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 電気工事士資格に挑戦 (2008.3〜10)
(2008.10.18掲載)

コンセントの場所や数が不満で前々から直したい考えていた。とくに台所とリビング。昔に比べて家電がかなり増えたのにコンセントは昭和の時代とあまり変わらないように思う。住宅建築関係の指針のようなものはないのか? あっても古いのか?

しかしコンセントを増やすような電気工事には資格が必要だ。という訳で、全くの素人だが第二種電気工事士の資格をとることに挑戦した。一応、国家試験。この資格があれば一般住宅や商店などの電気工事(正式には一般用電気工作物の作業)を行うことができる。

筆記試験はなんとかなりそうだけど、経験の無い技能試験(実技試験)が厳しそう。と思っていたら、その通りだった。でも素人が独学で2〜3ヶ月間、空き時間に勉強・練習して合格できたのでそれほど難しい試験でもないです。

少し長いですが、DIYのために受けてみようと思われる方(いないか?)の参考になれば幸いです。


受験申し込み

受験申し込み

実は昨年受けようと思っていたが、気付いたら二種の申し込み期間を過ぎていた(試験は年に1回しか行われない)。まだ受け付けが始まっていなかった一種でもいいか、と思って受験要領を見たら資格を取得するには実務経験が必要なので、諦めて今年改めて二種に挑戦。

3月中旬にネット((財)電気技術者試験センター)で申し込み、ネットで銀行から受験料(9,300円)を払い込んだ。便利な世の中になった。

試験はまず筆記試験を受け、合格者だけが技能試験を受けられる。両方で9,300円。筆記試験に落ちても、返金はない。

受験申し込み

筆記試験勉強

4月頃から時々通勤電車の中で参考書(写真左)を読み始めた。結局、勉強らしいことは通勤途中だけ。馴染みの薄い3相交流周りと、色々とでてくる数値が中々覚えられない。3相交流の問題は捨ててもいいかと思う。

筆記試験は2時間で四択問題50問を解き、30問(60点)以上の正解で合格する。60点とハードルが低いので苦手な問題はパスしても大丈夫。

受験日の2週間ほど前に受験票が届き、この頃から過去問(写真右)に挑戦。昨年分から年代を遡るように試してみる。分からない問題は悩まず適当に回答すると35〜40分程度で終わり、80点前後はとれた。学習効果で後半は少し点数が上がり80点台後半。結局6年分やってみた。これなら筆記試験は大丈夫だろう。

受験票

筆記試験当日

6月8日(日) 早めの昼食をとり、試験会場の明治大学 生田キャンパスに向かう。東京在住だが、試験地は神奈川を選択した。都心の会場にでかけるより神奈川の方が近いだろうと予想。結果として一番近い会場だった。

まだ早いかなと思いつつ小田急線の各駅停車に乗ると、高校生らしきグループが試験の参考書を開いている。駅につくと乗客の半数以上が下車した。こんなに受験者が多いのかと驚いた。大学までの道も受験者でいっぱいで警備員がでていた。

工業高校生らしき受験者や若い人が多く、おじさんは少ない。しかし、試験会場の教室に入ったらおじさんが多く少し安心(なにが)。年齢別に教室(受験番号)を分けてあるのか。会場は大きな階段教室。開始15分前になり、注意事項の説明、問題・回答用紙の配布が始まった。

定刻の13:00に試験開始。比較的簡単。過去問を解いていたので分かった問題もでた。丁寧に回答シートをマークしていたら50分位かかった。見直しと、分からず悩んだ問題をもう一度悩み、エイヤっとマークして14:10頃に退出。試験開始1時間後から退出できるので、外にでるとすでに結構な人がいた。友人同士で答えを確認しているグループを見ながら帰路につく。

教訓、過去問を多く解き、問題の傾向と自分の弱点を掴んで勉強すれば短期間でもなんとかなる。苦手な分野は諦めても大丈夫。

自己採点

自己採点

数日後、(財)電気技術者試験センターのホームページで正解が公開されたので、問題用紙にマークしておいた自分の回答と比べて自己採点してみる。

やはり3相交流関連の問題を2問間違えた。覚えられなかった数値の問題も1問間違えた。食器洗い器のコンセントの答えは納得いかない。結果として5問間違えて90点。マークシートのマーク間違えがなければ筆記試験は合格。

7月下旬の技能試験に向けて準備を始める。

工具

工具

技能試験に必要な工具を揃える。工具は持参しなければならない(貸してくれない)。

左端の圧着工具と、左から2番目のワイヤストリッパ(ホーザンのP-956)を今回購入(両方で9,000円弱だったか)。ワイヤストリッパは必須ではないが、これがないと被覆を剥くのに時間がかかりそうなので(技能試験の時間は40分と短い)購入。

定規は以前100円ショップで購入した20センチのステンレス製。ウォータポンププライヤ、電工ペンチ、マイナスドライバ、プラスドライバ、カッターナイフなどは以前から持っているモノ。電工ナイフは買わなかった。参考書やWebサイトを見ると電工ナイフを使っているが、カッターで十分そうなので。

これらを入れるナイロン製の袋も100円ショップで購入。全部入れると結構重い。

練習用材料

練習用材料

練習用の電線、スイッチなどをホームセンタで購入。こまごましたものが多くて探すのが大変。VVFケーブルは束になったものを購入(20メートルだったか)。あまり使わない線材は店員にお願いして2メートルに切ってもらう。複数の色と種類があり、手間をかけさせてしまった。

材料費は7千円くらい。結構かかる。スイッチやコンセントは試験後にもDIYで使える(合格すればだが)。とはいっても3路スイッチや4路スイッチは使うことはなさそう。線材は練習するとこま切れになるので再利用はできない。

技能試験準備

技能試験準備

技能試験の解説本を購入。技能試験は問題の候補13問が事前に公開されている(長さや線材の色、接合方法などの条件は未公開)。この中から1問が出題されるので、13問全てを練習しておけばよい。数があるから結構大変だけど。

単線図と呼ばれる図面(実際の電線は2本や3本だが、図面では1本の線で表す)を複線図にしてみたら、リモートスイッチを使う問題ができなかった。他は大丈夫。

筆記試験合格

筆記試験合格

7月上旬、ネットで合否が発表された。無事に合格。数日後、合格通知と技能試験の受験票が届く。試験場が横浜国立大学になっていた。それほど遠くないが最寄りの地下鉄の駅から結構遠い。

ちなみに筆記試験の受験者は約8万人で、合格率は54.5%だったとのこと。

このころから少しまじめに技能試験の練習をはじめた。

技能試験練習

技能試験練習

技能試験は、単線図が出題されそれを実際の材料を使って工作する。試験時間は40分

まず、単線図を実物と同じ複線図に書き直し(数分かかる)、線材を切ってスイッチなどに接続。線同士はリングスリーブと呼ばれる部品で圧着。

参考書には、メジャーで長さを測っていると時間がかかるので、自分の手や指で長さを覚えたり、電工ナイフにメモリを書き込んだりする方法が載っていたが、覚えるほうが大変。メジャーで測ってもたいして時間はかからない。

切り刻まれた線材

切り刻まれた線材

事前公開されている13個の問題を端から作ってみる。1問30分程度かかるので、連続して4問、2時間程度が集中力の限界。週末毎に少しづつ作業。結局、一回り+難しそうなモノをもう一度作ってみた。20回くらいか。

スイッチなどは何度も繰り返し使えるが、線材はどんどん短くなっていく。事前公開の問題には長さ指定がないので、短くなっても再利用して材料を節約。リングスリーブの「小」は100個入りの箱がほとんど無くなった。

技能試験当日

技能試験当日

7月27日(日)、朝から暑い。横浜市営地下鉄の三ツ沢上町駅をでると会場の横浜国立大に向かう人が目に付く。筆記試験と比べると少ないのは会場へのルートが色々あるからか、受験者が少ないからか。

強い日射しの中、重い工具の入ったカバンを肩にかけ、ペットボトル片手に20分弱歩いてようやく大学に着いた、と思ったら会場の工学部の建物はさらに4百メートル程先とのことでめげる。追い打ちをかけるように、教室は冷房が入っていなかった(-_-#

全館集中冷房なので、試験開始までには冷房が入るように学校側と交渉中とのこと。そんなの事前に準備しておけよな。係に詰め寄っている人もいた。会場の教室は比較的狭い。机と椅子は大学によくあるタイプで椅子は後ろの机にくっついてるもの。机の天板が斜めになっているので、リングスリーブなど転がってしまう。また、狭いので作業しにくい。

周りの受験者をみるとプロっぽい人も多く、工具を専用のベルトに付けて持参する人や、使い込んだ工具やプロ風の服装の人がいる。筆記試験と同様に高校生のような若い人とは同じ部屋ではなかった。

試験開始間際になって、「冷房が入らなかった場合には飲み物のペットボトルを机の上に出しておいてもよい」との案内(本来は試験に関係ないものは机上に出しておいてはいけない)。材料が配られ、注意事項の説明が始まっても冷房は入らない。このまま汗を拭き拭き試験かと思ったら、開始直前になって冷房が入った。汗はすぐには引かなかったが助かった。

問題は比較的簡単なものだった。練習でもとくに苦労はしなかった(練習時に作った写真が残っていた;上の写真)。しかし思わぬ伏兵が、、、なんと作業中にランプレセプタクルの切り欠きが一部欠けた(T_T; 問題の作業指示には、割らずに裏から配線との指示があるのでショック。これが結果にどう影響するか分からないまま作業し、15分程度の時間を残して作業を完了。

心証をよくするために?、配線をできるだけ綺麗に伸ばしたり、切りくずを集めて掃除したり、周りを見渡しながら残り時間を過ごす。終わっている人、最後まで粘る人など色々。筆記試験と違って途中退出はできない

退出は座席の一列ずつ退出票を貰い、一人ずつ順番に退出する。作品?は机の上に置いたまま退出するので、このようなシステムになっている模様。外にでると一気に暑さが戻ってきた。レセプタクルが欠けたことで少し落ち込み、また駅までの長い道を歩いて帰路に着く。暑い夏が終わった。結果は9月だ。

教訓として、うちわ・扇子汗拭きタオルペットボトル飲料の持参をお勧めします。あと、腕時計も(教室に時計はなかった)。

技能試験合格

技能試験合格

9月5日(金)、ネットでの合格発表の日。この日は出張だったので夜、帰宅後に確認。ランプレセクタクルの件があったので、半分諦めてネットの合格発表をみると合格していた。後日、郵送で合格通知が届いた。よかった。ダメだったとき来年まで受験の気力が続くか心配だったので。

技能試験は約4万人が受験し、合格率は69.8%。技能試験の合格者数を、筆記試験の受験者数で割った合格率は38%くらい。

都庁で免状交付申請

都庁で免状交付申請

ネットで資格申請について調べると、東京都の場合は東京都庁まで申請に行く必要があるらしい。東京都環境局防災調整係というところが申請窓口。なんで環境局・防災なのか分からないけど、電気工事士の資格制度は電気設備の安全を目的としたものだからか?

9月18日(木)小雨、仕事で都内にでかける用事があったので、ついでに新宿の都庁まで行ってきた。第二庁舎8階の申請場所に向かう。17日までは申請の集中受付期間ということで住民票が必要だったが、18日からは住基ネット導入済みの地域に住んでいる人は不要なので丁度良かった。

混んでいるかと思ったら空いていて手続きはすぐに終わった。あとは免状が郵送されてくるのを待つばかり。10月上旬の予定。

工事士免状

工事士免状

10月上旬、書留郵便で免状が届いた。これで晴れて自宅の電気工事ができる。

工事を行うときには携帯しなければならない割には、免状のページはラミネート加工などはない。車の免許のような更新もないので、プロが毎日携帯していたらボロボロになりそうだ。個人的には、おそらく家の中でしか使わないので問題ないが。

免状交付申請の領収書(うりさばき証明書)

資格取得までの費用

取得までにかかった費用をまとめてみた。小出しに支払っていたのであまり気にならなかったが、総額は意外とかかっていて4万円弱。簡単な電気工事を業者に何回か頼めばこの位かかるか?

費目費用備考
受験料9,300円ネット申請
書籍4,725円3冊
工具9,000円圧着ペンチ、ストリッパ
材料7,000円線材、コンセント、スイッチ他
その他3,000円交通費(受験×2+申請)、写真
免状申請5,200円印紙
38,225円

ほたるスイッチに交換

初工事

免状が届いた翌日、さっそくトイレの照明スイッチを練習用に買った位置確認表示灯付きスイッチ(異時点灯)、通称 ほたるスイッチに交換してみた。

スイッチが入っていないと点灯し、入れると消灯する表示灯なので異時点灯(異時点滅ともいうようだ。今回、勉強した)。

作業的には簡単だけど、これも電気工事士資格が必要な工事。その割には、部品はスーパやホームセンタで簡単に買える。

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