フィブリン接着剤(ティシール)はHIV感染と無関係

フィブリン接着剤の状況

 今回報道されたフィブリン接着剤は、オ−ストリアに本社をもつイムノ社か ら”FIBRIN KLEBER(フィブリン接着剤)”という製品名で発売され、1979年より 既にオ−ストリア、ドイツ、スイスを中心に、広く外科手術の際に臨床各科で使 用されていた。フィブリン接着剤は従来の生体接着剤と比較して、生体親和性、 接着性、止血効果等に優れたことが認められ、次第に世界的に使用されるように なり、「ティシ−ル」という製品名(直訳:組織を閉鎖する)に変更された。なお 、現在では27カ国に輸出されている。


週刊誌掲載文「専門医が告発、恐怖の新事実! 歯科治療では”いまでも”非 加熱製剤が使われている」に対しての矛盾

(1)「専門医」とする矛盾

 記事のタイトルと文中に「専門医」という文字があるが、A医師は歯科医師 でも口腔外科医でもなく単なる耳鼻科医であり、フィブリン接着剤を専門に研究 したこともない。(「この薬の存在をそれまで知らなかった」と述べている。)

(2)歯科医院で非加熱製剤が使われていたとする矛盾

 加熱処理を行っていないフィブリン接着剤(ティシ−ル)が使われていたのは 治験段階(1981年11月から1984年10月まで)のことであって、承認されたのは加熱 製剤のみである。従って、非加熱製剤のフィブリン接着剤が現在もなお、流通し ているこてゃ有り得ない。

(3)有効期限の矛盾

 かりに治験段階の製材を当該歯科医院が入手していたとしても、既に12年以 上も経過しており、有効期限は切れており、とても使用できるものではない。フ ィブリン接着剤(ティシ−ル)の有効期限は1年である。

中央薬事審議会の報告

 中央薬事審議会は、治験段階(非加熱製剤)の使用でも感染の可能性は極めて 低いとしており、その理由に次の点を挙げている。
(1)ティシ−ルは直接血管中に入れるものではない。
(2)一回当たりの使用量が極めて少ない(2〜3滴程度)。
(3)反復使用されることはほとんど無い・
 なお、厚生省が追跡調査を指示するとしているのは、治験段階で使用された 患者556人のみである。

日本歯科医師会の見解

 以上のような状況であり、現在、販売されているフィブリン接着剤は加熱製 剤であり、HIVの感染とは全く無関係と判断している。

「日歯広報 平成8年11月5日号」より

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