【民芸館】全国郷土玩具バーチャルミュージアム


和歌山県篇(2)ー2

----WAKAYAMA----



熊野古式くじら舟・大漁舟
 ひと昔前まで、那智勝浦は捕鯨で賑わった町でした。これにちなむ、くじら舟のミニチュア玩具があります。那智勝浦駅前の土産物店街の、「小倉屋」で制作・販売しています。
 この店の二階には、「くまの古式くじら舟・ミニチュア」全船団、総勢39艘が陳列されています。(頼めば見せていただけます。)
 この船団の各舟には、役割が決められていて、海上でも一目でわかるように、舟の両側面に、その役割と順位を表わすそれぞれの模様が、鮮やかな色で描かれています。
--船団の内訳--
「勢子舟(せこふね):18艘」「網舟:10艘」「持左右舟(もっそうふね):6艘」「樽舟(たるふね):1艘」「道具舟/納屋舟(なやふね)ともいう:1艘」「替舟:3艘」
 この「くじら舟」は、昭和13年に、小倉憲太郎氏が創始したもので、現在は、山本士郎・詮子さん夫妻が二代目を継いでいます。

また、この地方では古くから木舟の玩具は作られていましたが、山本さんの手により、昔の色調を取り戻した「熊野大漁舟」も制作されています。

制作者:山本士郎「小倉屋」:東牟婁郡那智勝浦町築地4-2..Tel:07355-2-0650

火祭り人形・えんぎ三猿
 「那智の火祭り」の、大松明(たいまつ)を持つ若者の形を模した「火祭り人形」。熊野路の「えんぎ三猿」を刻んだ木彫など、新しく作られた郷土玩具です。
 これも那智勝浦駅前の土産物店街で売られています。

制作者:戸田昌作「熊野工房」:東牟婁郡那智勝浦町市野々..Tel:07355-5-0269


和歌山2-2

和歌山の土鈴

作品掲載はできていませんが、県内各地の土産物としていろいろの「土鈴」が、新しく制作されています。下記はその一部の紹介です。
 ◇白浜温泉街とその近隣温泉街:
     白浜円月島土鈴・紀州てまり土鈴・椿温泉土鈴、など。
 ◇紀伊勝浦、勝浦温泉、大地(たいじ):
     吉祥鯨土鈴・めおと鯨土鈴・児持鯨土鈴
     くじら舟土鈴・いるか土鈴
 ◇高野山付近の寺院: 
     五輪塔土鈴・真田土鈴・壷坂寺観音土鈴

 

プロペラ船(廃絶品)■
 かって、新宮の名物にプロペラ船がありました。それを模した玩具のプロペラ船が売られていました。戦後、プロペラ船がウオータ・ジェット船に変ったので、この玩具も作られなくなりました。
 岩礁の多い瀞(とろ)八丁を上り下りする観光船は、スクリューが危険なため、船尾に取り付けたプロペラの動力で動く船でした。大きなプロペラの回転でたいへんやかましい船でしたが、名物の船となっていました。
 戦前に廃絶。戦後、野口泰三郎氏により一時復活したことがあります。

なぎ人形と羽子板(新宮市:熊野速玉大社)■
 「なぎ人形」は、境内にある平重盛(たいらのしげもり)手植えの神木であるナギ(梛)の木の巨木(天然記念物指定)に成る木の実を、人形の首にして作られた一対の雛人形です。
 短冊の上部には「千早ぶるくまのの宮のなぎの葉をかわらぬ千代のためしにぞ折る」と藤原定家の和歌が記されています。
 このナギの葉は、裂きにくいため、縁結びの「まじない」とされてきました。また、ナギは「凪(なぎ)」に通じるところから、海上の安全、家内円満を祈り、昔から熊野詣りの帰りにこの木の葉を拾って持ち帰ったものです。

 同社では「干支の羽子板」も授与しています。表面は赤い布張りで、下部に「干支の押し絵」が付いています。この羽子板だけは速玉大社でなければ見られない秀作と云われています。


---和歌山県篇・終り---


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(1998.7.20掲載)