尻羽岬・厚岸湾を望む



大学時代初期の北海道旅行ではどうしても障害になったのが免許を持っていないということです。そんな私にとって尻羽岬は憧れの対象でした。最寄り駅の根室本線尾幌駅からは15km、釧路からの北太平洋シーサイドラインには公共交通機関としてのバスはありません。周りに同時に訪れる観光地がある場所ならいざしらず尻羽岬だけのために往復30kmを徒歩で費やすことはできないでいたのです。

そして車を手に入れまず行きたいと思ったのがこの尻羽岬です。道東を車で訪れたとき一目散に向かった先のひとつです。岬としての風景は実際のところ厚岸湾を挟んで対岸の愛冠岬とはそんなに変わりません。しかしながら初めての訪問での尻羽岬は達成感もあり最高でした。アプローチとして知方学からダートが残っていたのも嬉しかったです。

2回目の訪れた時は残念ながら霧でほとんど視界が利かない状態でした。大黒島、愛冠岬などは当然全く見えません。そしてたまたまその時には駐車場に先客がいたのです。8月ということで観光地としては極めてマイナーな部類に入るこのような場所でも人に会うことは珍しくはありません。しかしながらその方々に茹でたシマエビなどを頂き話しをているとかつてこの地に住んでいた人だったのです。この一帯は台地が海まで迫り急に崖となり水中まで落ち込みます。そんな陸と海との狭間のわずかな土地に家を建て暮らしていたとのことでした。話は多少大きくなっていたのかもしれませんが「この場所は私たちが住んでいた場所で私たちの土地だった。」と言い、その当時のことをいろいろ話して頂きました。

今ではこの岬周辺には全く住む人はありません。



駐車場から四駆などで昔はさらに奥まで入ることができたらしく轍が岬の丘の上まで続いていました。



(地域別情報4-12-3.尻羽岬に地図と周辺案内があります。)


北海道旅情報巻頭  3-9.ぐるり海岸線紀行
尻羽岬・厚岸湾を望む