前略、君の嘘は始めからわかっていました。君はどう見ても30歳で、未亡人で、中学生で、相撲取りには見えなかった。(当たり前か)

 いずれにしても、君には家庭があり、預金が無かった。その点は僕と同じなので君を責めることが出来ない。(責めてどうする)ただ、住宅ローンの残高で僕の方が多少勝っているようだ。(勝ってどうする)

 今回は、書くテーマが何にも決まっていないだけにここまで来て、早くも息切れがしている。毎週書くことに決めていなければとっくに止めているところだ。別に、今週の分を休んでも誰に迷惑がかかるわけではないが、そういう状況だとなお意地でも書き続けるといういやな性格が僕の美点だろう。

 今気が付いたが、美点という字は笑点という字に似ている。(だからどうだというのだ)冗談はさておき、書き出しから再度、挑戦したい。

前略、君の嘘は始めからわかっていた。君が僕を傷つけまいとして、自分が悪者になって去って行こうとしていることを……。わかっていても、僕は君を引き止めることが出来なかった。その方が君が幸福になれるなら。僕は傷ついたふりをして、君を悪く言う友人たちの慰めを聞いていた。そうして、本当に僕も傷ついてしまった。もちろんそれは君のせいではない。僕が自分で招いた結果なんだから。

 君のことも、Nのことも全てはあの時の僕たちの運命がこういう結果を呼んだという事なのでしょう。あの頃、図書館のそばのテニスコートで楽しそうにテニスに興じる君たちを見かけたことがありました。声を掛けたかったけれども出来なかった。結局、君を悪者にしてしまった僕が1番悪かったんですね。

 先日、Nに用事が合って突然電話をしたことがありました。多少緊張して、声が裏返りそうだったけれど、君はすぐに僕だとわかってくれました。僕が北アルプスの万年雪だったら、きっと解けてしまっただろうと、それくらい肩の力が抜けました。

 1度会いたいという君に、つい心にも無く機会があれば、なんて言ってしまって。機会なんてすぐに出来ちゃうんですけどね。どうもまだ気持ちが屈折しているようです。多分、君も同じなんだろうけど、少しもそれを感じさせないほど大人になっているのでしょうね。僕はいつまでも大人に成り切れていないのが残念です。

 また電話をして、君の声を聞きたい、なんて時々思ったりしています。これは、僕は自信を持って言いますが、変な気持ちで思っているわけではありませんよ。昔の、楽しかった時代を一緒に過ごした君と思い出を語ったり、今の夢を聞いてもらったり、そんな付き合いが復活できれば良いな、と思っているということです。

 風の便りで、Nとの間もいろいろあったという事ですね。そんなことまでお互い様だなぁ、なんて思うのが、あの頃の僕たち仲間同士の良いところになれればと思っています。なかなか、手紙だけでは考えていることを伝えきれません。今度、あの頃のみんなで会えれば良いですね。

         2002年6月22日 アンクル・ハーリー亭主人

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2002.6.22掲載