終航前夜・3月12日青森発17:05羊蹄丸



思えば急遽決めた青函連絡船最終日の訪問でした。春休みに入っていたのですが前日まで行くことは実は決まっていませんでした。88年3月12日朝訪問が決まり、私は旅立ったのです。

新幹線に飛び乗り、青森駅を目指しました。今となってはどの新幹線に乗ったのかさえも記憶、資料にも残っていないのですが時刻表から推測すると上野11:00発のやまびこ51号と思われます。そして盛岡駅で14:31発のはつかり13号に乗り継ぎ北へと向かいました。最終日前日ということではつかり号も混雑していたのを覚えています。

盛岡駅出発時、青森駅到着前の車内放送では青函連絡船は朝から満員が続き、グリーン船室、寝台室の指定券を持っていなければ乗船もままならないとの内容が伝えられます。車内にはため息がもれます。そして私自身も急な訪問のためそんなものを持ってはいません。はつかりは青森駅に16:52に到着するのですがどうすればいいのか悩みます。


道内時刻表87年12月号より

青森駅にはつかり号が到着。すぐの乗船は半分あきらめながらも青函連絡船乗船口に向かいます。駅の放送もすぐの乗船が不可能なことを伝えていました。はつかりで下車し青函連絡船をすぐに乗ろうと思っていたのは約30人くらい、なんとなく一団となって歩いていきます。駅係員がその姿を認めこの一団をすぐに乗船は無理なことを伝え、なぜか今までの列とは違う場所でちょっと待つようにと言いました。いつ乗船できるのだろうと不安になりながら少し待っている中、と青函連絡船7便17:05発羊蹄丸の出航の時間が近づきます。その時です。別の駅係員がこの一団を認め団体と勘違いをし、「早く乗船してください。」との声をかけたのです。偶然にも一団はこうして桟橋に歩みを進め羊蹄丸に乗船することになったのでした。



羊蹄丸は定刻どおり青森港を出航します。連絡船待合室には鈴なりの人、こんな青森港の情景は明日の同じ時間17:05に最後の時を迎えるのです。



デッキにも多くに人が立ち青森港出航のシーンを目とカメラに焼き付けます



アスパムが徐々に遠くなっていきます。



売店にはかわるがわる人が訪れ、記念グッズを買い求めます。



グリーン船室も、桟敷席もほぼ満席。天井には手作り?に近い飾りつけもされていました。



喧騒に包まれた船内で過ごした4時間は瞬く間に過ぎ去り函館港に入港します。デッキには夜にもかかわらずやはり多くの人が立ちタグボートの羊蹄丸を押す姿や函館へ入港する光景を見守ります。函館駅は桟橋から待合室までこうこうと明かりがともり不夜城を思わせますが、それも明日で最後を迎えるのです。

そして函館港に着いたとき、3月13日17:00発上り最終便羊蹄丸に乗れたらいいなあとおぼろげながら思ったのです。



北海道旅情報巻頭  3-11.青函連絡船資料館 
終航前夜・3月12日青森発17:05羊蹄丸