残雪の濃昼山道



濃昼峠から厚田を望む



濃昼山道は幕府が西蝦夷警備のために厚田場所請負人濱屋与三右衛門に命じて開作した山道で、1857年箱館奉行所の一行が通った記録があります。その後1859年幕府が庄内藩に天塩〜岩内間の警備を命じ、その輸送路としても使われましたが1868年戊辰戦争の勃発により庄内藩は引き揚げました。明治の中頃にルートの変更、改修が加えられましたがやがて使う人もいなくなり荒廃してしまいました。

そのような状況の中でこの山道を知った有志の方が平成12年に濃昼山道保存会を立ち上げ、再整備され今は散策路として訪れる人も多くなりました。今回は濃昼側から濃昼峠までを歩いただけですが濃昼峠からの厚田を望んだ時に見えた一筋の残雪が残る濃昼山道のラインは有志の方が発見し感動した風景と同じなのかもしれません。

濃昼山道は濃昼〜濃昼峠〜滝の沢側山道入口が整備され、片道約5時間半で歩き通すことができます。濃昼〜濃昼峠往復は約3時間。



濃昼の集落は国道から海岸側に少し入ったところにあり、濃昼山道入口も旧国道沿いにあります。駐車スペースは山道入口より50m程国道へ行ったところに10台程駐車可能。



まずは濃昼の谷に流れ込む小さな沢を遡っていくことになります。砂防ダムのすぐ上で渡渉し、登山道は泥濘の中を進みます。



標高84.5mの水準点。



沢を詰めていくと雪が増えてきました。山道は尾根に登る手前でつづら折になりますが残雪で道も不明瞭でしかたがなく一気に尾根に取り付くことにしました。



尾根に出ると眼下に海を望め、送電線に沿って気持ちのいい明るい山道がずっと続いていました。



濃昼峠は357m、山道の最高地点です。



濃昼峠のすぐ上には送電線の塔があり、「眺望良し」の案内に従って登ると絶景が広がっていました。最初の写真は厚田を望んだ風景。そして眼下には現国道がちらりと見えました。残雪のため山道はまだ誰でも歩けるというわけではなく、この風景を風の音を聴きながら一人で満喫することができました。



滝の沢側の山道入口にも濃昼山道の看板があります。駐車は5台程度は可能。



北海道旅情報巻頭  3-9.ぐるり海岸線紀行

残雪の濃昼山道