趣味D
作句集

2001年8月作句 

爽やかに猫が笑えば気味悪し

名月や雨戸の外で猫が呼ぶ

啄木鳥を猫がくわえて椅子におく

猫の耳を揺らして過ぎる野分けかな

秋高しピンと上げたる猫の尾や

塀の上我を待つ猫秋の風

猫の目が宵闇の中光りおり

2001年7月作句

4歳の猫の誕生日梅雨の月

涼しげに鳴く猫の声我を呼ぶ

ヒマワリの根元に猫が雨宿り

夏の朝暗いうちに猫の散歩かな

4歳で猫行水は苦手なり

2001年5月作句

病を得て猫の愛しさ増しにけり

病間にて吾を呼ぶ猫の声高し

空を掻く前足猫の春の夢

石楠花に誘われし蜂を猫が追い

若竹に背伸びの痕か猫の爪

2001年2月作句 

大雪や猫の足跡・・・

恋猫の声におびえる猫もいて

雪ダルマ頭に猫を乗せてみる

雪掻きの音に怯えて猫が鳴く

雪解けの日差しに猫が目を細め

猫が見る雪とはこんなものですか

2001年1月作句 

年玉を猫に小判と知りつつも

初日の出猫布団より這い出たり

駅伝を猫ふところに抱きて見る

初春の日差しがまぶし猫の腹

小春日に猫は走りて風になり

2000年12月作句 

風邪引きの布団の上で猫遊び

咳一つ猫が駈け来る夕べかな

風呂吹きの器を覗く猫の鼻

猫が背に枯れ菊乗せる散歩かな

猫の子を三年育て日記買う

日脚伸ぶ出窓に猫の影黒し

冬至湯に猫も無理矢理入れにけり

山茶花が開き始めて庭に猫

牡蠣食えば猫が鳴くなりそういう日

2000年9月作句

鈴虫の音に驚きて猫走る

震災忌猫を抱きて黙祷す

秋の朝モデムの音に猫目覚め

誕生日猫に秋刀魚の馳走する

我を呼ぶ猫啄木鳥をくわえおり

秋雨に濡れて窓から猫が鳴き

宵闇に猫見失い我を呼ぶ

2000年5月作句

鈴の音や三社祭を猫と見て

猫の鼻鰹の刺身を嗅ぎつける

五月雨にぬれて吾を待つ猫を抱く

新緑の庭で遊ぶや猫の声

新茶飲む我の膝にて猫ねむり

風炉手前猫もすとんと正座して

枇杷の木に猫がつめ研ぐ痕高し

2000年4月作句

沈丁花香りききつつ猫を抱く

猫がいて辛さ忘るる春の風邪

暖かき日を浴び走る太り猫

猫と入る風呂のシャワーや湯の加減

2000年3月作句

春雷の響き遠くに猫と聞き

春の陽や猫の体を伸ばし居り

徹夜あけ猫と迎える日の出かな

2000年1月作句

成人の日や猫の記念写真撮り

猫の子の成人式とて焼き魚

元日の呼び出し電話猫と聞き

初茜猫と電話の番の朝

書き初めに僕も僕もと猫の足

霜柱そろりそろりと猫が踏み

北風にまけるまいぞと塀の猫

1999年8月作句

台風の過ぎるを猫が待つ出窓

鈴虫の巣箱の上に昼寝猫

拗ね猫やかぼちゃの皮で爪を研ぎ

秋の夜に我待つ猫のいとおしき

留守番の猫をねぎらう夜長かな

庭の木に猫が登りて天高し

いつもより猫の機嫌よし秋刀魚焼く

いわし雲見上げて猫の何思う

留守番を猫と二人で終戦日

鈴の音がさわやかに鳴り猫走る

カマキリを遊び相手に散歩猫

コスモスや蝶追う猫の背が伸び

猫が育ち悪さはせぬと障子貼る

猫の耳鈴虫の音を聞きており

1998年7月作句

猫は誕生日を知らずや蝿を追い

一歳の猫を咎めし薔薇の棘

打ち水に猫と家人のたわむれり

紫蘇の葉の香を運びけり猫の爪

日盛りに猫は日陰で丸くなる

雷を聞くひざの猫あまえおり

蕗の葉や猫かくれんぼのつもりなる

我を呼ぶ蝉を捕りたる猫がおり

朝食の梅干しに猫首かしげ

夕立に入れてくれろと猫の声

猫の爪切り縁側の風涼し

猫の子やきゅうりの葉陰に隠れおり

家の猫追う白猫に打ち水し

猫の散歩青葉の庭をひとまわり

スクリーンセイバーの花火を猫が追い

梅雨寒や猫が家人の布団着て

窓に猫西日の中で長く伸び

猫の毛が飛びひや酒をかたむけぬ

行水と猫の入浴ついでなり

風涼し行水すませしわれと猫

夕立やガーデンチェアの下の猫

昼下がり猫がビールをねだりけり

猫と居てテレビの祭りただながむ

そら豆の香に猫は首傾げおり

本日は猫を相手に昼寝かな


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2001.8.4更新