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大久保コリアン街探索 04.09.24

高麗博物館入口
虐殺の絵
虐殺人数パネル
小泉八雲邸跡

9月24日は、外国人住民基本法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会主催の企画で、在日朝鮮人の方が多く住む大久保周辺地域を巡ってきました。JR新大久保駅で待ち合わせをして、幕府の鉄砲隊百人組が信仰したという皆中稲荷神社に集合しました。そこから大久保コリア街へと巡り歩きました。印象的だったのは、数種類の言語で記された看板などですが、また今流行のヨンさまグッズや韓国の雑誌などを売るお店などもあり、新たな文化スポットの予感を感じました。そこから小泉八雲邸跡地にある公園にゆき、大久保通り沿いにある高麗博物館に行きました。高麗博物館へははじめて行ったのですが、パネルと写真による関東大震災の新聞報道と朝鮮人虐殺についての展示でした。当時の虐殺の風景を描いた絵や写真、当時の虐殺を隠蔽しようとした新聞報道、関東各地での虐殺された人々の人数を表記した地図などを拝見するにあたり、大変衝撃的な事実に遭遇したように感じました。そして、いまだ現在にいたるまでその虐殺の事実をほとんど認めようとしない政府のあり方が続いているとのこともまた大変驚くべきことでありました。これらのことについては、山田昭次著『関東大震災時の朝鮮人虐殺-その国家責任と民衆責任』創史社2003年を読まれることをお勧めいたします。またそのことに関連して秀吉の朝鮮での虐殺のことも説明されていましたが、江戸時代の数百万のキリスト教徒の虐殺とともに、日本人の心理面において虐殺という現象が、どういう原因に基づき起こってきたのか、あらためて古代史を含めて根本的な解明が必要なのではないかと感じる次第でした。10月17日まで展示しているのでぜひ一度足を運ばれることをお勧めいたします。その後、韓国料理屋にて昼食をとった後、日本福音ルーテル教会にて外国人住民基本法についてのビデオと、在日外国人の方々の講話を聴きました。そもそも外国人住民基本法についてあまり知らなかったのですが、その在日の方への差別的な扱いが実に多く生活の隅々にいまだ見られることと、国や地方公共団体からの援助が少ないことに驚きを感じ、その法律の必要性を感じました。講話等もまた衝撃的で、中でも、国税を支払っている在日の方々がいるのにもかかわらず、時にその方々のための外国人学校へ国や地方公共団体からの支援費が出ないために、つぶれたパチンコ店を改築して外国人学校を設立している話や、その学校へも行けない子供たちが多くいるという現状についてかなり考えさせられるものがありました。さらに今の少子化にともない、在日外国人の方々の増加なくして日本の経済もなりたたない時代も迫ってきており、今現在でも200万人を超える在日の人々の人権を保障することの重要さについて、そして今までの単一民族国家観から多民族国家観への理解を助長することの重要さについて、その中で果たす古代史の役割とともに大きな課題を感じました。この多民族国家観の重要さについては、9月12日にたまたまカトリックの友人に誘われて行った法政大学でのアイヌの歴史に関するシンポジウムでも強く感じました。この学会でも江戸幕府とアイヌ人、さらサハリンや大陸などとの交流を通して、どのような形で文化の混ざり合いがあり、さらに和人の支配や差別、文化的な押し付けなどがどういう経緯を通して進展し今現在にいたっているかについてなど詳細な報告がありました。これらのことは、いわばマイノリティーに対して、日本人が過去の歴史を通していかなる視点で対処してきたかということ、さらにもっといえばそのことについてどういう日本人特有の心理的な反応があり、それに従い手段がとられ、それが現在まで持続し続けたかということについて、改めて客観的に直視しながら解明を進めるということにつながるものと感じました。特にもっとも顕著な現れ方をしているのが、在日朝鮮人の方々への日本人の対応であり、そういう意味でも今回大久保の探索にて得られたものはとても大きかったと感じます。

※高麗博物館展示資料写真については許可を得て掲載しております。