前略、合成樹脂や合成繊維による静電気で、青い火花がとんだり、手にショックを受けたりする事が多いですね。これは物体の摩擦・接触・剥離などが原因で静電気が発生・帯電し、それが放電するためです。この静電気の放電が原因でAT車の暴走・タンカーの爆発・通信障害・コンピュータの誤動作などが増えてきているといわれています。

静電気の発生は昔からよく行われるように、塩化ビニールやアクリルの板から出来ている物差しを、絹の布でこすると前者には(−)、後者には(+)の静電気が簡単に発生し、乾燥したときには容易に1万ボルトを越える静電気となりパチパチ音をたてます。よく経験することですが、乾燥した日に自動車から降りて、ドアを閉めるとき指先とドアの間で火花がとびショックを受けることがあります。これは下車の直前に座席と衣服が剥離して人体が帯電し、アースされている車体との間で放電するためなのです。

 例えば帯電している人体が電子機器のキートップや筐体の一部あるいは付属のプリンタ、フロッタ等に触れて、指先との間で火花が飛ぶと、大きなインパルス状の電流が流れ、それが直接アースへ行かず回路素子や機能的な部品に悪影響を及ぼすことが多くあります。この対策としては当然静電気放電の電流がアースへうまく落ちるように、導通すべきところを確実に導通させ、また絶縁すべきところは確実に絶縁することです。さらに必要なところにコンデンサを入れることや、プリント配線板の余地部にベタアースを作るなどの方法が取られます。

静電気は絶縁体上だけでなく導電体上にも発生しますが、導電体がアースされていると静電気は地面に流れ、直ちに静電気はなくなります。

 絶縁体上の静電気はアース線が触れている範囲内では静電気が無いように見える事が有りますが、アース線を除くと静電気は残っている場合があります。これは絶縁体上の静電気は導電体・絶縁体のいずれかが近づくかまたは接触するとその方へ引張られて、あたかも除電されたように見えるからでなので、勿論離すと静電気はそのまま残ってしまいます。

 このように絶縁体上の静電気はアースして(−)と(+)の静電気を合わせても、離せば元の状態に戻り、静電気はなくなりません。これを除電する方法としては放電させること以外に方法はないので、火花をとばすような放電ではインパルス性の電磁波が発生するためこの放電をいかに穏やかに、かつ安全に行うかが重要です。この穏やかな放電を「コロナ放電」と呼びます。

日常生活において湿度の高い時期は静電気に悩まされることはあまり、有りません。これは静電気が湿度によって穏やかに放電するためです。ガソリンスタンドで絶えず散水しているのも、空気中に湿度を持たせるためであり、静電気が湿気によって穏やかに放電するからです。しかし冬期など、絶えず空気中に湿気を持たせることは困難なので、コロナ放電を起こさせるものとして各種の導電性繊維(金属細線・金属メッキ繊維・炭素繊維等)が開発されていますが十分なものは得られていません。

 我が家の猫君を抱かずに撫でると、やはり静電気が発生し、撫でた指を猫君の鼻の頭に持っていこうものなら、パチンと火花が飛び、ちょっと可哀想な状況です。何か良い方法があれば良いのですが……。

 猫が頻繁に顔を洗うのも、ひょっとしたら静電気のせいかもしれないな。これって、新説かしら?

         2002年3月23日 アンクル・ハーリー亭主人

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2002.3.23掲載