拝啓、連休の出だしはまずまずの天気に恵まれ、快調に日を送られている事と存じます。

 拙者も、日曜日はS.Y.氏と、鎌倉に花を求めて散策としゃれ込んだのは良いのですが、最初の目的、円覚寺の国宝「洪鐘(おおがねと読むそうだ、しょうがねえな)」を見に行く途中の石段で早くも「僕、お家に帰りたい」的な心境になりました。一応、世間の目を気にして全然楽じゃんという様子を装いましたが、日頃のトレーニング不足が隠せません。

 私の気のせいかもしれませんが、お寺の石段は、初めの方は傾斜がゆるいのですが、だんだん急になってきて、最後は石段なのか壁なのか解らないほど急になります。ある程度上った後なので、ここで挫けると後々の人生を否定してしまいそうで(それ程のものではないが)やけくそになって登りきりました。そこには、ただデカイだけで、何の変哲も無い鐘がぶら下がっているだけでした。

 悔しいから柵を越えて鐘をついておいて、逃げちゃおうかなと思いましたが、その辺に階段の掃除をしている感心な青少年達が、そうゆう事をする奴を見張っているような気がして、止めました。200円も払って、ただくたびれに上ったのが悔しい。

 次ぎに、縁切寺として有名な東慶寺に行きました。私としては特段縁を切りたい人はいないので、あまり行きたくは無かったのですが、Y氏はもう縁切寺が恐くない立場なので、しょうがなく付き合いました。しかし、参拝料が300円だったのを見て即コースを変更し、源氏山公園まで一気に登りました。ここは階段が無かったので割合楽に登ることが出来ました。

 その後、長谷の大仏の方へ行くつもりだったのですが、大仏の都合が悪かったのか、気がついたら銭洗い弁天に着いてしまいました。そこで若い女性が、洗ったお金は鎌倉で使わないと増えないんだって、と言っているのを小耳にはさみ、鎌倉観光協会も罪深いデマを飛ばすもんだと思いました。

 銭洗い弁天の洞窟を出ると、坂を登ると大仏、下ると佐助稲荷と書いてあったので、我々は予定は予定として、今日は佐助稲荷に行こうと衆議一決して(二人だから一決し易い)行ったら、また階段。そして今度も最後は壁のような石段かと思ったら、壁でした。あまりバカもやっていられないので、昼食をとりに鶴岡八幡宮に行き、池に鯉がいるのを見て、思わず「つるおか!」(釣ろうかの駄洒落)と言ってしまい世間の冷たい視線を浴び、多少辛い思いをしました。しかしなにより、鶴岡八幡宮は参拝料タダなのが魅力です。

 昼飯を食って、ビールを飲んだら、とても幸せな気分になり、ついつい気がゆるんで眠くなりました。Y氏は亀を見つけて喜んでいるし(よく解らん人だ)、世間体もあるので、他人のふりをとっさにシカトしてしまいました。鶴岡八幡宮に参拝し、付属の美術館に寄っていこうとしましたが、何故か美術館には着かず、小町通りに出てしまいました。人生、思うようには行かないものだとは言え鎌倉の町もあまりにつれない仕打ちをするものです。最後に居酒屋に入ろうと鎌倉駅前を激しく右往左往しましたがまだ午後の2時、夕方5時から開店の店ばかりで、名残惜しく帰ってきました。今度鎌倉に行く時は、午後1時集合にしようと思います。敬具

    2000年5月1日 アンクル・ハーリー亭主人

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2000.5.1掲載