ただいま、子供たちは?ああ、今日はお稽古日か。先生はお元気かい、そうかそれはそれは、まあ、あのお年までお1人でやってこられたとは言ってもさみしい事も有るんだろうね。

 ところで、毎朝駅まで車で送ってくれるようになってから何年経ったかな。いつもありがとう。僕には忘れられない君の言葉が有るよ。僕が入院生活に入った時、病院に面会に来て、毎朝僕を駅まで送るのが君の生き甲斐だったのに、って言ってくれたね。

 子供たちを送るついでではなく、僕を送るのが君の生き甲斐だって。その言葉を聞いた時、僕の病んだ心に一筋の光がさしたような、それほど君が僕の事をおもってくれていたなんて考えもしなかったよ。夫婦なんだから当たり前、みたいな気持ちで乗っていた僕はとても申し訳なく思いました。そういう君や子供たちの事を考えて、何とか今日までやってこられた気がします。これからは少しは生活をエンジョイ出来るようになると良いね。そのためにも、早く体が全部治れば良いな。

 退院してからもう10年近くなるね。体調は良くなっているよ。毎朝送ってもらっているおかげかな。それだけに、去年の冬に甲状腺が悪くなったときはショックだったね。3ヶ月くらいでほぼ治ったみたいだけど疲れ易くなったみたいだ。

 一番の悲しいことは歌を唄う時のキーが下がったことだね。ブルーグラスのレパートリーの半分は苦しくなってしまった。メンバーの都合もあるから簡単にキーを下げてもらうわけにもいかないからね。

 今日は、だいぶ良いみたいだ。でも歩くとやっぱり決まって右の腰と左足の甲が痛くなる。これって、後遺症なのかな。このごろは忙しくて、病院に行く時間が無いけど、少しずつ軽くなっているような気がする。薬が効いているみたいだね。

 うん、本当にね、多少走っても大丈夫だし、階段の上り下りだって1人で出来るようになったよ。少しやせてきたように見えないかい?元が元だからあまり大勢に影響は無いかな。結婚した頃の体重に戻るのは無理かもしれないけど、あと5、6kgはやせたいとおもっています。運動もかなり出来るとおもうんだ。この間のボウリングでは200点を出したしね。体を壊してやっと健康のありがたみがわかったような気がする。

 これからも、朝、送ってくれるかな?

 もうすぐ子供たちとは家を出る時間が変わってしまうから、みんなで一緒にというわけには行かないけれど、もうしばらく送ってくれたらうれしいな。2人きりで話す時間もあまり無いからちょうど良いかもしれない。

 それから、もしかしたら、地方に単身赴任なんて事もありそうだから、それまではよろしくお願いします。それとも、子供も大きくなったことだし、2人で地方赴任をしようかな。どう思う?まあ、それはその時に考えようか。どこに行くかも判らないうちに心配しても仕方が無いし……。

 どっちにしても、残りわずかな年数で子供たちが家を出てしまえば、2人だけの生活になるかもしれないね。そうなったら、よろしく。

         2002年3月16日 アンクル・ハーリー亭主人

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2002.3.16掲載