涙岬・旅人の記憶の中に



厚岸から霧多布への海岸線はそのほとんどが台地がせり出してきて、すとんと崖になっている地形です。愛冠岬、アヤメヶ原そしてこの涙岬とほとんど同じ様な雰囲気の岬なのです。涙岬の唯一の特徴とも言えるのが岬の岩が人の顔の形をしているということでしょう。

この岬を最初に私が知ったのは「とらべるまんの北海道」という本の中でした。この本は80年代前半に創られた名作ともいえる自主制作北海道観光ガイドで、その中では函転涙岬として人がほとんど訪れることもない、道も不確かな岬ということで紹介されています。またJTB発行の「ひとり歩きの北海道」には、バックパッカーだけに知られた秘密のスポットで麻雀でカモになった旅人が涙にくれハコテン涙岬となったという風説が信じられているとの記述も見られます。かつてこの地はまだ黎明期であった旅の宿の元祖ともいえる藻散布にあった白鳥の宿や霧多布YHの人たちが一日かけて歩き開拓した場所だったのです。

今では駐車場が整備され涙岬とそのとなりの涙岬を眺めるための展望地への歩道が整備されわずか30〜40分あれば一回りすることができ、多くの人がそれだけを見て立ち去ります。しかし昔はさらにその奥まで海岸線を伝い歩いた人たちがいたのです。





(地域別情報4-12-3.厚岸・愛冠岬・あやめが原・涙岬に地図と周辺案内があります。)


北海道旅情報巻頭  3-9.ぐるり海岸線紀行
涙岬・旅人の記憶の中に