吟シャリ亭

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産直通信その93:JOE HISAISHI シンフォニック スペシャル 〜 子供たちとかつて子供であった人たちへ〜 ゲスト:石井竜也レポート:米TARO

2002.4.02 THU. すみだトリフォニーホール

久石 譲(ピアノ) 金 洪才(指揮者) 新日本フィルハーモニー交響楽団(オーケストラ)

栗友会(ゲストコーラス)  東京放送児童合唱団(ゲストコーラス)

蒲原 史子(ソプラノ・ゲストボーカル)    石井 竜也(スペシャルゲスト)



 宮崎アニメや、北野武映画でだれでも、その音楽を耳にしたことのある「久石譲(ヒサイシ ジョー)さんのシンフォニックコンサートに、我らが石井竜也がゲスト出演!! 久石さんといえば、2001年12月の石井竜也「D-DREAM」コンサート 名古屋公演にゲストとして参加され、久石さんのピアノで石井竜也は「天空のラピュタ」主題歌を披露。名古屋地区以外の皆は、大層、羨ましかったりしたわけで、これは、行かねば!というわけで、行って参りました。

 会場のすみだトリフォ二ーホールは、オーケストラ演奏を前提にホール設計され、音響効果の素晴らしいホール。この日のコンサートは、子供も親も楽しめる、宮崎アニメからの楽曲が中心であり、お客さんも老若男女、親子連れ、カップル、夫婦、お友達同士と、多種多彩。金洪才氏に指揮された、新日本フィルハーモニー交響楽団と、久石譲さんのピアノで、数々の名曲で魅せてくれました。「もののけ姫」の主題歌などでは、ゲストボーカルの蒲原史子さんの素晴らしいソプラノを堪能。栗友会と東京放送児童合唱団、約50名の女子コーラス隊も、その人数もあって、圧巻でした。

 石井竜也が目当てのひとつではあるけれども、久石音楽に聞き惚れるうちに、はやくも第一部終了で、休憩タイムに。入場時に配られたパンフレットには、本日の演奏予定曲目が掲載(ちなみに、石井竜也もスペシャルゲストということで、プロフィールが載っています)。アンコールにでも、出るのかしら?と思っているうちに、第二部の開始を告げるアナウンス。ステージには、第一部ではなかった、譜面台と椅子がピアノの横にあります。ん?まさか?でも、パンフによると、この後は「となりのトトロ組曲」とある。と、頭グルグルする中、客電が落ちていきます。

 オーケストラがスタンバイすると、舞台下手のそでから、でてきたのは…久石さん……と一緒に、石井竜也!!
高まる拍手。 エー、もう出るの「トトロ」でどーすんの? ラピュタの歌じゃないの?と思うのは、石井竜也ファン。そうでない方が9割5部(推定 笑)の中、石井さん?何?何が始まるのいう反応ののち、客席には水を打ったような静寂が訪れます。

 「これから演奏するのは、青少年のためのオーケストラ・ストーリーズ『となりのトトロ』です。あの名作を音楽で楽しんでください」穏やかな優しい語り口の石井さん。そう、今宵の石井さんは、ストーリーテラーという、重要な役回りだったのです!始まるオーケストラ演奏。(トトロの最初の主題歌、タイトルがでるところの軽快なイントロ、を思い出してネ)タンタタタターター、タンタタタタターター、タンタタタタッタッタッタータタター!「物語を始める前に、楽器を紹介します!!」絶妙の間で入る語りに、思わず客席から笑いが上がって、場は一気になごみます。

 「まずは、木管楽器、ファゴット! オーボエ! パゴットです!」と紹介すると、その楽器のソロ回しが演奏されるという構成。トトロの代表的フレーズを、石井さんが紹介していく楽器群(弦楽器とか、打楽器とか)ごとに演奏してくれるから、同じフレーズでも、全然変わって聞こえて楽しい!ためになる!

 「…これですべての楽器が出揃いました! それでは全員で!!」 久石さんのピアノのリードのもと、一斉に演奏が始まる。思わず、心の中で『歩こう♪』と歌っちゃう、体がゆれちゃいそうな位、楽しい。と思ったら、ステージの上の石井さんもそりゃ、ノリノリで楽しそう。語るときは、手に持った譜面のバインダーに目を落としながら、丁寧にやさしく語ってくれるし、オーケストラの演奏のときには、体をリズムに揺らしながら、楽しんでいる。そうそう、今宵は黒のスーツに、襟が三角に折れた白いシャツ、こげ茶っぽいサングラス、金髪の長めの襟足でございます。この後も、石井さんがトトロのストーリーを語ると、その場面の曲が演奏されて、お話が進んでいくという趣向。「さて、物語を始めましょう! お父さんとメイと五月はのどかな田舎に引っ越してきました。」→演奏→ものがたり→演奏→ものがたり、という感じ。演奏に乗りながら、語りというのも多く、かなり大変な役回りと思うけど、オーケストラバックであった、D−DREAMとは全く異なり、緊張感は微塵も感じさせない。物語の優しさを体現し、楽しさが全面に溢れてます。子供達に分かるように、はっきり、ゆっくりめに語っていく石井さん。場面場面が思い出されちゃう。

 「オーケストラ・ストーリーズ『となりのトトロ』いかがでしたでしょうか。いつまでも、あなたの胸に夢が…、そして、あなたの人生がもっともっと素晴らしいものになるように、いまも『トトロ』は見守ってくれているかも、知れません…」オーケストラ・フル演奏で、うねり上がっていく情感。万雷の拍手。一瞬の静寂、静かに始まるピアノの音色に、『あの地平線♪』と、石井竜也の歌声が乗っていく。天空の城ラピュタの主題歌”君をのせて”。一番の歌詞『父さんの〜♪』でグッときて、『母さんの〜♪』で、もう涙腺は緩んじゃって、緩んじゃって。一番二番の間奏では、回りのそこかしこで、すすり鳴きが。ちなみにこの日は、一階中央で、休憩時間に聞こえてくる回りの話声は石井ファンというよりは、どう聞いても久石さんファン、もしくはオーケストラ好きの方々。そんな皆を巻き込んで、ひとつにしていく石井竜也の歌声に、本当、ファンで良かったと、誇らしい気持ちにもなりました。一切れのパンを、かばんに詰め込んで旅立つ、そんな夢を、みな一緒に見れたと思います。

 再度の万雷の拍手に、客席に深々とこうべをさげ、久石さんと抱擁をを交わし、石井竜也は下手に退場しました。
久石さん曰く、この日の前に東北6県でのコンサートでは、語りは久石さん自ら、ピアノを弾きながら、やっていたそう。「あっち向いて喋り、こっち向いて、なんて無謀なことをやってたんだろうと。(石井さん)素晴らしかったです。この曲、DVDで出したいと思ってます!」とおってしゃってました。

 石井さんは、この後、カーテンコールの時に、蒲原史子さんとともに登場。しゃべりは無しで、礼のみ。ゲストとしての役回りに徹しながら、大きな贈り物を客席に、私達の胸に残してくれました。久石さんのコンサート自体、本当に素晴らしく、終演後、最新のベスト・ピアノソロアルバムCD「ENCORE」 を買って帰ろうと思ったたら、完売! 帰宅後、すぐにインターネットショップで注文しちゃいました。みなさん、オススメですよ。そして、また、石井竜也のコラボレーションがあると素晴らしいな。

 




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