公営温泉考

公営温泉考


北海道各地に公営温泉が増え続け、今では各市町村に一ヶ所程度の温泉があります。 そのどれもが300円から500円程度の料金で楽しめ観光客にとってもそして当然のことながら地元の人にとっても受け入れられています。 しかしながら増えすぎた温泉はその公営温泉相互間で競争をもたらし、また既存の民間の温泉を圧迫してきています。

公営温泉があまりに人口密度の少ない地域に複数立地した場合当然のことながら選別が行われます。 地元の人にとってはやはり住んでいる市町村の温泉は入浴料が多少安くなること、家からの距離等もあり別の市町村に行くことは少ないでしょう。 しかしながらその複数立地した温泉が地元の人のみを指向したものではなく中途半端に大きい温泉であった場合、観光客がどれだけやって来るかは重要な問題です。

道北の市町村などは特に人口が少ない中に過当競争的に温泉が立地しています。 こうして経営的には持ち出し分がかなり出てきてしまう温泉が実際に増えてきてしまいました。 スタンプラリー的なことを道北の公営温泉がまとまってやっていますが観光客自体も伸び悩む中、どの位の効果があったのか疑問です。

このようなことから考えるに観光客を呼び込むような温泉は幾つかの市町村がまとまってひとつ建設する方式がやはり良かったのでしょう。 多少投資をしてあまり他にはない温泉を整備するのも一つの手でしょう。 エンターテイメント的な色彩を強くした温泉がやはり望まれます。 そして各市町村には地元の人の利用温泉をを中心に考えられた温泉を建設するのです。 温泉自体はリラクゼーション的な色彩を強くし中央公民館的機能を持たせるなどの施策が必要ではないでしょうか。 このように機能を分担した公営温泉が理想的ではないかと考えます。

しかしながら公営温泉があまりに立派になってしまうと既存の民間の温泉は存続の岐路に立たされます。 瀬戸瀬温泉など利用客が激減している温泉は結構あります。 公営が民間を侵すことは本来なら必要最小限に留まらなければなりません。 ゆえに民間の温泉が集中する地域には地元の人の利用のみ考えた小さな温泉を建設することが望まれます。 小さな温泉にすれば投資額がかなり減少するのでひとつの市町村にドミナント的に複数の温泉を立地させていくのがいいでしょう。 壮瞥町などがそんな方式でやっている市町村としてあげられます。

今後さらに公営温泉は増えていくと予想されます。 そんな温泉が無駄な投資とならずに楽しく利用できることを期待してやみません。


北海道旅情報巻頭  8.アラカルトレポート