上ノ国散歩その1・上ノ国駅〜花沢温泉


上ノ国は知名度は残念ながら北海道の中でも低い部類の町に入るでしょう。しかしながら北海道の中でも最も早く和人が進出し支配してきた地域でもあり、その史跡、遺構がたくさんの残っています。和人の進出は15世紀に遡りますが、この時代は和人とアイヌとの間で上ノ国、下ノ国(茂辺地〜函館)、松前などの地域の争奪が行われてきました。そのような抗争の中で上ノ国を本拠地とした蛎崎季繁が武田信広とともに確固たる地位を築いていったのです。後に蛎崎氏は松前に本拠を移しますが、上ノ国はその後も重要な拠点として残りました。

上ノ国をめぐるには江差線を利用して上ノ国駅で下車し4時間程度あればほとんどの場所に行くことができます。車で訪問の場合は史跡の集まる上国寺周辺に車を停めればいいのですが駐車する場所がほとんどなく、花沢温泉か上ノ国市街の上ノ国診療所あたりにちょっと置かせてもらうのがいいかも。


上ノ国駅から歩みを進めていきましょう。上ノ国駅には観光案内所も併設されていて資料をもらっていきましょう。飲み物、ちょっとした食べ物も近くにコンビニが2軒あるので調達できます。食事をする場所も若干あり写真の水土里庵もそのひとつ。上ノ国駅から天の川を渡る手前左手にある新しいそばの店です。大変寒かったので暖かいきのこそばを頼みましたが、あっさりしたそばと濃厚なきのこ入り汁はなかなかの味でした。


上ノ国を貫く天の川を渡ります。橋は天の川かささぎロードと名づけられていて欄干にはブロンズ像、そしてパネルが歩道の横に随所に取り付けられています。夜の橋は街灯がともりなかなか幻想的という話もありますが、ここまでいろいろ手を入れる意味が本当にあるのかちょっと疑問です。写真の対岸に見える丘陵地は花沢館のあった場所。


天の川橋を渡り左に入ったすぐの所にあるのが花沢館の跡。15世紀に和人が進出してきた際に造られた道南12館といわれる城のうちのひとつです。コシャマインの戦いの際に他の館が次々と落城する中、この花沢館は館主蛎崎季繁が守りきったのです。現在でも土塁などの構造物は残っていますが整備されているわけではないので中に入っていくことはなかなかできませんが、細い標柱の脇を登っていくと説明板もあるとか。遺構はほとんど人の目に触れることはありませんが、蝦夷の地で和人が最初に足がかりとした地はここだったのです。

花沢館の跡を通り過ぎ少し行った所にあるのが花沢温泉です。上ノ国では湯ノ岱温泉が歴史も知名度もあるわけですがこちらは市街地に近い。散策の後に立ち寄るのもいいでしょう。弱アルカリ性低張性高温泉。

(日帰り入浴:200円、9時-21時、火休)

(地域別情報4-2-2.上ノ国・湯ノ岱温泉に地図と周辺案内があります。)

北海道旅情報巻頭  9.アラカルトレポート
上ノ国散歩その1・上ノ国駅〜花沢温泉