吟シャリ亭

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産直通信その7:土浦の石井さん

レポーター:=東京都台東区 M330

石井竜也・空想美術館 ”PARALLEL WORLD”「スーパーアートライブ」
1997/10/2 at 茨城県土浦駅前「ウララ」5F(県南生涯学習センター中講座室1)
土浦中心市街地活性化実行委員会主催、 市の広報で募集し、1,312通の応募ハガキから当選した100名のみ入場可のイベント。
テレ朝のおかだようこアナの司会進行で、まずはマル秘映像(作品制作過程、LIVE−A−LIVE,空想美術館の記者会見等の模 様を織り交ぜて、音楽は、RAINY ON THE SEA/MOMENTO/ひだまり/あいしてる)を30分弱上映。

石井館長登場!!真っ赤な長袖Tシャツに茶の上下に黒いサングラス。
会場が階段教室のような、教壇が一番低くて聴講生(?)が上から見下ろすような所だったので、石井さん曰く、「いつもは高い所から みんなを見てるのに、今日はなんかミクダサレテルみたい」
みんな抽選でバラバラに席が決められてるので全体に雰囲気が固い。
やはり地元の茨城県下からの参加が多く、ちょっと見てみようかしら風のおじさんおばさんから、大阪より参加の熱心なファンまで、色 々なメンツを前に展開された石井先生のトークは・・・・

十数年ステージで歌ってきて、一人一人の顔とか覚えてる訳じゃないからずーっと同じように感じちゃうけど、皆は子供産んだりとかど んどん変わって行って、自分だけがいつまでも同じ場所に取り残されてしまってる気がして・・・・。学校の先生なんかも同じだと思う けど、いつも目の前にいる生徒は中3とか、高3なので錯覚しちゃうけど 実はどんどん卒業して大きく成っていってる・・・自分もそれ であせって結婚したようなもんなんですけど。
今、[自然・ナチュラル・普通]、の3つを押さえていれば世間では後ろ指ササレナイ!
「俺、自然です」ーったって、カメラの前でポーズとったらもう自然じゃない。”米米”も自然じゃない。”爆風”とか”聖鬼魔U”とか も自然じゃない。だいたい昔は「自然」なんて使わなかった。いまじゃ「普通」とか「自然」が仲間はずれにされない為のキーワードみた いになってる。「彼氏どんな感じ?−−ん〜普通。勉強やってる?−−ん〜普通。」ってね。
趣味・嗜好でも他人の顔色を伺うみたいで、例えばあるバンドがいい、と思っても一人じゃ言い出せなくて、10人中3人ぐらいがいいよ ね、って意見が出て初めていい!って言えるような感じ。女子高生なんかでルーズソックスとかプリクラとかがいいと思わなくても、それ をやらないとそこの文化圏に入ってらんないとか、個人個人の趣味嗜好が大事にされていない気がする。

この前「うたばん」の収録で”誕生祝い何がいいですか?”って聞かれたんで「人体模型」をお願いしたんですよ。
実は人体模型には思い出があって・・・・・。
学校の理科室のお掃除当番の時にあの骨格標本がぶらさがってるのを美しいと思ってしまって、班長だったんでみんなを仕切っちゃって、 今日は細かい所まで掃除しよう!あ、君その辺のビーカーきれいにして!僕この標本やるから!とか言っちゃって、ホコリを被ってた体が 半分に切れてる男のこ(股間が痛々しい)を掃除しようとしたら、内臓がバラケちゃって、元に戻せなくって・・・班長が一番散らかして るだけだったんだけど、午後の光の中で半身の人体模型の内臓がキラキラと輝いていた・・・・。

今日10/2からここでの空想美術館が始まりましたが、6回目の開催でここが一番すごい!厳選に厳選を重ねたモノだけを並べた・・・ ・・ので、点数は少ない。今回の目玉は、”テラコッタ”(てらこった・やなこった・・・)。これはもう、自分で持って帰りたい位イイ !
大きい絵は3日くらいで描き上げたんだけど、14時間位描いてると腕が上がったまま下がらなくなる。手がおかしくなって、マラソン後 半のランナーズ・ハイみたいに動き続けたりする。スポーティーな描画だった。

絵を描く時のインスピレーションについて。
絵を描く時にどこかから声が聞こえる・・・・(ちょっと低い不気味な声で)「次の色は赤だ〜!」、「ちょっと黄色足せ〜!」、「!多 すぎる〜!」、とか。筆持つと「右〜!左〜!」・・・って、これはウソ。
描きたい時は白いキャンバスに絵が見える。イタリアに言った時に聞いた話だけど、ダヴィンチとかミケランジェロとかは自然の石の中に 人の形が見えていて、それを削り出しているだけだったらしい。(…・昔、縁日で型抜きガムってあったけど、針で突ついて形を削ってっ て、ちょっと欠けちゃった所を舐めてくっ付けて、おっちゃんに「出来たよー」って渡しても、「欠けてんじゃねえか」ってバレちゃって、 …・って、どーでもいいですねこんな事)

三半規管の思い出・・・・。米米のレコーディングでニューヨークへ行ってた時、三半規管の模型を見つけて(それが野菜とかTシャツと かと一緒に置いてある変な店で、縦横40cm位の大きさで)「はうまっち、いくらですか?」って聞いたら「30万円」!高いからやめよ うと思ったけど「10万円」って言うから、やっぱ欲しくて欲しくて買っちゃって、壊れない様に空港でも大事に抱えてたら、メンバーが 「恥ずかしいからやめろよ〜」って言うから「何でだよー、お前らにも付いてるんだぞー!」なんて。
その時はお金が無くて”三半規管”しか買えなかったけど、悲しげな顔の女の彫像(デッサンが狂ってるんだけど、その狂い方がまた凄く 良くって、それ)も欲しくって、でもお金無いから諦めて、「いーよなぁー!お前がいるからなぁー」なんて”三半規管”に話し掛けてた ・・・・・。それは暫く部屋に飾ってたんだけど、ころばしちゃって渦巻き管が折れちゃって、結局捨てちゃいましたけどね・・・もった いなかったなあ。
あ、結婚しておいて良かったと思いますねーこんな(人体模型とか三半規管が好きなんて)話し聞いたら誰も結婚してくれませんよね。

恐いもの見たさって誰にでもあると思うけど、倫理観とかがあるから死体は見たいけど見たらいけないって・・・・あのダイアナさんの事 故の時の・・・・・・(懐に手を入れ乍ら)ここに写真が・………・って、ウソウソ!!・・・・ほらね、見てみたいでしょ。
昨日試写会で「スノーホワイト」観てきたんですよ。ディズニーのイメージが強いかもしれないけど、これは原作に忠実に女の人が生まれ て子供から大人になって老婆になるまでを描いていて、王子は途中で殺されちゃうし、姫は7人の小人の内の一人と結ばれるし・・・(会 場”ええっ〜!”)アメリカ映画っぽく無い(「セブン」もヨーロッパ系のテイストだったし)陰湿さがあって、変わって来たなーと思っ た。

大きい絵は無心で描く。何も考えずにひたすらに描いた絵は出来上ってみると、描き手の幼い部分も大人の部分もすべて出ている。絵を見 ただけで、言葉ではなく感覚で“石井ってこんな奴!”って伝えられてしまう。
1秒間に何百万字ものアプローチを受けるような事が瞬時に分かってしまう能力が人間には備わっている。

ブロンズの作品について。鋳造法といって、まずロウ粘土で形を作り、それを元に石膏の型を取って、(温めるとロウが溶け出して中が空 洞になったところへ)ブロンズを入れて作るんですが、ロウ粘土を細工するのに、家で夜中にトイレに閉じこもって(バスタブとトイレが 一緒なんで)バスタブに熱いお湯を張って、そこでロウ粘土を溶かしながら、アチアチアチ…なんて言いつつ、夜中の11時〜朝7時位殆 ど寝ないでこねてた。それが解散前の2ヶ月位で、大体昼前から練習があるんだけど、寝てないからハイになってて目がトンじゃってるん だけど、その頃TVに出てたのを今見ると、何やって何言ってんだか訳ワカンナイ。まあ、ハイに成らないとみんなを引っ張っていけない から、「よ〜し、じゃ、うたっちゃおうかな?うん!」な〜んて、フロントがしょげてたらしょうがないから無理矢理明るくしてたんで、 そういうフラストレーションを全部作品に叩き込んじゃった…・。名実共に独立する自分の転機だった。

今回は120〜30点作った作品の中から、70点程出品しているが、「どれが1番いいですか?」と聞かれても、作品は自分の子供みた いなものだから、想い入れはすべてに有る。例えば、お母さんはどの子がいい?と聞かれて産んだ子の内の1人を言えますか?みんなどの 子もかわいい、と思うはず。

アーティストはコンプレックスが無いと駄目だと思う。(キムタクは足が短い。反町はTシャツしか買えない。だから、共感が持てる。? ?)
心に何か欠けているからこそ、何かを求める。失敗しないと大きくなれない。見栄張ったり、怒ったりした方がいい。
不安はいっぱいある。だけど、それはアーティストとしては良い事だと思う。
変に自信の付いたイヤラシサは良くない。モノを創る人じゃなく、評論家になってしまう。
「おぅ、石井、ちょっとここ座れや。おまえなぁ、ポンキッキーズ出なきゃだめだよ〜」とか言う奴。ね。

自分でやってみたい方向について。
ライブでお客さんと一つになった満足感(いやらしいですけどね)は忘れられない。
寝てる時に歓声が聞こえてくるし…・(ノッテルかーい!?)とかね。はっとして目が覚めるけど。
笑えるライブがやりたい。笑ってると方向が前向きになる。その点、映画のプロモーションの時はつまらなかった。まじめに説明するばか りで…。フィルムの種類がどーのこーのとか。

今度のライブには金子君も誘ったが、今呼んで一緒にやったら彼が大きくなるか、と言ったらそうではない。彼はファンク・ジャズみたい なのが好きだけど俺は好きじゃないから、もし一緒にやるとしたらそういうのはやらせないから、好きな事を突き詰めて行くには今誘うの は良くないのではないか、と考える。1人にならないと本当の自分は分からない。

SHOWというのは人が人を見てるので恐い。小心者なのでいろいろ気にしちゃう。人格が違う人が大勢集まっている場で若い子から年配 の方までを楽しませるのに話題に気を配ったり。

自分のホームぺ−ジに寄せられる悩みとかを見ると、彼氏の事とか、お父さんの事とか色んな人が色んな事を書いてきてるけど、みんな悩 んでるのは一つだけ、「わからない」って事。
そういうのを見るとみんな同じなんだぁって安心する。

自信を持ってる人の意見は強いからつい流されてしまうが、他人の強い意見には要注意。もし、その人の意見に従って間違ったら、やはり、 その人を恨みたくなるし他人を恨むと悪いしね。大事な事は自分で決めないと。
「奥さん、この2つのコップは同じに見えるけどじつは、実はこっちがベニスで作られたもので、こっちのは香港製なんだ。ほら、こっち のコップで水飲んでごらんなさい、味が全然違うから!」…な−んてね、騙されちゃうんだな。

客席からの質問コーナー;

Q1:「WHITE MOON IN THE BLUE SKY」のカラオケバージョンは、一人でブースで録音したんで すか?&応募テープは本当に聞いてくださるんですか?

A1:勿論ひとりでブースに入って録ったんだけど、スタッフとかは外で聞いて笑い転げてて、その反応を見ながらやってるんだけど、ガ ラスに自分の姿が映っちゃってて、そのガラスに映った自分が惨めでしたね。テープはもう40本位来てて自分も聞いたけど、女の子には キーが低くて辛かったみたい。

Q2:もう映画は撮らないのですか?

A2:あまりお金を掛けないで、「アートアパートメント」という売れないアーティストの話しを、昔の自分を思い出しながら撮りたいと 思ってる。

Q3:水墨画は描かないんですか?

A3:自分では描かないけれど筆のタッチは好きです。日本人の感性に合ってると思う。
中国の子供なんかはうまいですよね、水墨画とか。小さい時から習ってて、さささぁーっと描いちゃう。
(石井屋のたぬきの絵は?)…あれは新聞紙の裏に描いたのをオヤジが勝手にコピーして使っちゃって、著作権どうなってんだよって言っ てるんですけど(笑)

Q4:「うたばん」でもらった人体模型はどうしてるんですか?

A4:今、机の上に置いてます。「鈴木くん」って名前付けました。

Q5:人間不信で人の顔が描けなくなったと聞きましたが、今はどうですか?

A5:“人間不信”という言葉を意味も分からずに使ってたところがある。
“この人は”と思っていた人が、米米の解散を機にスッと横を向いてしまった事があって、自分も解散で辛い時に、なんか自分の胸の傷に 他人に塩を撒かれた気分がして、当時はしんどかったが、今はもう大丈夫。

最後にこれだけは言っておきたい;

今度の実験ライヴは、始めはファンと関係者だけに見せる2回公演のみの予定だった。
が、フジテレビの協賛を得て8回の公演になり、中途半端な大きさになってしまった。
一般売りが30枚しか無い状態で、みんなにはご迷惑をかけたけど、来年の2月のライヴが本番なので、是非そちらに期待して下さい。
では、これから「FAN」の収録に行って来まーす。
きょうはありがとうございました。

という訳でございまして、トークショーが終了しましたが、途中メモしきれずに割愛してしまった部分も多々あると思います。
例えば「自然といえば、パンツいっちょでハナクソほじってオナラしてたら自然」…って一体何の話しだったか…掴み切れないうちに次の 話しへ行ってしまったのか?変なメモだけが残ってしまいました。

オマケにVTRの中の名言集:
「偉大な人には銅像が良く似合う」 (パラレルワールドの記者会見で)
「訳ワカンナイものを描いていれば天才と言われるけど、これはそういうんじゃないですからね」
「僕は楽しいけど皆さんは大丈夫ですかぁ?気ぃ遣っちゃうんだよね、俺って。そこが憎めないところなんだ!」(LIVE−A−LIV Eのアート・パフォーマンス中に)


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