金華駅と常紋トンネル


常紋トンネルは石北本線の難所としてそのトンネル掘削は困難を極めました。そしてその工事では囚人を主とする人々が強制的に労働に従事していたのです。多くの人が病、疲労に倒れ亡くなっていきました。そして中にはトンネルにそのまま塗りこまれたままの人さえもがいました。併走する道路も短期間に長距離の開削を求められ多くの人が命を失いました。旭川から網走にかけての道路、鉄道はそんな悲しい物語が特に多いところでもあるのです。

しかしながら沿線の山村部は急激に過疎化が進んでいます。稲作にも不適で大規模な牧畜、畑作を行えない山村は生きていくには余りに厳しく少しづつ人口が減少していきます。金華の集落もかつては小学校もある町でしたが今では駅前の通りにわずかな人が住んでいるに過ぎません。駅前には廃墟もあり寂しさをかきたてます。先人が本当に苦労して築き上げた地が再び自然に帰していくのは残念を通り越し無念といえるかもしれません。

かつての金華小学校の跡には常紋トンネルの慰霊碑が静かに立っています。国道からは階段を上り行かなければならないので日常から隔絶した世界がそこには広がります。国道に慰霊碑のあることを示す看板の横を猛スピードで車が駆け抜けていきます。

しかし金華にもごく普通の生活が営まれているのも事実です。国道から駅への道の角には卵を売っている旨を知らせる小さな案内がありますし、金華峠を越えた大黒沢には急峻な地形にも関わらず牧草地が広がります。そんな風景をとても美しくただ国道を通り過ぎるだけでなく見つめてほしいものです。

慰霊碑に向かう階段の下には無理すれば一台車を止めるスペースがあります。また常紋トンネル方面にはダートの道がありますが進入はできないという話もありますので注意が必要です。金華駅も昔ながらの低いホームが懐かしさを感じる味わいのある駅ですので訪問をお勧めします。

金華駅正面 金華駅ホーム 金華駅生田原方面を望む
金華駅前通り 金華小学校跡記念碑 常紋トンネル慰霊碑

北海道旅情報巻頭  3-5.北の鉄路
金華駅と常紋トンネル