ^^v。将来はサラウンドセットの設置を画策中。

 外構もカミさんがデザイン。「パリ郊外のアパルトマンのエントランスをイメージした」(本人談)とのことだが、他の方にもなかなか評判が良いようだ。ゴールデンウィークに植えた植物たちも元気に育ち、ようやく人並みの庭も出来上がった。結局金木犀も沈丁花も植えていないが、それはそれで満足している今日この頃である。



第8章:ソーラーサーキットの実際の性能

 論より証拠、こんな方法で毎日温度と湿度を1時間毎に測定している。実際の温度・湿度データはこちら


最後に

 ワガママを聞いてくださった大工さん、工務店さん、職人さん、どもうありがとうございました。
そして何より、ずっと家のことを考え、素晴らしい家にしてくれたカミさんに感謝!