前略、男と女がいると、そこにドラマが生まれます。あるときは喜劇、あるときは悲劇、なかなかラブロマンスにはならないのが難しいところです。
僕にも、かつては燃えるような恋をした時期が有りました。残念だったのは途中で燃料が切れたのか、さしもの燃える恋も鎮火してしまった事です。そうかと思うと、まるで煙も無いようなところで恋の火が燃え上がることもあります。本当に、男と女の現実はテレビドラマなどより複雑です。
唐突ですがつい先日、僕は恋をしました。僕は唐突に恋をするのが多い体質で、これまでも数多くの恋を唐突に始め、そのほとんどを空しく敗北したものです。人呼んで「失恋の鉄人」が私の勲章です。
閑話休題……、先日の恋の相手は人間の女性でした。(パソコンや自転車に恋したのではないことをはっきりさせておきましょう)その上、美しい人でした。この美しいは、主観的に美しいのではなく、客観的に、激しく美しいと言えるほどです。
どのくらい美しいか、というと、僕にお似合いなくらい美しいと言わずにはいられません。すなわち、完璧に美しい男女、という言葉は僕たちのためにあるようでした。
しかし、好事魔多し、と言うように、完璧な二人に恋のキューピッドはその矢を放つことを忘れてしまったようでした。二人を結ぶはずだった赤い糸はもつれ、多くの誤解と誹謗中傷を二人の周りに、生み出したのです。
ああ、僕は自分たちの美しさが悲しい。美しいことは罪なのでしょうか。(自分で読んでアホらしいが…)
二人が出会ったのは、星の降るような夜空から三日後のどんより雲の多い日でした。おまけに夕立ちが朝から降り、未明から全国的に月曜日でした。その原因は、前日が日曜日だったことに他ならないのです。
日曜日に小遣いを使い果たした僕は、仕事が終わったその足で、数ある取引銀行のうちから、唯一残高がある某銀行のATMへと向かったのです。雨の中、傘も持たずにトボトボと背中に哀愁を漂わせながら歩いていく僕を、颯爽と女性が追い越して行きました。でも、その女性はこの話とは関係ありません。
銀行口座の残高の少なさにガッカリしながら銀行を出た僕は、足を一歩踏み出したとたん、通りかかった自転車におもいきり左足を踏まれました。その痛さは、右足を自転車で踏まれたときの痛さに匹敵します。痛〜い、何すんの。と思わずこぼれた一言がその痛さを物語ります。
もちろん、自転車にはそれを運転している人がいました。いなかったら僕は自転車に説教をしなければならないところです。
ところで、非常に都合の良い話ですが、その自転車の運転者こそみなさんお待ちかねの美しい人でした。さて、ここからどの様に話が展開して行くのか、僕も楽しみですが、予定字数になりましたのでまたの機会にお話することに致します。
2002年9月21日 アンクル・ハーリー亭主人