前略 日頃は格別のお引き立てを賜り感謝致しております。

 本日はついに娘の短大入試の日となりました。僕が代理受験すればどんな難問もクリヤーする自信があるのですが、問題が小論文と面接だけということで、かえって世間にご迷惑をかけるんじゃないかとも思い自重しております。受験する当人はいたってのんびりしておりまして、一昨日まで紙芝居などの制作を生徒会のボランティア活動としてやっております。

 そうは言っても、試験とじゃんけんの勝ち負けは最後までわからないと昔から言うように(言わないか)一抹の不安が無いとは言えません。特に一昨日などは休暇中の身で会社の行って仕事をしたらパソコンが2回も暴走して(本当にあたりを走り回った訳ではないが)せっかく作った文書がパーになったりしました。

 この頃は家のパソコンの設定変更に凝ってしまって、起動するとパソコンが「起動します」としゃべったり、エラーが出ると「ドッカーン」と言ったりします。会社のパソコンにはスピーカーが付いていないので、暴走してもただじっとしているだけで面白味に欠けます。もっとも、あっちでもこっちでも「起動します」の声がパソコンから聞こえたら恐いでしょうが。

 などと埒も無い事を考えていたら、今、娘が起きて来ました。

 受験の緊張感、全く無し。

 そんなに大げさに書かなくても良いんですが……。一応、交通機関のトラブルなどに対応するため、僕がくっついて行く事になっています。女子高生と怪しいひげのおっさんが腕を組んで歩いて行くと周りの人間はなんだと思うでしょうね。自分でも怪しい。

 ところで、試験が終わったら中華街で美味しいものを食べさせる約束をしているのですが、合格発表前にしようか、発表後にしようか悩んでおります。娘は、両方でも良いと言っていますが、そうはいかねえぞ。

 試験の付き添いというのは長女の高校入試以来5年ぶりになります。その時は、近所の図書館でかねてから研究していた環境ホルモンと水道水の安全性についての論文をまとめながら時間をつぶしていましたが、今回は今のところその手の研究課題にこと欠いていまして、暇を持て余しそうです。

 天童荒太の「永遠の仔」上下巻を持っていこうかとも思いましたが、何しろ重いし、だいたい全部読めるわけが無いですね。

 というわけで子供に相談したところ、お茶の先生に「くれ竹万年毛筆」というのをいただいたそうで、見てみるとカートリッジ式万年筆の先が筆になっている。ちょうど、泡坂妻夫作品「びいどろの筆」に出てきた筆の様で、これと短冊を持って行って一句捻ろうか、という事になりました。気に入った場合はまた俳句のページにアップしようかな。猫を題材に冬の句を作るということですね。

 しかし、子供が試験中にそんなことをやっていて良いのだろうかと、多少気が咎めないでもありません。例によって「まあ、言いか。」の世界です。試験会場のお隣りが曹洞宗総本山の総持寺なので、庭かなんか巡りながら発句の一時、坊さんに怒られるかな。

 あー、でも合否発表までの3日間がつらいなぁ、きっと。また痩せてしまいます、これ以上痩せると生命の危険が……(ウソですけど)

         2001年11月3日 アンクル・ハーリー亭主人

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2001.11.3掲載