トーンハレのパイプ・オルガン

 シューマンとリストというロマン派の特にピアノ音楽において大きな功績を残した(もちろんそれだけでは決してないが)二人の、オルガン音楽のCDを手に入れて、それがチューリッヒのトーンハレのオルガンを使って録音されていることに気付き、とても喜んだ次第です。
 何故かというと、私は音楽シーズンにヨーロッパに行くことは無く、いつも夏休みでこれらのホールのオルガンは、まったくの無知の領域にはいるからです。
 したがって、始めての楽器を聞くようにして聞き始めたのですが、まずロベルト・シューマンのOp.56とOp.58、それにOp.60の三曲ですが、ロマン派の恐らく最もロマンティックな部分を持っていた(おそらくそれはショパンよりも強烈だったのではないでしょうか?ショパンはもっと古典的なテクステュアのような気がします)人のオルガン音楽ですから、とても興味深いものでした。
 そのままオーケストレーションしたら面白いような、シューマンのオーケストラ作品をオルガンで(それも大変高性能な!!)聞く趣があります。
 レーベルがエーデルワイスというイタリアのレーベルで、残響というかホール・トーンをとても多く含む録音となっています。
 知らない人に黙って聞かせたら、どこの教会のオルガン?て質問されるでしょうね。

 このオルガンは、NHKホールのオルガンのような最新鋭のパイプ・オルガンのようですが、String管があるようには見えないので、巨大オルガンとは違い、音色の変化も68のレジスターがあるにとどまります。(リストのCDに鍵盤部だけをステージに置いての演奏風景の写真が載っていますが、それはまるでNHKホールでのオルガン・コンサートみたいです)
 CDの同じ部分にトーンハレのオルガンはジャン・ギローによって設計(おそらくは設計上の助言を与えたということなのかなと思うのですが)によると書かれています。制作、設置はイギリスの会社のようです。
 響きは総じて華やかで、当然のことながら、フレージング、アーティキュレーションなどに対する反応がとても良い印象をうけました。
 したがって演奏者の音楽性、技術が厳しく問われるのですが、その点ジャン・ギローらに学んだフランチェスコ・フィノーチの演奏は、充分に満足のいく出来でありました。ブダペストのフランツ・リスト・国際オルガン・コンクールに優勝した彼の、テクニックは勿論のこと、レジストの選択についても極めて的確な判断であると思われます。(当方はオルガンの専門ではないので、少々自信がないのですが)
 私かオーケストレーションするとしたら、こういった音の厚みや音色の対比を選ぶだろうな、と思いながら聞いていました。
 聞き物はシューマンが作ったバッハの名による六つのフーガで、このアイデアはバッハ自身からはじまり、大変多くの作曲家による作品が生まれたのですが、シューマンのアイデアは抜きん出た物で、バッハ自身のものやリストの名曲などと並ぶ傑作なのではないかと考えます。
 リストの方は、バッハのカンタータによる変奏曲なども入っていますが、コンソレーションの1番と4番がオルガンで弾かれているのが、面白かったです。
 変わり種のオルガンのCDですが、シューマンのオルガン曲はあまりCDも出ていませんので(現在国内盤は皆無です)貴重であると思われます。さていかがでしょうか?
 (Edelweiss/ED 1022、ED 1032)