季刊かすてら・2005年冬の号
◆目次◆
軽挙妄動手帳
奇妙倶楽部
編集後記
●不定形俳句●
- 通貨生命体
- 海外旅行のためのジェノサイド
- 海賊のための労働組合
- 錯覚のための数学
- カレー入りの砒素
- 抽象的な輪投げ
- 水牛入りの火炎放射器
- 魚の陸軍
- さわさわさわさわ動く核融合炉
- さわさわさわさわ動く山高帽
- 千空耳観音
- 千千手観音観音
- 千テレビ観音
- 落とし蓋の下の美しき日本
- カルチャー・ショックカウンターの数字
- 舞踏病カウンターの数字
- 不本意カウンターの数字
- ギャグカウンターの数字
- 一センチ角程度に刻んだアロエと木魚を混ぜあわせたもの
- 一センチ角程度に刻んだ石鹸とみんみん蝉を混ぜあわせたもの
- 一センチ程度に刻んだ箸(はし)とフェルトペンを混ぜあわせたもの
- 人食いピスタチオで死亡30人
- 人食い床屋で死亡30人
- 喰わず女房の王国
- 陰茎保有制限先送り方針
- 瓶詰保有制限先送り方針
- ドア保有制限先送り方針
- 進化を演じる俳優
- 俳優の切れたヒューズ
- 大きなねじの中の儒学者
- 高速宗教
- 高速太平記
- 高速サラダ記念日
- アウシュビッツ証言者工学
- 迷路と焼香が混じり合った物
- 初夜と歌留多会が混じり合った物
- ハルマゲドン(39,000円相当)
- 賛美歌タクシー
- 屋内タクシー
- 固定タクシー
- 生きているモノレールの生涯
- 和服としての楽譜
- ゴンドラの町
- 出世を考える田螺
- 異常性欲工学
- 戦場の学園祭
- 戦場の一人相撲
- さわさわさわさわ動く浣腸
- 気配工学
- 生きている屁
- 全住民の禅問答化(約15万人)
- 国家全住民の植村直己化(約15万人)
- 漠然とした天津甘栗感
- 対人恐怖症愛好家
- みぞれ夢精
- キャベツをつきまぜたロケット推進剤
- 自動人生工学
- 土下座工学
- 文化淋病
- 酢みそ地下足袋
- 前脚の折れた雄の航空機
- スポーツ落花生
- 超音速大根
- 省エネルギー・省騒音型のペニス
- キューピーのできやすい気象条件
- 超音速世襲
- 「ワイヤロープよ今夜もありがとう」
- 忍法 寝たきり老人
- 悪態テクノロジー
- 人喰い隠れ蓑
- 潜水病思想
- ハム恩給
- 膿は荒膿向こうはサドよ
- オセアニアに詰め寄られる駅前旅館
- ハイエナに詰め寄られる人生劇場
- フォンデュ散布
- 火山の子育て
- とろみシンセサイザー
- 潜水夫を噴出する火山
- 人面魚を噴出する火山
- コレステロールを噴出する火山
- プロンプターを噴出する火山
- 生きている犬を噴出する火山
- 鍋焼きうどんを噴出する火山
- リベットを噴出する火山
- 通信の秘密を噴出する火山
- 行進曲を噴出する火山
- 冬を噴出する火山
- 厚生年金基金を噴出する火山
- 蛍の光を噴出する火山
- 質問するカスタネット
- 森の人オランウータンのアンナ・カレーニナ騒動
●世界虚事大百科事典●
青平醍醐
あおひらだいご
鳥取県青平町特産の珍味。舌触り、味、ともにクリーム状のカマンベールチーズに酷似するが乳製品ではなく森で採れる。変形菌類の一種である。変形菌類は粘菌とも呼ばれ、多個体が集まってアメーバ状(これを変形体という)をなし、自由に移動して活動し、植物の根のように体表から栄養物を吸収する。繁殖の際には黴のように細い繊維状の身体を形成して立ち上がり、先端に作った胞子を飛ばす。食用にされるのはアメーバ状の変形体でこれを加工せずにそのまま食べる。薫りはカマンベールチーズに勝るといわれ珍重されるが、痛み易いため青平町でしか食べられず、そのためこれを目当てに同町を訪れる人も多い。生きている変形菌をそのまま食べるので、保存の際に密封して置かないと逃げ出してしまう事がある。また一度に大量に食べると胃で消化し切れずに生き残り、睡眠中などに食堂を這い上って口や鼻から出て来る事がある。
駅伝葬
群馬県東部、赤城山麓の木菟(みみずく)村に伝わる葬送儀礼。駅伝葬は俗称。正式名称は棺担送(かんかつぎおくり)。その名の通り、二人一組の走者が前後に並び間に挟んだ棺桶に通した棒を肩に担いで走り、駅伝の襷(たすき)のように棺桶を受け渡してリレーして行く。五組みで村内を一周して死者のあった事を知らせるのである。1958年より所要時間が記録されるようになり、以降担ぎ手はその速さを競う傾向がある。そのため急いだ担ぎ手が転倒して、棺桶の破損、飛び出した死体の人家への突入、死体の破損、転倒した担ぎ手の怪我、担ぎ手の死亡などが度重なり問題となった。また、少しでも速く走るため、より軽量な棺桶の開発、より空気抵抗の少ない流線型の棺桶の設計、乾燥による死体の軽量化なども工夫され、更には内蔵の摘出、手足の切断なども検討され葬儀の厳粛さが損なわれるなどの問題も発生している。度重なる村役場からの注意にもかかわらず記録短縮熱は収まらず、1998年には複数チームによる競技化まで検討されたが流石にこれは見送られた。見送られた理由は倫理的な物ではなく、複数の遺体の調達が困難だからであった。
ここに掲載した文章は、パソコン通信ASAHIネットにおいて私が書き散らした文章、主に会議室(電子フォーラム)「滑稽堂本舗」と「創作空間・天樹の森」の2004年10月〜12月までを編集したものです。
◆次号予告◆
2005年4月上旬発行予定。
別に楽しみにせんでもよい。
季刊カステラ・2004年秋の号
季刊カステラ・2005年春の号
『カブレ者』目次