岡崎式マットレスを追う

岡崎式マットレスを追う


■岡崎文吉の河川改修

明治時代、開拓の手が入る頃の石狩川は石狩平野をうねうねと蛇行し流れていました。 その周りは低湿地帯が広がり、そのままではとても農業には適する土地ではありませんでした。 ゆえにどうしても何らかの形で河川改修工事を施す必要があったのです。

河川改修には様々な方法があります。 大きく分けると蛇行する河川をショートカットし結んでいく方法と今ある河川の流れを尊重し改修していく方法です。

前者はほとんどの河川で取り入れられているもので河川は直線的に河口まで流れていくことになります。 石狩川も蛇行した部分はほとんどショートカットされ今の姿になったのです。 また石狩川だけでなく天塩川、釧路川、標津川、北海道のすべて主要河川で行われてきた河川改修方法です。

一方後者は蛇行した川はあくまでその状態で保持し改修していくもので、 最近こそ多自然型川づくりと呼ばれる手法で似た改修は取られていますがあくまで中小河川に限られます。 しかしその手法を明治時代に提唱し実行した人がいたのです。 それが岡崎文吉です。

岡崎文吉は河川改修の方法として川の岸と河床に小さい長方形のコンクリートを針金で縫い合わせたマットを敷くことを提唱しました。 このマットは正式には岡崎式単式護岸と呼ばれるもので、今ある河川の状態を保持しながら河川を改修することになります。 そして石狩川の改修工事の初期には実際に取り入れられた工法だったのです。 河川改修の効果から考えると必ずしも最適なものという訳ではありませんが、 人と河川の折り合いをつけるうまいものとも言えます。

岡崎式マットレスは石狩川下流の一部、茨戸川の流域、夕張川などで見ることができるそうです。 また石狩市の川の博物館でも石狩川河川改修の歴史を学ぶことができます。 石狩川の流域で岡崎式マットレスを探す旅なんてのも楽しいかもしれません。

■伊納の水門と岡崎式マットレス

伊納の水門で岡崎式マットレスが使われているのを発見しました。 本当に水門部分のみしかマットレスは敷かれていませんでしたがかつてはもっと広域に敷かれていた可能性もあります。 年月を感じさせる状態でしたがそれでも護岸としての役目は果たしていました。


  
北海道旅情報巻頭  3-4.川と水の風景