前略、今週は僕の初恋の顛末を聞いて下さい。
僕の初恋は、徹頭徹尾片思いだった訳ですが、告白せずに会うことが無くなっただけで、もしあの時、正直に告白していたら案外うまくいったかも知れません。
小学校六年生の時に、同じクラスの女の子が妙に気になるようになったのです。ただ、自分のそんな感情を持て余してもいました。東京オリンピックがあった年だったので、よく僕の家で何人かの友達とカラーテレビを見ながら一緒に宿題をやったものです。
何回かあったクラスの席替えでも、私はいつも彼女の後ろになってしまうんですが、その頃はそれがひたすらうれしかっただけで、恋愛感情であったかは自分でも良く解かりません。放課後に教室で二人きりで話すこともあったけれど、彼女が微笑んでくれるだけでも僕としては充分だったのでした。
中学は別になる事は知っていましたので、小学校を卒業するまでに交際を申し込めば良かったのですが、なぜか友達関係で充分な気がして、高校は同じ学校に行く予定でもあったし、告白するのはその時でも遅くはないと思っていました。
中学2年生の時、毎週土曜日の午後に、彼女が通っている中学まで特別研究と称する化学の勉強をしに行く機会があったのです。何回かは偶然に彼女と会って立ち話をしましたが、あまり時間も無かったし、少しも進展は有りませんでした。
高校は同じ学校群を受験したものの、合格した高校が違ってしまい、高校1年の春、偶然に都電の停留所で会うまで、連絡も出来ませんでした。その後、お互いの学校の文化祭に行ったり来てもらったりするだけで、プライベートにデートをすることはありませんでした。2人とも大学受験のことが頭を占領していて、それ以外のことを考える余裕が無かったのですね。
高3の3月、深夜ラジオの大学合格者発表で彼女の名前を聞いたときに、なぜか私は自分が初恋にやぶれたような気持ちになってしまいました。大学は、お互い全くの逆方向へ1時間以上かかるところへ通ったので、利用駅も違い、偶然会うといったチャンスも全く無かったのです。
翌年の正月にクラス会があったので、楽しみにしていたんですが、急に僕の方が外国旅行に行くことになってしまって、会えませんでした。もっとも、その頃には僕は新しいガールフレンドと交際していたので、かえって会わない方が良かったのかも知れません。
成人式では、彼女と久しぶりに会って、半分本気で彼女をエスコートしました。あの時が、最後のチャンスだったのですが、残りの半分の冗談の方を装って、結局、何事も無く終わってしまいました。
次のクラス会には、彼女はもう結婚していて(僕も結婚していましたが)出産予定が近いという事で欠席でした。それから、クラス会には行くのをやめにしています。「不倫」なんて言葉が頭をよぎったりするものですから。多分、考え過ぎなのでしょうが。ではまた、草々
2000年6月24日 アンクル・ハーリー亭主人