前略、これは内密の話なので、他言していただくと困りますが、長い付き合いでもあることだし、聞いてもらうことにします。
実をいうと僕は、日本人では有りません。遠い空の彼方から来た星の王子様なのです。いろいろな事情があって、東京で育てられ、すくすくと明朗快活な好青年になりました。……もう中年ですが。
もちろん、僕の使命は地球の平和を守るため(ウルトラマンのように)日夜闘うことです。この頃は主にプレステ2などを使用して悪人たちと闘っています。
まあ、冗談はともかく(存在自体が冗談ですが)みんなが平和で楽しい暮らしを送れるように、微力を尽くしている次第でございます。次回の選挙には是非清き一票を…関係無いか。
最近の不況で生活が苦しい今日この頃ですが、とりあえず食べるだけの生活はできています。星の王子様といっても、働かざるもの食うべからず、という地球の原理は否応無く適用されるわけです。それに、僕のような立場の者に対応してくれそうな組織もありません。それで、世を忍ぶ仮の姿としてサラリーマンをやっています。僕に弟がいたらサラリーセブンになるのでしょうか。まあ、一応生来の聡明さを発揮して世間にはそんな秘密がバレていないと思います。
それに、僕の好物は、キャビアや、ふかひれ、トリュフなどではなく、もやしいため、とか、コロッケ、とか、タン麺などの一般大衆食なので、あまりお金はかかりません。これでお酒も飲まなければ比較的楽に暮らせると思うのです。妻だってパートに出ないで済むのです。(涙)
しかし、この頃の地球は、地球外生命体よりも、万物の霊長などと思いあがっている人間の方が余程凶悪ですな。メン・イン・ブラックUなどでしきりと地球外生命体排除のプロバガンダをしていますが、気になります。
基本的に地球人は地球から外に出られないのに、地球外からはるばる地球まで来られた生物を尊敬しないというのは、やはり何か間違っているのではないでしょうか。よく、日本人の島国根性、などと言って国際性の無いことを批判する人がいますが、結局は井の中の蛙で排他的体質は地球人みんなが同じように持っているようです。
僕の本来の役目は、そういう地球人の排他性について、改善する事なのですが、今のところ自分の生活で精一杯です。ハリウッドスターにでもなって、啓蒙運動を始めるつもりですが、僕のキャラクターはシリアス物に向いていないので、かえって問題を複雑化しそうな気もします。
この頃の地球人は夢をなくしてしまったのか、星の王子様という僕の本体も、もしかしたら笑い飛ばされて終わり、かも知れません。
ここは1番、吉本新喜劇あたりが効果的に啓蒙活動が出来そうですね。もちろん、ただ、笑い飛ばされて終わりという悲惨な結末も無いとは言えません。しかし、正義のため、宇宙の平和と家庭の平和のため、日夜働くのがもっとも僕にふさわしいでしょう。
2002年11月16日 アンクル・ハーリー亭主人