スイスに関する本の紹介 その十三

 小川清美氏による新しいハイキング・ガイドが出ました。早速取り寄せて読んでみたところ、さすがとうならせる内容で、スイス好きの皆さんに大推薦の本でありました。
 山と渓谷社から三分冊で出版されたその本のタイトルは、「ヨーロッパアルプス・ハイキングガイド」というもので、1.グリンデルワルド、2.ツェルマット、3.シャモニというわけで、エンガディン地方が抜けていたり、レマン湖畔や四森林州湖畔が抜けていたり、ローヌの谷奥、アンデルマットから東が無かったりと、まだまだ続刊が望まれます。
 また、ツェルマット周辺の一冊からグレヒェンがなくなったことや、レッチェンタールやツィナール、アローザはどこへ行ったのかと、残念に思う部分もあります。ヴェルヴィエはマルティニーから入るのにシャモニの一冊に収録されているとか、うーんと悩んでしまいそうな部分もあります・・・。

 しかし、アイガー・トレイルのように新しく作られた(整備された)コースやトリフト・ヒュッテを訪ねるコースのように、これまであまり紹介されて来なかったコースも積極的に紹介されているなど、私などはこれを見て、ぜひまた行かなきゃと思ってしまいました。
 以前の書ではもう廃止されたケーブルや、駅などもそのままで、いささかガイドブックとしては情報が古いのが難点であったのですが、そういった最新の情報を取り入れているばかりでなく、いつ取材したかも明らかにしていて、丁寧な作りとなっている点もあげなくてはなりません。
 また距離とコース内容を総合的に判断して、それぞれのコースにグレードが設定されていて、家族連れで私のように大した体力の無い人間にとっては、行くかどうか判断する時の材料としても大変助かります。

 ハイキングは自分の体力としっかりとした計画と準備で楽しむものです。無理をしてはいけないことは当然です。
 最近は上越新幹線に乗ることが多いのですが、列車の中ではストックを持った中高年の方々を多く見かけます。谷川の方や湯沢辺りでとりわけ多く見かけますが、日本の山でも海外の山でも、入念な準備は怠ってはならないことは言うまでもありません。
 スイスのハイキング・コースは道標などがとてもしっかりしているので、歩きやすいことはこの上ないし、森林地帯を歩くことが少なく、見晴らしのいいコースがとても多いので、ある程度の知識(地図がある程度頭に入っている等)があれば、まず迷うということはありません。
 グリンデルワルドのメンリッヒェンという所では日本語の道標があったのには、ホント驚きました。
 しかし、私も夕立に見舞われたことは何度となくありますし、雪に中を歩いた事も(もちろん夏の真っ盛りなのですがね!!)あります。
 歩いていて、途中で喉が乾いて、とても大変な思いをしたことがあります。(水を少ししか持って行かなかったから・・・自業自得というのでしょうね)
 自然を相手の楽しみなのです。もちろん登山のように激しいものでなくとも、無理をせず、謙虚に自然と対峙し、そこで遊ばせてもらうという気持ちを持ち、時に厳しい自然に出会うこともあることを知り、よく準備して出かけましょう。
 そして、その際には、このように優れたハイキング・ガイドを一冊持って行くといいでしょうね。
 スイスでハイキングをと考えておられる向きには、ぜひどうぞ。大推薦のシリーズです。