ゲーム論


テーブルゲームの効能

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 近年ゲームというとパソコンや専用の機械を使ったいわゆるテレビゲームを思い浮かべる人が多いと思います。もちろんゲームはそれ以前からあったわけですが、機械を使用しないゲームはテレビゲームの陰に隠れ、目立たない存在になってしまいました。テレビゲームと区別するため、テーブルゲームやアナログゲームという呼び方をしていますが、決して無くなってしまったわけではありません。情報技術の急速な発展や答えを早く求める傾向から、ゲームの機械化も進んでいますが、そのため考える時間と人と人とのコミュニケーションを失って来たように思えます。
 テーブルゲームには、さまざまな効用があります。

・コミュニケーションに役立つ

 初対面の人と何も無い状態で会話をするのは、精神的に結構大変ですが、間にゲームを置くことにより、抵抗無くつきあえるようになります。無理に会話だけで進めず、ゲームをしながら自然と会話が進むようになります。

・さまざまな知識が得られる

 ゲームは模擬です。将棋は戦争の模倣であり、ゲームの中では、人間は政治家にも宇宙飛行士にもスポーツ選手にもなれます。ゲームは夢を与えてくれます。ゲームによって味わえない世界に浸ることができるのです。しかしただそれだけではありません。商売のゲームでは物を売って利益を出すことを、株式のゲームでは、本当の株の上がり下がりする仕組みを、わかりやすく知ることができます。ゲームは夢を与えてくれると同時に、社会の仕組みを知ることができます。

・負けを知る

 ゲームは普通一人が勝ちます。5人でするゲームは、4人が負けます。負けることは悔しいし、悲しいし、心を傷つけます。しかし、人生には常に負けが付いて回ります。受験に失敗し、失恋し、電車に乗り遅れ、特売品を買い逃がし、最終電車に乗り遅れます。負けを知って人間は考え、努力し、賢く強くなっていきます。ゲームは負けることを教えてくれます。ゲームの良いところは、ゲームで金を失っても、会社が倒産しても、競争でビリになっても何も失わないことです。
 最近は負けた子供はかわいそうだと運動会は順位をつけず、通知表もオール3をつけたりします。一時的には悲しみを味あわなくて済むかも知れませんが、結局負けに対応できない子供を生み出します。負けを知らないから、負けるとすぐにキレたり自殺したりするのです。

・決まりを知る

  ままごとや、ただやっているだけの遊びと違い、私達が行うゲームにはルールがあります。ルールを守れない人間は参加することができませんし、勝つことはできません。これによって人間は、世の中にルールというものがあって、それを守らなければ一員となることができず、また、自分勝手に周囲の意見と違う理不尽なことをしようとすれば、却って反感を買い仲間に加われないことを知るのです。

・テレビゲームとテーブルゲームの違い

 テーブルゲームには対人間の良さがあります。機械を通すゲームは、都合が悪ければ画面の前から離れたり、スイッチを切れば良く、またこちらが操作をしなければ返事は無い訳で、自分の都合の良いときに「逃げられる」便利さがあります。人間対人間ではそうはいきません。良いことばかりでなく、直接人間と向き合う、難しさ辛さも教えてくれます。それが対人間のつきあい方を学習させてくれる、人間を社会的に成長させるのです。人間とつきあうことのできない子供は、結局ひきこもりになったり、周囲とうまくコミュニケーションができなくなったりします。  「ゲームで脳を鍛える」ということが近年脚光を浴びていますが、人間対人間のゲームは上記のように電子ゲームよりもはるかに効果があります。


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