update 2017-09-24
図書館が出てくるSFリスト:海外
最新情報
- 『たったひとつの冴えたやりかた』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ; 浅倉久志訳
- 早川書房 ,1987 (ハヤカワ文庫SF739)4-15-010739-4
- ティプトリーJr.「たったひとつの冴えたやりかた」ハヤカワSF文庫に
登場する図書館員さんは、該博な知識にもとづき学生の研究を(一面から)
支える重要な存在として描かれていました. 天沼@筑波大(科目等履修生)さま
Subject:Classification of Books(疑似科学本についての記事から派生したと記憶しています)のこの記事の、ティプトリーに反応したのがことの起こりでした。
- 『スタータイド・ライジング』 D.ブリン ; 酒井昭伸訳
- 早川書房 , 1985 (ハヤカワ文庫SF636,637)4-15-010636-3
- 『知性化戦争』 / D.ブリン ; 酒井昭伸訳
- 早川書房 , 1990 (ハヤカワ文庫SF872,873)4-15-010872-2,4-15-010873-0
- 「スタータイド・ライジング」が挙げられているようですから、当然、「知性化戦争」も入れないと、、、
しかし、どっちにしても、図書館というよりは、馬鹿でかい百科事典という気もしないでもないですが。 静岡大学の橡川さま
- 『スタータイド・ライジング』の<ライブラリー>言及/使用場面=(上)p34,(上)p118,(上)p168,(上)p178,(上)p234,(下)p101,(下)p305。この世界で―とくにソロ族の―司書をやるのは命懸け。なお、図書館員照会係というのは苦しい訳ですね。
- 「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」/ コードウェイナー・スミス ; 伊藤典夫訳
- 『鼠と竜のゲーム』 早川書房 , 1982(ハヤカワ文庫SF471)
- 『拷問者の影』 / ジーン・ウルフ ; 岡部宏之訳. (新しい太陽の書 ; 1)
- 早川書房,1986(ハヤカワ文庫 ; SF659) 4-15-010689-4
- 「その子どもは、今いったように、やがて『黄金の書』を発見する。その時に、司書がやってくる―吸血鬼のように、という者もあれば、洗礼式の介添えの妖精のように、という者もある。」
- 第6章「管理者の師匠」で,師匠の使いで主人公セヴェリアンは<城塞>の図書館を訪れる。公文書管理者(図書館長)ウルタン師,徒弟のサイビーが登場する。
- 「不死鳥座」 / U.K.ル・グィン
- 『コンパス・ローズ』サンリオ , 1983(サンリオSF文庫)
- 「とにかく書物ならなんでもいい。彼に定見や信念があるからではない。図書館では彼の命などないも同然。とにかく彼が図書館員だったからなのだ。」p.189
- 『テルジーの冒険』 / J.H.シュミッツ
- 新潮社 , 1988 4-10-223902-2
- 主人公が携帯型法学ライブラリーを検索する場面が出てきますが、
これは図書館というよりコンピュータですね。 常塚@東大文学部さま
- 『銀河帝国の興亡』三部作 アイザック・アシモフ 厚木淳訳
- 東京創元社 , 1968-1970(創元SF文庫)4-488-60401-3,4-488-60402-1,4-488-60403-X
- えんどう@電通大さま
- 『永劫』 / グレッグ・ベア ; 酒井昭伸訳
- 早川書房 ,1987(ハヤカワ文庫SF726,727)4-15-010726-2,4-15-010727-0
- えんどう@電通大さま、古森@東大文学部さま
- 「鏖戦」 / グレッグ・ベア
- 『80年代SF傑作選 下 』小川隆,山岸真編 早川書房 ,1992 (ハヤカワ文庫SF988)4-15-010989-3
- 『スタータイド・ライジング』が許されるのなら
「鏖戦」 グレッグ・ベア
も。 えんどう@電通大さま
- 『ハイペリオン』 / ダン・シモンズ ; 酒井昭伸訳
- 早川書房 ,1994(海外SFノヴェルズ)4-15-202079-2
- 早川書房 ,2000(ハヤカワ文庫SF ; 1333)4-15-011333-5
- 『ハイペリオンの没落』 / ダン・シモンズ ; 酒井昭伸訳
- 早川書房 ,1995(海外SFノヴェルズ)4-15-202082-2
- 早川書房 ,2000(ハヤカワ文庫SF ; 1348)4-15-011348-3
- えんどう@電通大さま
- キーツの手稿の保存された図書館はヘリウムで満たされています。
- 『ホワイト・ライト』 / ルーディ・ラッカー ; 黒丸尚訳
- 早川書房,1992 (ハヤカワ文庫SF972)4-15-010972-9
- ルーディ・ラッカーの「ホワイト・ライト」に確か出てきましたね。
でもあれは本を読みに来るところじゃなくて、訪れた人に本を書かせ、完全にオリジナルなものだけを保存すると言うところだったような気がしますけど。 古森@東大文学部さま
- 図書館が主題の本ではないのですが、ルディー・ラッカーの「ホワイトライト」に出てきた無限の世界の図書館がとても印象に残っています。 菊川@ソニーさま
- 「--?--」 / ルーディ・ラッカー
- 『ラッカー奇想博覧会』 黒丸尚・他訳 早川書房,1995 (ハヤカワ文庫SF1109)4-15-011109-X
- 『審判の日』 / ジョージ・R.R.マーティン編. (ワイルド・カード 第3部)
- 東京創元社,1994(創元SF文庫)4-488-70305-4,4-488-70306-2
- 「ワイルドカード」第3部にでてくるエースの一人が図書館司書ですね。
菊川@ソニーさま
- あれは, 泥棒では? :-)
図書館に入っていったと言っても, 休館日でしたし,そこの利用のし方を考えると, 司書として出てきたととらえるのは,ちょっと避けたいような... 亀山さま
- 名前は<生霊>ことジェニファでしたっけ?
いえいえ、彼女の表の職業はニューヨーク市立図書館(だったかな?)の司書なんですよ。:-)
たしか登場人物紹介にもそう書いてありました。 菊川@ソニーさま
- 「バベルの図書館」 / ホルヘ・ルイス・ボルヘス
- 『伝奇集』 鼓直訳 岩波書店 , 1993 (岩波文庫)4-00-327921-2
- #でも,実はあの図書館は「図書館」ではないのかもしれませんが. 筑波大の心理の院生の高橋さま
- 舞台が図書館です(謎)
間違いなく Speculative Fiction ですが、所蔵されている本の説明から図書館の話まで Scientific な考証はなされていると思いますが保証しません:-)
# 注:国書刊行会から出ている同名の叢書ではなく、独立した短編です。
# 叢書の方は短編から名前をとっています。 (た)さま
- :> あの図書館はすごそうに見えますが、実はそれほどでもないような...
確かに、高い能力の司書というテーマを期待すると正反対ですね:-)
そういう人がいないせいで、あの世界の住人は「真実」を求めてさまよっ
ているわけですし。
でもあの図書館、
- 真実の書
- 真実の書のありかを述べているガイドブック(1)
- ガイドブック(n)のありかを述べているガイドブック(n+1)
- 真実の書の要約(n)およびその要約(n+1)
- 真実の書の脚注(n)およびその脚注(n+1)
- 図書館にあるすべての書の目録
- 住人の各々の出生から死亡までの記録
- 焚書テロ事件の全貌
- まったく無意味に見える本に対し、その本の役割を述べてある本
- これらすべての粗悪な複製
などが全部入っているので、考えると頭がクラクラします8-)
所蔵冊数は有限なんですけどね:-P:-)
読んだ当時数学科の学生で、「高々有限」などという言い回しに慣れてし
まっていた私にはとても衝撃的でした。 (た)さま
- 元の古巣の図書館報にもバベルの図書館が登場しました(シンクロニシティ?(笑)
- 『ボルヘスとわたし』(筑摩書房, 2003)所収の「自伝風エッセー」によると、本や書棚の数はボルヘスが勤務していた市立図書館(「十五人で優にできそうな仕事に、五十人ほどがかかっていた」)のそのままの描写であるとのことです。もちろん、細部にこだわる批評家へのボルヘス流騙りかもしれませんが。 (2003/1/31 追記)
- 『ヴァーチャル・ガール』 / エイミー・トムスン ; 田中一江訳
- 早川書房 , 1994(ハヤカワ文庫SF1079)4-15-011-79-4
- 反則的ですが、「ヴァーチャル・ガール」には図書館検索用人工知能くんが
出てきますね。わりと重要なモチーフかもしれない。
しかし、知り合いの図書館司書兼SFマニア兼ロボフェチな人は
『あんなロボット知能が検索コンピュータに隠れてたら、どんなに隠れてても
あたしには、すぐ、みつかっちゃうよ〜』
と言っていました。そうかも、とか。(Iさんごめんなさい)
モロトミ@九大化学機械さま
- 図書館屋としてはチューリング君失踪後のニューオーリンズ公共図書館網の運命が気になります…。
- 『黙示録3174年』 ウォルター・ミラー・ジュニア 吉田誠一訳
- 東京創元社 , 1971 (創元推理文庫SF)4-488-64301-9
- 大戦争が起きた後、知識階級が悪いのだということになって本の類も
焼き払われた後の世界の話です。
キリスト教の修行僧のような生活を送る人達が過去の知識を守ろうと
しているのですが、電気回路の図を意味もわからず(装飾までして)模写する
あたりが泣かせます。 岩下洋治@ALUさま
- 『グレー・レンズマン』 / E.E.スミス ; 小西宏訳
- 東京創元社 , 1966(創元推理文庫SF . レンズマン・シリーズ ; 2) 4-488-60302-5
- 出てくるだけでよろしければ、一応「グレーレンズマン」をあげておきます。
#図書館員の(魅力的な)女性も出てきます。 山場@宮崎大さま
- 「魅力的なブロンド娘」(笑)ミス・ホステッターは科学図書館でカード除外器を駆使し、最高の科学者を探すキムボール・キニスンのお手伝いをします。(p183-185)
- 『第二段階レンズマン』 / E.E.スミス ; 小西宏訳
- 東京創元社 , 1966(創元推理文庫SF. レンズマン・シリーズ ; 3)4-488-60303-3
- 『レンズの子ら』E.E.スミス 小西宏訳
- 東京創元社 , 1967(創元推理文庫SF . レンズマン・シリーズ ; 4) 4-488-60304-1
- 古典的なところでは, E. E. スミスのレンズマンシリーズの『第二段階レンズマン』『レンズの子ら』でしょう.
ちゃんとレファレンスしていますし... 亀山さま
- 『星屑のかなたへ』 / J・ブリッシュ
- 早川書房, 1974 (ハヤカワ文庫SF309)
- 「司書コンピュータ」というのが出てきますが、あれなら
図書館と呼べるのでは? 静岡大学の橡川さま
- 『華氏451度』 / レイ・ブラッドベリ ; 宇野利泰訳
- 早川書房, 1975 (ハヤカワ文庫NV)
- 人間図書館ということで「華氏451度」はどうでしょう。
「華氏451度」に限らず、 ブラッドベリの作品にはよく図書館がでてきた気がします。
「何かが道をやってくる」の最初の方にでてたかも(記憶があいまいです) 林田@FFCさま
- 小説がなくなるたびにその小説で語られていた妖怪やもののけが
消えていくといったような話もありましたね. あおき@NTTさま
- 『何かが道をやってくる』 / レイ・ブラッドベリ ; 大久保康雄訳
- 東京創元社 , 1964(創元推理文庫SF)4-488-61201-6
- 主人公の父親が司書で、勤務先の図書館も戦いの舞台になります。
たぶん町立?の公共図書館だと思いますが、部屋数もあって広そうです。
林田@FFCさまの記憶通り、最初に主人公の少年たちは図書館に行って本を借ります。
- 『ヴァレンティーナ:コンピュータ・ネットワークの女王』 / J.ディレーニイ & M.スティーグラー
- 新潮社 , 1986 (新潮文庫)4-10-223201-X
- 『死者の代弁者』 / オースン・スコット・カード ; 塚本淳二訳
- 早川書房 , 1990 (ハヤカワ文庫SF884,885)4-15-010884-6,4-15-010885-4
- # さすがに, degital librarien として, 『バレンチィーナ』や
『死者の代弁者』に出てくるジェインをあげるのはなしだろうか? 亀山さま
- 『ヴァレンティーナ』の時代(といっても1993-94年ごろ)法律事務所ではジュリサーチ社のデータベースに判例検索を頼っており、ヴァレンティーナもここに潜って法律の勉強をします。一方、貧乏弁護士シウェッツはモデムも持っていないので他人の端末を借りて検索し、「紙に印刷した本が手にはいる」郡司法図書館で勉強しなければなりません。
- 『逆まわりの世界』 / P.K.ディック ; 小尾芙佐訳
- 早川書房 , 1983 (ハヤカワ文庫SF526) 4-15-010526-X
- 「華氏451度」的な重要な位置づけで図書館が出てきます。 ♪きむらかずしさま
- #仕事熱心なあまり、というか立派な悪の図書館かも。
- 『海底二万里』 / J・ヴェルヌ
- 集英社 , 1993 (集英社文庫)4-08-760217-6
- 『海底二万海里』 / J・ヴェルヌ
- 福音館書店 , 1973 (福音館古典童話シリーズ 11)
- ノーチラス号の中に図書館はあったっけ?
全然、確信ないんだけど。・・・ないよね、やっぱ・・・鈴木@名工大さま
- 学研社の子供向けのヴェルヌの翻訳シリーズによると、立派な図書室が
あった事になってます。その蔵書は主人公の何とか博士(名前ど忘れ)が
圧倒された量・質だったことになってました。また、数多くの優れた美術
品も収蔵されていたことなってます。
博士とその召使いのコンセイユ、銛打ち名人のネッド=ランド親方の三
人は、ふだん暇なので、図書室でよくおしゃべりをしていたことになって
ます。つまり、捕虜三人の居間替わりになっていたような。なぜかネモ艦
長以外の乗組員は図書室に現れなかったようで。
あと、この図書室には窓があり、鉄製の覆いが開くと海中をのぞけると
言う設定でした。
ノーチラス号の艦内描写は、ほとんどが図書室が舞台だったと思います。
菊地英治@資源環境技術総合研究所さま
- 最近(といってももう2年前)、文庫本で復刻された完訳版にも
図書室は出てきておりました。 なんかすんごい蔵書らしいです。
日高@松下電器さま
- 私も家に帰ってから確認しました。
予想以上に立派な図書館でびっくりしました。
以前は全く気付かなかったのですが、
蔵書リストが非常に細かく記されているのが印象的でした。
ヴェルヌの話は地名・名前などのディテールが細かいですね。
図書館が舞台になっている話はSFに限らず沢山あると思うのですが
蔵書まで詳しく述べている話は意外と少ないのでは?
ミシュレが入っていたのにもセンスの良さを感じました。
(ヴェルヌと同年代になるか?) 鈴木@名工大さま
- 『宇宙船ビーグル号』 / A.E.ヴァン・ヴォクト ; 浅倉久志訳
- 早川書房 , 1978(ハヤカワ文庫SF291)4-15-010291-0
- 『宇宙船ビーグル号の冒険』 / A.E.ヴァン・ヴォークト
- 東京創元新社 , 1964(創元推理文庫)4-488-60914-5
- 図書館が直接出てくるわけではありませんが、この本に出てくる「総合情報学」という学問は将来、図書館(特にリファレンス業務)はこうなるべき、という参考になると思います。 福田@大日本印刷さま
- 「知識の蜜蜂」 / バリンドン・J.ベイリー
- 『シティ5からの脱出』 早川書房 , 1985(ハヤカワ文庫SF632) 4-15-010632-0
- 図書館というには語弊があるかも知れないが、外宇宙で巨大蜜蜂にとらえられ、
いながらにして多くの知識を得られる場所に放り込まれた男の話。 渋谷@アイザックさま
- 『プロテクター』 / ラリイ・ニーブン
- 早川書房 , 1979 (ハヤカワ文庫SF321) 4-15-010321-6
- ラリイ・ニーブンのノウンスペース・シリーズにもパク人の図書館が出てきたと思います。 Akihiro TADAMASAさま
- 『プロテクター』ですね。たしかに惑星〈パク〉の図書館で、後に太陽系にやってくることになるプロテクターさんが色々調べ事をしていましたね。 えんどう@電通大さま
- 『アルジャ−ノンに花束を』ダニエル・キイス 小尾芙佐訳 改訂版
- 早川書房, 1989(海外SFノヴェルズ) 4-15-203393-2
- 早川書房 , 1999(ダニエル・キイス文庫) 4-15-110101-2
- それと『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイスは
もうでてましたか。大学図書館が出てくるのですが、
こちらはそれほど立派なものでもないようです。
アルジャーノンの超人的な知識が図書館の存在を超えてしまうものに
なるので、あまり立派な(例えば「薔薇の名前」のような)
図書館を書いては主人公が生きてこなくなるからでしょう。 鈴木@名工大さま
- 『銀河ヒッチハイクガイド』 / ダグラス・アダムス ; 風見潤訳
- 新潮社 , 1982(新潮文庫) 4-10-219601-3
- 『遠き神々の炎』 / ヴァーナー・ヴィンジ ; 中原尚哉訳
- 東京創元社 , 1995(創元SF文庫) 4-488-70501-4,4-488-70502-2
- 主人公の一人、ラブナ・バークスヌトはブリニミ機構(銀河ネットワークのプロバイダみたいなもの)のライブラリ司書。この世界での司書の仕事は一日中ネットニュースを読んで情報分析をすることらしいです。「際涯圏で人類が知りえる情報すべてにアクセスできる職業」とはいえ、ちょっととほほかも。
- 「三十三枚目のルーアン大聖堂事件」 / キム・スタンリー・ロビンスン ; 内田昌之訳
- SFマガジン1996年4月号(36巻4号)
- "Mercurial" from "Universe 15"(1985)
- 水星の明暗境界線とともに移動する巨大都市ターミネータでも何か調べるときは図書館に行って端末の前に座って検索をする。書物がほとんどデータバンクにしか存在しなくなった時代なのに(笑)
「水星のあらゆる場所と、地球のいくつもの図書館の初版本収集室に連絡をとったわ…じっさいにはどこかに残っているのかもしれないけど、発見することはできなかった」レファレンス担当者ならば味わったことがある悔しさですよね。
- 『地球帝国』 / アーサー・C.クラーク ; 山高昭訳.
- 早川書房 , 1985(ハヤカワ文庫SF603) 4-15-010603-7
- p.118 宇宙船シリウス号の小さな図書館 岡本@名大図書館さま
- 『火星転移』上 / グレッグ・ベア ; 小野田和子訳
- 早川書房 1997.5 (ハヤカワ文庫SF)4-15-011187-1
- p328 火星出身の主人公の公式訪問先(というか観光コース)にワシントンDCの国会図書館がでてきます。すでに紙製出版物の受け入れは2049年に中止され、館内はヘリウムで満たされて密閉されています。
ところで、なぜ「国会図書館」なんでしょうね。ワシントンにあるのは"The Library of Congress"(米国議会図書館)であって、"National Diet Library"(永田町)じゃないのに…
- 『幼年期の終り』 / アーサー・C.クラーク ; 福島正実訳
- 早川書房 , 1979(ハヤカワ文庫SF341) 4-15-010341-0
- p184 ロンドンの学術センターの図書室。アルバートホールの近くにあり、最上階には王立天文学会が入居しているらしい。2070年代のある日、ここでジャン・ロドリックスが『天体観測便覧』(何部冊にもなる本!)でNGS549672を検索した。
#登場しないが、ロドリックスが勉強しているケープタウンの天文台の図書館員は彼の趣味を熟知している。
- 『時間旅行者は緑の海に漂う』 / パトリック・オリアリー ; 中原尚哉訳
- 早川書房 1997.9(ハヤカワ文庫SF1206) 4-15-011206-1
- 1991年春。ジョン・ドネリーはまだ見ぬわが子のために書いた本を、いつか見つけるかもしれないという望みを込めて「インターネットに接続した図書館のコンピュータネット上においておくつもりだ」。
- 『星の海のミッキー』 / ヴォンダ・N.マッキンタイア ; 森のぞみ訳
- 早川書房 , 1989 (ハヤカワ文庫SF850)4-15-010850-1
- 宇宙ステーションにいる詩人は、コンピュータで読むより本で読む方が好きで、図書室で仕事をする。 おむらよしえさま
- 「アレフ」 / ホルヘ・ルイス・ボルヘス ; 土岐恒二訳
- 『不死の人』 白水社 , 1996 (白水Uブックス ; 114 . 海外小説の誘惑) 4-560-07114-4
- あと、ボルヘスを入れていいなら「アレフ」という短篇もいいと思います。これ
もうろ覚えですが、アレフという全宇宙の知がつまった物体を体験するといったよう
な話だったような ... 「不死の人」という短篇集に収録されていたように記憶して
います。 栗山正光@筑波大学図書館部さま
- 「フォート・マクシー分館にて」 / ジャック・マクデヴィット ; 浅倉久志訳
- SFマガジン1998年9月号(39巻9号)
- 田舎町フォート・マクシーの空き家に忽然と現われたジョン・オブ・シングレタリー記念図書館。無名作家ウィッカムに司書シーラが語る本の運命。
- 「ああ、過ぎさりし日よ」 ジェイムズ・ブリッシュ ; 原案J.L.アロウスト ; 斉藤伯好訳
- 『宇宙大作戦 暗闇の悪魔』 早川書房 , 1976.11(ハヤカワ文庫SF216)
- 恒星ベータ・ニオブの衛星サルペイドンのライブラリー、司書、仮想司書が登場します。タイムトンネルの入り口になっていて、これを使ってサルペイドンの人たちは超新星化から逃れたのですが…。かなり頭の固い司書が登場。 加藤@KEKさまに貸していただきました。
- 「モラル弾」 / ブルース・スターリング&ジョン・ケッセル ; 嶋田洋一訳
- 『グローバルヘッド』 ジャストシステム, 1997
- 不老薬FREEの発明により無政府状態となった世界、武装民兵の割拠するアメリカ。大学キャンパスを本拠にする図書館防衛連合は正確な砲撃で西ローリー全域を支配下に置いている。
- 『時空ドーナツ』 / ルーディ・ラッカー ; 大森望訳
- 早川書房, 1998.10(ハヤカワ文庫SF1249)4-15-011249-5
- アメリカがUsと呼ばれていた時代、主人公ヴァーナー・マクスウェルは20歳にして図書館に通うことを覚え、数学と物理学を学び、図書館に住み着く。図書館にはホロー録画と現存するすべての本のマイクロフィッシュが所蔵されている。
- 『スノウ・クラッシュ』 / ニール・スティーブンスン ; 日暮雅道訳
- アスキー, 1998.10 4-7561-2003-2
- 「ソフトウェアの一つに過ぎない存在ではあるが,彼は楽しそうだった。巣の上を軽快に移動するクモのように,広大なライブラリの無限とも言える情報の中を動き回ることができるからだ。ライブラリアンはCICのソフトの中で唯一<アース>よりも高価なものだった。彼にできないのは,自分で考えることだけだ。」
- LCのメタ・ライブラリアン、ドクター・エマニュエル・ラゴスと彼がプログラムを書いたライブラリアン・デーモン(愛想のいい50がらみの男性の容姿)、空間的情報をリアル・タイムで提供するインターフェース、<アース>が登場。(p111〜)
- ライブラリ・オブ・コングレスとCIAが合体して、CIC(セントラル・インテリジェンス社)になっている。「メディアの種類が増え、装置が改良されていくにつれ、ライブラリを検索する方法はどんどん高性能になっていき、国会図書館とCIA(中央情報局)の実質的な違いはなくなってしまった。」(p26)
各地の通信員は様々な情報をザ・ライブラリと呼ばれるデータベースに情報をいれ、これがCICの顧客に売れると通信員に報酬が支払われる。
- #この本でもLCを国会図書館と訳しています。
- 『幻惑の極微機械(ナノマシン)』上 / リンダ・ナガタ ; 中原尚哉訳
- 早川書房 1999.2(ハヤカワ文庫SF1262)4-15-011262-2
- 陥穽星の軌道エレベーター都市、絹市のライブラリが登場する。ライブラリは全滅した旧絹人がつくったもので、案内蜂のいる司書ステーション、オリジナルのおさめられた書架、書庫アクセスブースなどがある。この構造物は都市の斜面の三層分をしめ、ロビーの前には花に覆われたレストランがある。ライブラリは枢房というデータアクセス器官を持たない若輩者(100才以下の市民)のたまりばになっている。
- 『パティの宇宙日記』 / ジル・ペイトン=ウォルシュ作 ; 岡本浜江訳 ; 小野かおる絵
- 文研出版, 1991
- 宇宙移民船内の、乗組員が一冊づつ持ちよった図書館がでてくるそうです。
小西@筑波大さま
- 『スター・トレック 叛乱』 / J.M.ディラード ; 斎藤伯好訳
- 早川書房,1999(ハヤカワ文庫SF1269)4-15-011269-X
- USS Enterprise-Eの艦内にある図書館(ライブラリー)にはモニターや本棚があり、「大昔の紙製の本」をおさめた本棚は、な、なんとフォース・フィールドに包まれ、気温も湿度も調整されてます。モニターのそばにはメモ帳(紙製)が置かれていて、これは現在の図書館と同じです。ここで乗員のライカーとトロイが半分じゃれあいながら異星人の調査をするのですが、お約束通りライブラリー係に注意されます。ライブラリー係は中年の地球人女性で、女殺しのライカーの言葉を借りれば「あまりパッとしない顔」とか。
同名映画のノベライズ版ですが、このシーンは映画ではカットされています(カットされていて良かった)。
加藤@KEKさま
- 『ファウンデーションへの序曲』上 / アイザック・アシモフ ; 岡部宏之訳
- 早川書房 1997.11(ハヤカワ文庫SF1212)4-15-011212-6
- ストリーリング大学歴史図書館
ドース(歴史学者)による図書館利用方法の一週間コース(学部学生向け)にハリ・セルダンが参加する。なお、この大学図書館では十年ごとに価値のなくなった記憶を破棄している。
- 帝室図書館
ドースの話にでてくる。その記録のたっぷり三分の一は、わけがわからなくなっているといわれるが、習慣によって除去することは許されない!
- 『ファウンデーションへの序曲』下 / アイザック・アシモフ ; 岡部宏之訳
- 早川書房 1997.11(ハヤカワ文庫SF1213)4-15-011213-4
- マイコゲン(トランターのコロニー)のサクラトリウムの部族図書館。許可を受けた学者しかはいれない。コンピュータ化された参考図書館もある。その奥は秘密の寺院サクラトリウムに通じている。
- ダール出身の肉体労働者階級のアマリルが数学者になるきっかけをつくったのは、親切な女性図書館員だった。
- 『ファウンデーションの誕生』下 / アイザック・アシモフ ; 岡部宏之訳
- 早川書房 1998.6(ハヤカワ文庫SF1237)4-15-011237-6
- 銀河図書館
皇室よりも長い歴史を持つ、万民に開かれた図書館。公開の原則があるのだが、利用を制限しようという動きや財政危機に苦しめられている。また、司書たちはみなオフホワイトのガウンのような服、ビロードのような素材の四角いボタンのついた色々な色の帽子(序列がすぐわかる。館長は白)をかぶり、全員が顎髭をたくわえている(男しかいないのか?)。「司書は帝国最古のギルドであり、それも、もっとも崇敬される伝統を持った専門職集団」(p166)
ハリ・セルダンはここのレファレンスをだましてターミナスをみつけ、また銀河百科事典作成に着手する。図書館長ラス・ゼノウとトライマ・アカーニオが登場する。
- 『超能力エージェント』 / ウィルスン・タッカー ; 矢野徹訳
- 早川書房 , 1961 (ハヤカワ・ファンタジイ3028)
- 主人公ポールは下宿の女将のすすめで公立図書館へ行き、超能力について調べる。
- 女性図書館員が登場。ポールの質問に答えて本を探し、小説があることも教えてくれる。また、値段や絶版でないことを確かめてポールがウィリアム・ロイ『精神動力における研究 Studies in psychokinesis』(7ドル)を注文するのを助ける。この図書館は閉架式で4冊まで2週間借りられる。更新は1回できるが小説は更新できない。
- 『ノービットの冒険 : ゆきて帰りし物語』 / パット・マーフィ ; 浅倉久志訳
- 早川書房 , 2001.6 (ハヤカワ文庫 ; SF1356) 4-15-011357-2
- ザハラ・ファールの回想。ファール・ステーションの大図書室のデータバンクに作文コンテストの優勝作が保存される。司書はやや猫背でものやわらかな話しかたをし、花模様のローブを着て花の香りの香水をつけていた。
- 惑星インディゴを巡る月の一つ、“ベルマンの愚行”内部のエイリアン基地は一種の図書館。中心の円形大広間と、そこから螺旋を描いて外に向かう回廊にはクリスタル立方体の星図がぎっしり収められていた。ブージャムという番人が侵入者を追い払う。
- ザハラに「司書」と認識された、エイリアン基地の人工知能「手助けしてくれる存在」。脳に直接語りかけてくる。<超古代族>の遺物の使用法を教えてくれる。実はワームホールをつなぐもの。
- 『ゲーム・プレイヤー』 / イアン・M.バンクス ; 浅倉久志訳
- 角川書店 , 2001.10 (角川文庫) 4-04-288601-9
- <帝国>のロー・フラッグ・トラッフ大佐の最も有名な功績はウルティパイグ図書館の略奪(破壊)である。トラッフ大佐はあるヒューマノイド種族との戦争で、その小星雲の文明種族の間で有名な大図書館を無傷で残すという講和条件と、破壊せよという皇帝の勅命の板挟みになった。そこで、保存されていたマイクロファイルのあらゆる単語をアルファベット順に分類し、あらゆる図版のあらゆる画素を色、濃淡、彩度の順に並べ替えて、元のマイクロファイルを全消去したものに上書きしたのである。結果、“あれ”“これ”“それ”ばかりが連なる何巻もの文献と純粋な一色でしめられる図版が残った。図書館管理者たちは激怒し……自殺した。
- 『言の葉の樹』 / アーシュラ・K.ル・グィン ; 小尾芙佐訳.
- 早川書房, 2002.6 (ハヤカワ文庫SF ; 1403) 4-15-011403-X
- 惑星アカにかつて存在したアヤズムは教会であり、修道院であり、なにより図書館だった。圧政により伝統文化と宗教が否定された現在、密かに信仰を伝える人々は自らが書物と化したように語る。
- 過去の宗教と一体化した輝かしい図書館(具体的な書庫の描写はなし)、現在の隠された図書館(というにはあまりに悲しい収蔵庫)が登場します。超未来の物語ですが、舞台となる惑星が発展途上にあるので図書館の資料はほとんど紙に書かれた文字資料です。SFになっているかはともかく、文化人類学小説であり、図書館小説でもある、希有な作品。
- 『戦乱の大地』 / デイヴィッド・ブリン ; 酒井昭伸訳
- 早川書房 , 2002 (ハヤカワ文庫SF . 知性化の嵐 ; 2) 4-15-011414-5, 4-15-011415-3
- スタライと知性化が別に掲載されているのでやはり「戦乱の大地(上下)」も入れてあげて下さい。ブリンにしては真っ当な「紙」の本が出てきます。
梟猫さま
- 「水晶の船」/ ジョーン・D.ヴィンジ ; 浅羽莢子訳
- 『琥珀のひとみ』 東京創元社, 1983 (創元SF文庫) 4-488-68101-8
- すでに文明が失われた植民惑星に残された図書館。「小さな仕切りが両側に天井まで積み上げられた間に、廊下ニ本分の幅のある空間」に機械と拇指ほどの長さの楕円形のディスクが散らかったテーブルとなめらかな椅子が置かれている。緑のディスクは音声、黒は画像、赤は文章が入っていて、壁の仕切りにおさめられており、機械にかけて閲覧するしくみ。
- 『不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ』 / パトリック・オリアリー ; 中原尚哉訳
- 早川書房, 2003.5(ハヤカワ文庫SF ; 1444) 4-15-011444-7
- ヴァーチャル空間のデトロイトの公共図書館?が登場。「なにか答えがほしい時は、私はかならず図書館へ行く。それで答えがみつからなかったためしがない」という素敵なせりふあり。
- ライオンの像があるからすぐわかる、と黒人の騎馬警官が教えてくれた図書館。正面玄関へは31段の白い大理石の階段。屋内は大理石の床、高い天井。新聞架のそばには黒い皮張りの椅子。ここでマイクはエイリアンと交信(!)します。
- 著者はデトロイト在住なのでこの図書館も実在するのかもしれません。
- 『猫城記』 / 老舎 ; 稲葉昭二訳
- サンリオ, 1980.9. (サンリオSF文庫)
- サンリオSF文庫のおかげですっかり有名になってしまった『猫城記』ですが、20章に図書館が登場します。
猫の国では学校革命に続いて「図書館革命」がおこなわれました。館長の男性(猫人)と、本が一冊もなくなった図書館が出てきました。 宮島史江@二松学舎さま
- 『ケルベロス第五の首』 / ジーン・ウルフ ; 柳下毅一郎訳.
- 国書刊行会, 2004.7 (未来の文学) 4-336-04566-6
- 第一話に惑星サント・クロアのポート・ミミゾン市の図書館が登場する。サルタンバンク通り666番地からから三ブロック下り、ダスティコット小路を右に折れて奴隷市場を抜けた、一ブロック先に建っている、かつて官庁舎として利用された、円蓋を持つ壮麗な建物。ドームの内側には主要蔵書が並ぶ螺旋の歩路が、中央デスクの頭上500フィートの高さまで浮かんでいる。図書館員は書架整理に熱心ではなく、本が落ちたままになったりしている。よく知らないドイツ人が書いた『一マイルもある宇宙船』『月曜日あるいは火曜日』、トロツキ−の暗殺についての本、ヴァ−ナ−・ヴィンジの短編集など。図書館の一翼には科学読書室がある。また、図書館のある部屋に閉館後に入るための通行証となる、装飾のついた大きな鍵が毎年発売されている。
- 「バベルの図書館網」 / デイヴィッド・ラングフォード ; 中野善夫訳.
- SFマガジン2004年11月号(45巻11号)
- 無限よりも畏るべきもの、徹底的にすべてを包含する図書館。原題は"The net of Babel by J*rge L**s B*rg*s"。著者いわくボルヘス「バベルの図書館」への真面目なパスティーシュ、コンピュータ時代の注釈。
- 「木を撃たないで」 / パトリシア・ハイスミス ; 柿沼暎子訳
- 『風に吹かれて』扶桑社, 1992.12 (扶桑社ミステリー) 4-594-01086-5
- 西暦2049年、ロサンゼルスから南に遠く離れた住宅特別保護区域「レインボー」には、シリンダー状のメディアに記録された「オーディオビデオ本」を貸し出す「レインボー図書館」がある。
- 利用者が図書館に出向く必要はなく、集荷配送はヘリコプターで行われる。
- 館内には巨大な電子掲示板があり、新着図書のタイトルなどが表示されている。
- 建物は「レインボーライブラリー」の頭文字を象ったRとLの形をしている。
- 「シリンダー」の記憶容量は8時間。BGMのように「かけっぱなし」にするらしい。
樺太労働局さま
- 『バイティング・ザ・サン』 / タニス・リー ; 環早苗訳
- 産業編集センター, 2004.2. 4-916199-58-8
- p.262-264 ドーム都市フォー・ビーの歴史塔。黒くて古くて薄気味悪く、親しみの感じられない建物。ギーギー音をたてる偏屈なロボットが見せてくれる、小さな光の案内図。部屋は金属と塵、そして香料のような匂いがする。それは、粉々に朽ちてしまわないよう特殊な真空ケースに保存され、機械ではなく空気の噴出でページがめくられる仕組みになっている、古代の書物の匂いである。 (2005/5/5)
- 「未来の家」 / リチャード・バトナー ; 小川隆訳.
- 「SFマガジン」2005年6月号, 通巻590号
- 「マイクロフィルムの使い方なんてちょろいもんさ。相談コーナーの女の人がやり方を教えてくれた。むずかしいのは何を探すかだ。」
- ルシオ・ストリートの翼のような家が気になる6年生のエディ・ヘリングは、ダウンタウンの中央図書館に地元紙を調べにいく。記事を検索してマイクロフィルムを出納してもらい、その家が建った日付や設計者を見つけだす。
次に設計者に聞いた『南部建築』という本を公共図書館で借りて読む。エディ曰く、その公共図書館は「コンクリートの真四角なビルで、外部にある飾りといえば、<公共図書館>と書かれたステンレスの銘板だけ」。(2005/5/17)
- 「文学刑事シリーズ」/ジャスパー・フォード; 田村源二訳.
- 『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!』
- ソニー・マガジンズ,2003.10 4-7897-2138-8
- 『文学刑事サーズデイ・ネクスト2 さらば、大鴉』
- ソニー・マガジンズ,2004.9 4-7897-2361-5
- 「文学」が社会の中心に位置するパラレルワールドのイギリス。現実では政府機関リテラテック(文学刑事局)が、書物内世界では「作中人物」たちの組織ジュリスフィクション(文学内務保安機関)が、文学上の宝を守るために奮闘する。
作中の主な図書館(この他にも、名前のみ登場する図書館が多数ある)
- ヴォルスキャンパー邸の図書室
稀覯本の盗難や破壊を防ぐため、巨大な鋼鉄製の金庫の中に作られている。蔵書は整理されていない。
2巻ではシェイクスピアの失われた作品「カーデニオ」が発見される。
- ジュリスフィクション大図書館
今までに書かれた本とこれから書かれる本の全て、さらには本にならなかった原稿や言語化されていないアイディアまでを所蔵している。司書はチェシャ猫。
- 反図書館
書物世界の探検家(ブックスプローラー)が消息を絶った場合、彼らは「反図書館」なる場所に消えたとされる。
なお、消失した者は「ゆきて帰りし物語」の登場人物の名をとって「ブージャムド」と呼ばれる。
- 文学刑事局のウィンストン支局
壁は本棚で覆われ、室内に吹き抜けと螺旋階段がある「田舎の大邸宅の図書室のような部屋」。
財源不足で書庫の増設が出来ないため、支局内には押収された密造本があふれている。
樺太労働局さま(2005/07/09)
- 「人類戦線」 / ケン・マクラウド ; 嶋田洋一訳
- 「SFマガジン」 2005年8月号, 通巻592号
- 「十進分類法を頼りに高い書棚のあいだを歩き,航空機の棚を見つけるまで,一分ほどしかかからなかった。」
- 違う時間軸上のスコットランド,1971年。クライド湾に面した工業都市グリーノックの公立図書館で主人公ジョン・マセソンは反重力を利用した飛行機について調べるが。
図書館は町の中心にあるジョージ王朝風の大建築とあり,内部についての描写はなし。(2005/7/18)
- 「この世の彼方の海」第三部 過去への旅 / マイクル・ムアコック ; 井辻朱美訳
- 『この世の彼方の海』 早川書房, 2006.5 (ハヤカワ文庫SF; 1561 . 永遠の戦士エルリック; 2) 4-18-011561-3
- 「学者など忘却界に落ちるがいい――わたしにとってのこの本の意味こそ,はかりしれぬものだったのに!」
- メルニボネ人の先祖の都,密林を横切る大河に浮かぶルリン・クレン・アの崩壊した図書館にエルリックたちが逃げ込む。
- 広間の壁の一面に何千もの小穴が列をなしてうがたれ,その中に羊皮紙の柔らかさを持った金属様の薄い紙のようなものでできた書物が収められていたらしい。しかし,そのすべては,おそらくジョスイ・クレルン・リイル“生きつづけるべく呪われし者”の手によってすべて判読不可能にされていた。(2006-05-21)
- 「廃墟」 / リン・A. ヴェナブル ; 尾之上浩司訳.
- 『地球の静止する日』 / 南山宏, 尾之上浩司訳. 角川書店, 2008.11. (角川文庫) 978-4-04-298001-8
- 「誰もがみんな入って本が読めるなんて、公共図書館はなんて素敵な場所だろうと、いつも考えていた。」
- 最終戦争勃発。生き残ったヘンリー・ビーミスは,念願の公共図書館へ向かうのだが。
原題: "Time enough at last" 初出: 「if」(1953年1月号)トワイライト・ゾーンで映像化。
- 在りし日の図書館では作業服を着た男も学者風の紳士も充実した時間を送っていた。廃墟となった公共図書館の描写。ドアは吹き飛び,本棚はひっくり返り、本は床の上に散らばり。書かれた時代が時代なので大地震後のようなイメージ。(2009-01-17)
- 「かえりみれば」 / ウィルマー・H. シラス ; 中村融・井上知訳.
- 『時の娘 : ロマンティック時間SF傑作選』 東京創元社, 2009.10. (創元SF文庫) 978-4-488-71503-8)
- 「妙な気がしたわ。わたしは何か借りないと――たくさん借りないといけない質だったから。」
-
1922年11月の自分に意識だけタイムスリップしてしまったミセス・トッキン。大人の自分の知識を生かして,うまく乗り切ろうとするのだが。
- 自分の状況がH.G.ウェルズ「ランポール島のブレッツワーシー氏」("Mr Blettsworthy on Rampole Island", 1928)にそっくりだと気づき,図書館に行って読もうとする。が,15歳の彼女が成人向けのコーナーに入ることは許されておらず,司書のボストンさんに児童コーナーに追いやられてしまう。
「カードを見ると借りている本はなかった」とあり,ブラウン式を採用していると思われる。(2010-01-24)
- 『レインボーズ・エンド』 / ヴァーナー・ヴィンジ ; 赤尾秀子訳.
- 東京創元社, 2009.4. -- (創元SF文庫) -- 978-4-488-70505-3, 978-4-488-70506-0
- 「実際、図書館は深宇宙からもってきたような外見だった。」
- アルツハイマー病から蘇った老詩人ロバート,元文学部長,元天才ハッカー,元兵士が図書館の本を裁断してデジタル化するリブラレオーメ計画に反対。これに国家を越えたマインド・コントロール兵器開発の陰謀が絡む。
カリフォルニア大学サンディエゴ校ガイゼル図書館が中盤から結節点となる。デジタル化反対運動にビリーフ・サークルの戦闘,ついに図書館が(文字通り)動きだす。 (2010-06-05)
- 『泰平ヨンの航星日記』 / スタニスワフ・レム ; 深見弾, 大野典宏訳. 改訳版.
- 早川書房, 2009.9. (ハヤカワ文庫SF ; 1725) 978-4-15-011725-2
- 「そこには禁書目録や索引に乗っている発禁本や揺籃期本がごっそりあったから、こうして思いがけず地下墓地へ連れこまれたことも、考えようによっては、どこか他の星へ着陸するより、あんがい私の為になったかもしれなかった。」p.335
- 泰平ヨンは第21回目の旅で惑星ジフトニアの破壊教団の修道院に匿われ,書庫を自由に使わせてもらう。
検閲官が検閲にやってくると,文庫係の修道士たちは本を樽に詰めて石造りの井戸の中に隠す。(2010-11-08)
- 『太陽の中の太陽』 / カール・シュレイダー ; 中原尚哉訳.
- 早川書房, 2008.11 (ハヤカワ文庫SF ; 1690 . 気球世界ヴァーガ) 978-4-15-011690-3
- 「疲れて目が血走った図書館員たちが棹の先に付けた網を振りまわして、周囲に漂っている本をつかまえている」p.286
- 数百のミニ太陽が輝く無重力の人口世界ヴァーガ。その浮遊国家の一つ,ゲヘレンの首都ボーゲルズバークの図書館が登場する。
247年間連続開館中の図書館。建物は最初の構造に様々な独立した部屋がネジや釘で固定され,建築思想の異なる公共建築がくっつけられた,奇怪な,中まで日の光が差し込まない塊。中は整っていて,中央の円筒形の空間から分類別の部屋に行けるようになっている。利用者は手がかりのループの付いたロープをたどって移動する。図書館員の女は把握能力のある足と鳥のように細い腕を持ち,主人公たちにリーフスクワイアの歴史を説明し,近所のお勧めレストランも教える。 (2010-11-08)
- 「時の鳥」 / ジョージ・アレック・エフィンジャー ; 浅倉久志訳.
- 『ここがウィネトカなら、君はジュディ ; 時間SF傑作選』 / 大森望編. 早川書房, 2010.9. (ハヤカワ文庫SF ; 1776 . SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー) 978-4-15-011776-4
- 「でも,もしわたしがあなたの立場なら」と係官がいった。「いまさら変更はしないわね。図書館ならまる一日いても飽きない。」
- 大学卒業記念にアレキサンドリア図書館への時間旅行を選んだハートスタイン。不安と期待に胸を膨らませて,旅立った彼が見たものは。
- 石の大きな階段の両側に御影石のスフィンクス。外観はNY公共図書館にそっくり。中も現代の図書館そっくり。加えて美人司書のパマリがいて,ハートスタインはたちまち恋に落ちる。 (2010-11-27)
- 「鏡」 / チャイナ・ミエヴィル ; 田中一江訳.
- 『ジェイクを探して』 早川書房, 2010.6. (ハヤカワ文庫SF ; 1762) 978-4-15-011762-7
- 「書架はほとんどすべてとっくのむかしに中身を抜き取られていて,いまは姿なき本の幽霊が並んでいるだけだ。」
- 謎の存在、イマーゴに蹂躙されたロンドン。正体不明の主人公,ショールはレジスタンスとともに敵のリーダーと対峙すべく異形の町を進む。
大英博物館の円形閲覧室が登場。イマーゴの侵攻は図書部門のパンクラス移転後らしく(原作は2002年発表),「無意味な集客スポット」と書かれ,その空虚な空間に実は…。 (2010-12-19)
-
- 「ポータルズ・ノンストップ」 / コニー・ウィリス ; 大森望訳.
- SFマガジン2010年1月号(51巻1号)
"Nonstop to Portales" by Connie Willis, 1996
- 「図書館には行かないの?」トーニャは首を振った。「このツアーではね。現時点ではまだ、コレクションの規模がとても小さいのよ」
- ニューメキシコ州ポータルズ図書館のジャック・ウィリアムスン・コレクション室が登場する。主人公が開室前に待っていると、ワイアフレームの眼鏡をかけたチノパンツの若い図書館員が驚いて開けてくれる。なお、ポータルズ公共図書館は実在し、ウィリアムスン記念講演週間は2011年第35回が開催された。 (2011-05-16)
- 「第6ポンプ」 / パオロ・バチガルピ ; 中原尚哉訳.
- 「SFマガジン」2010年1月号(51巻1号)
- 「ページや背表紙が黒い灰になって形を残している。でも僕がしゃがんで触れると崩れて消えた。あわてて立ち上がって手をパンツの裾でぬぐった。だれかの遺骨に触れたような気がした。」
- 環境汚染が進行し、知能が低下したトログと呼ばれる人間がたむろするニューヨーク。主人公、トラヴィス・アルヴァレスは故障した第6ポンプの修理方法を探して、コロンビア大学を訪れ、図書館に迷い込む。
学生たちも知能が低下し、大学の真ん中にある図書館は訪れる人もおらず、埃に覆われている。一部の部屋では本で焚き火をした跡が残る。最後の図書館員ハーマン・シューンが死んでから、図書館員はおらず、有機化学の教授の妻が立った一人立てこもっている。 (2011-05-17)
- 『竜の卵』 / ロバート・L.フォワード著 ; 山高昭訳.
- 早川書房, 1982.6. (ハヤカワ文庫, SF468)9784150104689
"Dragon's Egg" by Robert L. Forward. c1980
- 地球人との相対時間尺度が100万対1の(つまり地球人の100万倍の速さで生きる)異星人とのファースト・コンタクトもの。異星人側で、地球人とのコンタクト(通信及び情報分析)を司るのが“宇宙通話図書館”という施設で、図書館員も登場する(地球人から、データ通信で百科事典を受け取って、そこから得た知識で文明を発展させたりする)。 OZAWA KOUTAさま (2013-04-29)
- New!
- 「神を見る目」 / チャイナ・ミエヴィル ; 日暮雅通訳.
- 『爆発の三つの欠片』 早川書房, 2016.12. (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ ; 5030) 978-4-15-335030-4
"Watching God" by China Mieville. from "Three moments of an explosion; stories" c2015
- 「図書室にある古い本の多くは,どこかしらページが破り取られている。」
- 2階建てのタウンホールの中に図書館の役目を果たす部屋があり,司書のハウイーがいる。語り手は一時,『彼らの目は神を見ていた』という本を探す。(2017-09-24)
- 『墓標都市』 / キャリー・パテル ; 細美遥子訳.
- 東京創元社, 2017.7. (創元SF文庫) 978-4-488-76901-7
"The Burried Life" by Carrie Patel. c2014
- 「そこは墓場みたいに静かだった。それまでは自分の呼吸する音が大きく聞こえる場所なんて行ったことがなかったの。」
「足が何かにぶつかり,下を見ると,書物があった。すぐそばにある,ひっくり返ったまま忘れ去られた手押し車からこぼれたものだ。マローンはそれを拾い上げた。」
- 主人公の一人,洗濯女ジェーン・リンが孤児院時代に通い,そこでの出会いによって住居と色を得られた市立図書館について,ローマン・アルノーに説明する。また,議会図書館の発掘現場も登場する。(2017-09-24)
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