前略、I君へ、ご長男がお生まれとのこと、まことにおめでとうございます。心よりお祝いを言わせていただきます。ご結婚式にもご招待いただたおりに莫大なお祝いを渡しましたが、その後何の音沙汰も無く、吉報を待ちわびていた小生としても、祝いの杯を傾けさせていただきました。吉報がなくても杯は傾けていたのですが。

 この上は、心身ともにお健やかに育まれ、しっかりと国民年金や健康保険等のご負担をされるよう、教育等をお願いいたします。もっともその前にご自分の老齢年金が先に支給されるという噂がありますが本当でしょうか。本当もなにも貴君と小生は同い年だからしっかり、わかっちゃいますけど。

 何かわからないことがあったら(自分の子供が男か女かとか)何でも聞いてください。多分、参考になるお返事はできないでしょう。しかし、ビール券などが同封された手紙などでご質問をいただければ、万が一参考になるお返事をするかもしれません。(多分貴君のご長男は男でしょう、とか)

 思い起こせば36年ほどの付き合いになりますが、貴君は一回も僕にお金を貸してくれて、催促しないというようなことが無い非常に当たり前の人でした。顔の割には成績が良く、いつも僕の後塵を拝していました。しかし、努力とお金に細かいという性格が幸いしたのか、某金融業界で成功し、影の仕掛け人といわれるような噂が聞こえてきますが、きっと僕の思い過ごしだと思います。

 公的資金なども導入された由、そんなことより自分の給料を減らしたらどうかなどと、先日隣の人が言っていました。まあ、どうせ大した給料をもらっていないでしょうから無理は言いません。その代わりに我が家に公的資金を導入できるよう助力をお願いします。

 このところ、公的資金を注入されながら、返済する前につぶれる金融機関が多いようですが、やはり貴君のご指導が良いからでしょうか。そうやって出した使途不明金の一部でも僕に還元していただけるとありがたいものです。

 冗談はこれくらいにして(ずいぶん長い冗談です。割と本音もありましたが)、不純な気持ちを交えながらお子さんの誕生を祝おう。

 子供には未来がある。もっとも良い未来か悪い未来かは誰にもわからないだろう、きっと本人にもわからないのだろう。だからこそ生まれてくる勇気があったと言うものだ。きっと僕なら生まれるのを止めたかもしれない。少なくとも18歳くらいになるまでは生まれたくない。(学校に行きたくないからだ)

 幸い、息子さんは0歳で生まれたようだから、順風満帆の人生が待っているだろう。唯一の不安材料は父親が貴君だということだが、それにしても僕が父親であるよりは容貌に対する不満が軽減されて幸せだ。父親に似ているという一言で諦めがつくというものである。できれば母親に似ていることを祈っているよ。

 母親といえば、妻という立場でも怖いのに、母親になると我々のような気弱な亭主族は哀れなものだ。子供を昼寝させるという口実で、家事万端を父親がやらなくてはいけないような気にさせるばかりか、実際にさせられてしまう。母乳が出るということは圧倒的な強みではある。うちの妻などは母乳にアルコールでも含まれていたのか、子供たちのアルコール耐性が異常に強い。

 大事に隠しておいたワインなどがいつのまにか空になっていたりする。家族のほかには疑わしいのは猫だが、猫がワインオープナーを使えるとも思えないから、自分で飲んでしまったのを忘れてしまった可能性を除けば、子供たちの仕業であろう。

 とにかく、子供が生まれておめでとう、と言ってもこの文を読んだ貴君はきっと怒っているであろう。まあ、気にしないでくれ。君のためを思って書いている訳だから。

         2001年12月8日 アンクル・ハーリー亭主人

戻る

2001.12.8掲載