「との」1歳


1998年7月10日
 今日は僕の誕生日なんだって。人間の成人式くらいだとパパさんが言ってます。ごちそうを食べさせてもらって、庭でたくさん遊びました。
 この頃庭で遊んでいると白いノラ猫君が来て僕をいじめるんだけど、ママさんが追い払うために水鉄砲を買ってきました。ほんとは僕が自分で戦わなければいけないと、パパさんは教えてくれました。人間は外に出ると7人も敵がいるのに、僕は一匹なんだからって。
 僕も家の中では強いんだけどな・・・・・・。
1998年8月8日
 この頃友達が出来たので、毎朝早起きして朝ご飯とトイレを済ませるとすぐ散歩に行かせてもらうんだ。パパさんは、僕がトイレに行かないと絶対外に出してくれないので毎朝ちゃんとトイレに行きます。
 友達は近所の飼い猫で真っ白でかわいいんだ。でも人見知りして、パパさんが呼んでも僕と一緒にパパさんのところに行かないので、僕も最近悩んじゃうよ。パパさんが僕が友達と遊んでいるとき呼ばなければいいのに。
 それと、この頃気に入っている遊びはセミ採りだよ。毎朝一匹捕まえて家の人に見てもらうんだ。だって、家のあたりはねずみがいないから狩猟本能が満たされないんだよね。
 あまり毎朝捕まえてくるので、死にそうなセミを拾ってくるんだって、疑われてしまった。そこで昨日はちゃんと飛べるセミを捕まえて、みんなの前で放したらちゃんとセミが飛んだので、みんながオーって驚いていた。今度はねずみもつかまえるんだ。

1998年8月23日
 僕もこの家に来てもう1年になるんだって。初めて体重を計ったときは、キッチンの秤で計れたのに、今はみんなと同じヘルスメーターになっちゃった。この頃体重を計ってもらってないのでどのくらいになったか心配だよ。
 1年で10倍以上増えたのは間違いないらしいけど、僕は育ち盛りなんだからね。ジャンプ力だって2メーターは高く飛べるし、飛び降りるだけならもっと高くても大丈夫。毎日セミを採ってトレーニングしているからね。
 この頃、ぼくの名前が有名になってきて、ママさんが「とのちゃん」ちの「新関さん」って呼ばれちゃったんだって、パパさんと笑ってたよ。
1998年9月23日
 今までは散歩に行くとセミを採ったり、すずめを追っかけたりして遊んだんだけど、セミはいなくなったしすずめも来なくなっちゃって、独りで遊んでるのでつまんないんだよね。それで、うちのだれかに一緒に遊んでもらおうと窓のところで鳴いたりしてみるんだけど、みんな忙しくて遊んでくれない。
 パパさんなら会社が休みの日に遊んでくれるかと思っていたけど、なんだか木や、花の世話をしていてちっともかまってくれない。(ときどきなでてくれるけど)で、この間珍しく遊んでくれたら、その後お風呂に入れられちゃった。どうもおかしいと思ったんだ。
 近所にも犬ばかりで、猫の友達がいないんだ。先月仲良くなった白い猫の子もこのごろ会ってないしなあ。そんな訳でちょっと欲求不満気味。先週の雨の日に夕方ママさんの隙を見て外に出ちゃったけど、雨戸を閉められちゃって、パパさんが帰ってくるのを玄関の前で待つ羽目になっちゃった。たまたま、パパさんが早く帰ってくれたので助かったよ。
1999年3月21日
 半年も日記をサボってしまった。今まで外で遊んでもつまんなかったけど、この頃は毎朝散歩させてもらったりして忙しかったんだ。冬の間も炬燵になんか入らないで外で遊んでるよ。今はテリトリーも広がって、いろんな所を散歩しているけれど、みんなに憶えてもらったので追っ払われたりしないんだ。
 雨の日には、外に出してもらえないのでストレスがたまるよね。そんな時はうちの人と遊んでもらうんだけれど、つい夢中になって足にかみついたりして怒られちゃうんだ。この頃はパパさんにはかみつかないことにしたけど。だって、夕ご飯のとき魚をくれなくなっちゃうから。
 最近は庭のフェンスを使って綱渡りのまねをしてママさんをおどかしたりしているよ。でもこの間落っこちて爪を傷めちゃった。もう治ったけれど。
1999年4月26日
 我が闘病記あるいは闘猫記(その1)
突然ですが、僕、病気になってしまいました。尿管閉塞症なんて何だかあまり人には言えない病気なんだ。20日頃からおしっこが出にくいなあ、と思っていたんだけど26日に僕だけで留守番していたら、急に具合が悪くなってきて動けなくなっちゃったんだ。ママさんが帰って来るまで、もう死んじゃうのかな、と思っていた。すぐ、ママさんが病院に連れて行ってくれて緊急手術(おしっこを抜いてもらった)をしたので、何とか助かったんだ。でも膀胱炎になっちゃってるんで、そのまま入院になってしまいました。
1999年4月29日
 我が闘病記あるいは闘猫記(その2)
 今日、パパさんと、ママさんが一緒に来て、病院から家につれて帰ってくれました。病院に慣れていないので、ご飯も食べられないし、あまりよく寝られないので、先生も自宅療養の方が良いって言ってた。帰りの車の中で、パパさんに抱かれて寝てしまいました。
1999年4月30日
 我が闘病記あるいは闘猫記(その3)
 今日も、ママさんに病院に連れていってもらっておしっこをぬいてもらった。おしっこも家で、少しずつは出るので、毎日病院に来なくても良いって言われた。やれやれ、これで薬を飲ませられなければ良いんだけど、一日3回口を開けられて錠剤を放り込まれるんだよね。そうすると猫の悲しさ、つい飲み込んじゃうんだ。
1999年5月5日
 我が闘病記あるいは闘猫記(その4)
 パパさんが、おしっこがなかなか出ない僕のために、庭に穴を作ってくれた。それも3個所。で、しばらく座って見たんだけれど、少ししか出ない。やっぱり、家の中の自分のトイレが一番出るみたいだ。薬のせいか、だんだんお腹がすくようになってきて、ご飯を食べられるようになってきたよ。家の外でパパさんが遊んでくれた。
1999年5月10日
 我が闘病記あるいは闘猫記(その5)
 今日病院に行ったら、これからは週一回の通院で良いって。でも、病気になりにくいご飯を食べなくちゃならないって。始めはあまり美味しいと思わなかったけれど、僕の好きな缶詰ご飯にまぜてくれるので、少しずつ好きになってきた。
1999年5月15日
 我が闘病記あるいは闘猫記(その6)
 僕が病気の間に、野良猫が僕んちの庭を勝手に縄張りにしていたので、今日はちょっと、戦ってみた。そして、僕が勝って、無事縄張りを取り戻したのだ。(ここが闘猫記だよ)
著者近影

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2000.7.29更新