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 ハンダごて切り忘れセーフスイッチ (2008.10)
デッドマンスイッチ
(2008.10.26掲載, 11.3更新, 11.9更新, 11.16更新)

子供がハンダごてを使うようになり、切り忘れが心配になった。自分で使っているときもかなり意識してコンセントからプラグを抜いてる。折しも、船田戦闘機さんが切り忘れて、時限タイマーを購入したとの記事を見かけた。

デッドマンスイッチという列車の運転手や機械のオペレータなどが突然死した場合(死に至らなくても操作ができなくなった場合)に、列車を安全に停止させるスイッチがある。居眠り防止にも効果がある。定期的に生きていることを知らせないと停止させるセーフスイッチだ。

今回、これと同じように時々スイッチを押してやらないと、一定時間でオフとなるスイッチを作ってみた。ユニバーサル基板に実装し、ケースを作り始めた(2008.11.3)。完成(2008.11.16)。


回路

回路

手持ちの部品で回路を考える。いつものようにPICマイコン(PIC16F648A)を使い、残り時間を分単位で2桁の7セグメントLEDで表示(最大99分)。取りあえず回路図を書いて仕様を考える。

指定時間以内にハートビート(スイッチ操作)を送らないと電源オフ。
(1). 電源オン時には、出力側コンセントは通電しない
(2). ハートビートを送れば通電となり、指定時間のカウントダウン開始
(3). 制限時間内にハートビートを送れば残り時間は初期値にリセット
(4). 残り時間1分時にビープ音
(5). 残り時間10秒でカウントダウンのビープ音
(6). 時間切れで通電オフ
(7). 一旦通電オフになったら、電源を再投入しない限り通電しない

ソリッドステートリレー

ソリッドステートリレー

AC電源のON/OFFには秋月のソリッドステートリレーのキット(250円)を使う。PICの電源はいつものようにコンデンサを使ったトランスレス回路。

電源電流があまり取れないこともあり、またPICのIOだけで7セグを表示するためにセグメント毎のダイナミック点灯にする。7セグ+DOTで2桁、合計16個のLEDを順次点灯(同時には1セグメントのみ表示)。デューティ1/16なので輝度が心配だった。

上の回路図にあるように、7セグLEDの電流制限抵抗はコモン側(アノードコモン)にしか入れていない。

ブレッドボードで動作確認

ブレッドボードで動作確認

ブレッドボードの都合でLEDを縦に並べているが、実際には横に2桁並べる。

プログラムを書き、デバッグと、仕様の詰めを行う。クロックはPICの内蔵発振だが、十分な精度が得られる。

カウントダウンしていることが分かるように、1桁目のLEDのDOT(通常は小数点などに使う)を、1秒毎に点滅させるようにした。

ゼロサプレス

ゼロサプレス

残り時間が1桁になったら、上位桁をゼロサプレス

ブレッドボード上のタクトスイッチは、ハートビートを送るスイッチ。これを押すと残り時間が初期設定時間に戻る。現状は15分。つまり15分以内に一度はスイッチを押さないと、ハンダごての電源が切れる。

タイムアウト

タイムアウト

タイムアウトしたら、OF.(OFFのつもり)表示を行い、通電オフ。

今回使ったブレッドボートが小さくて(秋月の150円のもの)、他の部品(時間設定のタクトスイッチ、圧電ブザーなど)を載せられなかったので、ブレッドボードでの動作確認はここまで。

7セグLEDのセグメント毎のダイナミック表示が確認できたのでOKとする。

これから電源、ソリッドステートリレーと共にユニバーサル基板に載せ替えてケースに収めるつもり。適当なケースが手持ちに無いので探しにいかねば。

ユニバーサル基板に実装

ユニバーサル基板に実装

紙フェノールのユニバーサル基板をカットして実装。本体と7セグLED部は分離しケースの前面から見えるようにする。

本体側、左からソリッドステートリレートランスレス電源(黄色い大きいのが1uF,250Vコンデンサ)、PIC用ソケットが並んでいる。

7セグLEDの表面には、2桁を真っ直ぐに取り付けるためと、工作中に傷がつかないようにマスキングテープが貼ってある。

動作確認

動作確認

5VをACアダプタから供給して動作確認中。LEDにはいつものようにクリップボードから切り出したスモークグレーのプラスティック板を取り付け、視認性を上げた。

カウントダウン表示をどうするか悩む。残り時間が14分台のときに14分と表示すべきか、15分と表示すべきか?

前者だと0分台になったとき、0分と表示され時間切れのようにも見える。後者だと1分と表示されるが、1分と表示中にいきなり電源OFFになるのもどうか?


ケース製作

ケース製作

週末、町田の東急ハンズ無印良品100円ショップを廻ってみたが、適当なケースが見つからない。さすがにタッパは却下。アキバまででかける元気はでない。電子工作はいつもケースで悩む。

結局手元にあった1ミリ厚のアルミ板を使って自作することにした。アルミケース作りは、うん十年ぶり。四角い穴はハンドニブラでくり抜いたあとで、ヤスリがけ。

折り曲げてから穴を開けた方が折り曲げ時に歪まないかも知れないが、穴開けが難しくなりそうだったので先に開けた。

部品を並べる

部品を並べる

基板の外で使う電気部品を並べてみた。基板に載る部品は小さくなったが、スイッチなどの部品はでかい。これらが開けた穴に取り付けられるか確認。

手前側左から、電源スイッチLED表示パネルハートビート用スイッチ

向こう側左から、コードブッシングフューズケースコンセント(アウトレット)

折り曲げ

折り曲げ

折り曲げ機などは持っていない(欲しいが滅多に使わないので保留中)ので、バイスで挟んで曲げる。

キズにならないようにアルミのL字アングルで挟んでから、手で折り曲げる。

折り曲げ

折り曲げ

前と後ろのパネルになる部分を折り曲げたところ。このあと、左右を折り曲げる。

左右は切り口が前後のパネルに隠れるように、少し内側で曲げる。

多少、折り曲げた角が丸くなるが丁度良い感じ。久しぶりだったがまずまずの出来。

仮組み立て

仮組み立て

スイッチフューズアウトレットなどを仮止めして、基板を置いてみる。

基板の取り付け穴、ゴム足の穴などの位置決めを行い、ドリルで穴を開けた。

下地塗装

下地塗装

洗面所で800番、1200番の耐水ペーパ(紙ヤスリ)で表面を擦り、工作中にできた細かいキズを消す。水をかけながら表面を擦るとアルミの粉を含んだグレーの液体が飛び散る。水をかけないとこれが空気中に飛び、吸い込むかと思うと少し怖い。

その後、手洗い用の液体石鹸をスポンジに含ませ、アルミの粉や手垢や油汚れをキレイに洗い流し、ドライヤで乾燥。写真は、塗装の下地剤(プライマ)をスプレーしているところ。

今週末の作業はここまで。最近、工作がゆっくり進められるようになってきた。子供の頃は早く結果が見たくてもっと焦って作っていた気がする。最近は結果が予測できるようになったからか。

ケース塗装

ケース塗装

今週末(11/8,9)は小雨と曇りで気温が上がらず、肌寒い。塗装には向かないが、来週末に暖かくなる保証もないので塗装決行。

以前100円ショップで購入してあった半ツヤの黒スプレーで塗装。写真は1回目、気温が低いのでスプレー缶を室内で少し暖め、2時間くらいあけて3回塗装。

ビスの頭を塗装

ビスの頭を塗装

ビスはケースに取り付けた後で目立たないように、段ボールに差し込んでを半ツヤの黒スプレーで塗装。

今週末は塗装と、若干のプログラムの変更で作業終了。

残り時間の表示は子供の意見を取り入れて、残り1分未満の時は"0"と表示することにした。また、時間切れ10秒前のカウントダウン時のビープ音はやめて、3秒前からプッ、プッ、プッ、ポーンに変更。

ケース塗装完了

ケース塗装完了

ケースは3回塗り重ね、塗装完了。内側は塗るつもりはなかったが、エッジを塗装したときに塗られた。

写真は、ゴム足を4隅に取り付けたあと。


組み立てと動作確認

組み立てと動作確認

電源スイッチコードブッシングフューズアウトレット基板を取り付け、100V系の配線を行い動作確認。

まだPICマイコンは取り付けていない。トランスレス電源に5Vがでているか確認。さらに、ソリッドステートリレーをONにするため、100Ωの抵抗をPICソケットに差し込んで100VのON/OFFを確認

写真のハンダごては普段使っている、うん十年もの(こて先は何度も交換した)。通電状態が分かるようにネオン管が埋め込んである。子供の頃、雑誌か何かのアイデアをみて自分で埋め込み、木製の柄に穴を開けたもの。

電気系の全景

電気系の全景

動作確認が完了後、7セグLED基板ハードビートスイッチ、蓋を取り付けるためのスペーサを取り付け、PICマイコンを挿してところ。これでほぼ完成。

PICマイコンの右下にある青色のタクトスイッチが、制限時間設定用のスイッチ。デフォルトは15分で、押す度に5分単位でカウントアップ。最大95分(LEDが2桁なので)。蓋をしてしまうので、普段は変更できない。

最終動作確認

最終動作確認

PICマイコンを挿したあとで、最終的な動作確認。

15分設定のカウントダウンが始まり14分を表示中。15分で電源オフになることを確認し、最終確認完了。

蓋をする

蓋をする

ケースのは、子供が100円ショップで購入していたハンダごてスタンド。このスタンドに合わせてケースを自作した。

上面の2箇所に穴を開け、ケース側に取り付けたスペーサにネジ止めすることで、スタンド(蓋)とケースを取り付けた。

緑色のハンダごても、同様に100円ショップで子供が購入していたもの。

全景

全景

横からみた写真。

完成

完成

ようやく完成。写真は15分経って、自動的に電源がオフになったときの様子。

最終的な回路図と、プログラムです。無保証です。

動作中の様子(動画)

電源オンで、アイドリング状態。スイッチを押すと通電し、カウントダウン開始。カウントダウン中に黄色いスイッチを押すと初期値の15分まで戻るが、撮影し忘れた。

1分前にビープオン、3秒前からカウントダウンのプッ、プッ、プッ、ポーン(に聞こえないが)で、電源オフ。

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