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2. きっかけ
地球帝国(IMPERIAL EARTH) アーサー・C・クラーク著
地球帝国(IMPERIAL EARTH)
アーサー・C・クラーク著
山高昭訳 早川書房
昭和53年3月31日 初版発行

はじめてこのパズルを見たのはおそらく中学生ぐらいだったと思いますが、強く意識したのはA・C・クラークの地球帝国を読んだときでした。この本の舞台は西暦2,276年(米国独立500周年の年)、主人公ダンカンが10歳の頃を回想したシーンに祖母から与えられたクリスタルでできたペントミノの逸話がでてきます。

この時、このパズルの解が2000通り以上あることを知った次第です。また、10×6のサイズに収めるだけでなく、12×5、15×4、20×3にも解があること、20×3の場合にはたった2通りの解があることも。当初、厚紙を切り抜いてパズルを作り遊んでいたが、そのうちマイコン(当時はパソコンのことをこう呼んでいた)で解けるのではないかとプログラム作りに着手。

最初のプログラムは、APPLE-][ で動いていたTL/I(Tiniy Language 1;おそらくPL/Iにひっかけた名称)という言語で作成したと思う(今一記憶が曖昧)。なんと一晩動かして、10×6の解を10個位しか解けません。これじゃあんまりだと、6502(APPLE-][のCPU)のアセンブラで書き直してみましたが、それでも5〜60個位(だったと思う)と大差ない結果でした。アセンブラの書き方が悪かったという説もある^_^;;

その後、しばらく遠ざかっていましたが、職場でSunワークステーションが使えるようになって、C言語で書き直してみました。といっても元のソースコードも残ってないので0から新たに作成です。当時はSun-3というマシンであまり早くなかった(というよりアルゴリズムが悪かった)ので全解を求めるまでは実行できませんでした。その後、コンピュータセンタの大型汎用計算機でC言語が使えるようになったのをいいことに、UNIXからの移植の調査だと名目を付けて^_^;; 移植してみると、さすがに大型機だけあって1日程度で全解を求められました。それでも結構な時間です。

その後ワークステーションやパソコンが劇的に早くなり(パズルを解くアルゴリズムを改良したことが大きいけど)、今では数秒で全解が求められる時代となりました。地球帝国には20×3に収める解を求めるシーンで、最も早いコンピュータでもかなりの秒数を要するとの記述がありますが、現在のパソコンでも瞬時に求められます。コンピュータの進歩は25年前のクラークの予測を遙かに越えています。


A・C・クラーク(Arthur Charles Clarke)
〔1917年〜2008年3月〕 英国のSF作家(晩年はスリランカで過ごす)。一般にはキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(1968年)の原作者(シナリオの方が先?)として有名。世界で最初に静止衛星による衛星通信を提唱したことでも有名。私は「渇きの海」「海底牧場」「都市と星」「幼年期の終わり」などが好きである。また、「未来のプロフィル」「スリランカから未来を眺めて」などのエッセイもよい。

  Copyright (C) Nakamura 1999-2001  

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