実はこの木に実が成るのは2度目です。小さな鉢植えの状態で我が家に
来てから6年目くらいの木ですが、4年くらい前にも同じような実がな
りました。その時は子供が採っておもちゃにしてしまったので、最終的
にどうなるか不明のままです。今回はそのままにしておくつもりです。
色付いた実をカッターで2つに割ってみたところ、厚さ0.3ミリ位の外皮の 中にぎっしりと細かい繊維が外皮から中心に向かって伸び、所々にケシ粒のような 種?が入っていました。これは、やはりベンジャミンの実と種なのでしょうか。 断面のアップ写真をとったのですが、全然アップにならなかったので掲載できません。
いったい正体はなんだったのでしょう。花が咲いた気配はないし、ベンジャミンに 花が咲くなんていう話も聞いたことがありません。花が咲かずに実がなることも 考え難いし、謎は解決しないままです。
正体をご存知の方は、メールを頂けると幸いです。
Aug 30,'96
実の正体がわかったことより、1年以上掲載していて何の音沙汰もなくて、突然2通のメールが続けて届いたことに、ちょっと驚きました。メールを頂いた方、ありがとうございました。
Nov 9,'97
NTTが主催している自然とマルチメディアの「身近な自然質問箱」に、小学校5年生からベンジャミンの実について質問がきたそうです。答えが分からずサーチエンジンで探したときに我が家のベンジャミンの記事が見つかり、私のところにも連絡があった次第です。結局、広島大学の大鹿さんが回答を寄せてくれたとのことです。
と、いう訳で以下に阿部さんから掲載の許可を頂いた、ベンジャミンの実の秘密を公開いたします。
つまり、あの実は花でもあり実でもあったということです。しかし、ベンジャミンが無花果の仲間とは、、、
ベンジャミンは、和名がシダレガジュマルというクワ科の植物で、イチジクと同
じなかまです。イチジクを漢字で無花果と書きますが、イチジクは、花は咲くの
ですが、普通に見られる花びらを持った花ではなく、実がそのままついたような
感じになっています。それを昔の人は花と気づかなかったため、無花果と書きま
した。つまり、「実がなりました。」といっているそれが花で、いわゆる花托(
花びらが付く軸の部分)が生長したものです。その中に、数個の種子が形成され
ます。
日本にはイチジクとイヌビワが同じような花を付けます。この様に花托がつぼの
様に変形して、その内側に花がびっしり咲くものを「隠頭花序:いんとうかじょ
」と言います。
ということで、花が咲かないのではなく、咲いている花があまりにも花らしくな
いので、花が咲かずに、いきなり実がなったと感じたものであると思います。
大鹿聖公
広島大学教育学部理科内容学研究室
NTT光ネットワークシステム研究所 阿部 宏
日本自然保護協会 自然観察指導員
Feb 15, '98