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スイスのアルバム

ソーリオ編

 ソーリオは、ブレガリアの谷にある、静かな村です。サン・モリッツやシルス・マリアなどの村から、バスでマロヤ峠を下ってブロモントーニョで小さなバスに乗れ変えて行きます。途中には、次のような幻想的な湖水と小さなお城と、遙かな氷河が、優雅で優しい、迫るような激しさや厳しさとは対照的な美しい風景が続きます。
 ちょっとコルヴァッチュに寄ってみましょう。ロープウェイで簡単にここでも万年雪の世界に行けます。
 ロープウェイの途中駅から振り返ると、シルヴァプラナ(なんて優雅な響きでしょう!)の湖からイン川の生まれるマロヤの峠からシルス・マリアの湖の湖面のさざ波まで、そしてサン・モリッツまで見渡せます。ここからハイキングしてロゼック氷河とチェルヴァ氷河の作った谷筋をポントレジーナまで行くこともできます。
 さて、バスはシルス・マリアの香しい村を通り、マロヤ峠に至ります。
 えっ?峠と聞き返したくなるほど、ここまで湖畔の美しい風景の中を通って来ていますが、マロヤを過ぎると急なヘアピンカーブの連続でスゴイ下りになります。なるほど今までが高い所だっただけでなんだと、納得させられます。
 バスはパァーパァーパァーとラッパの音を響かせてどんどん下っていきます。
 途中、ヴィコソプラーノやスタンパといった小さな村を通り過ぎ、ブロモントーニョに着きます。谷筋には、恐らくは通行の検問所の跡らしい石作りの塔がところどころ見られ、この道が古くからの街道筋であったことを彷彿とさせます。
 ブロモントーニョのバス停のすぐそばには石作りのアーチ橋がありました。このあたりでは、ヴィコソプラーノにもあります。イタリア文化の影響を強く感じるところですね。

 ソーリオは、谷底のブロモントーニョから、少し斜面を登ったところにあります。バスを降りると干し草の臭いが、不思議な懐かしさを与えてくれます。
 水場や、旧館をそのまま使ったというホテルなどを散策していると、こういう環境によって、疲れた心に安らぎ落ち着きを取り戻していくことができるような気になってきます。芸術家などの常連が多いというのも頷けます。彼らは、心をすり減らす仕事だから…。

 石葺きの屋根を持つ家並みは、不思議な輝きを持っていて、教会の塔とデリケートに調和しています。

 村に着くと、牧草の香りがします。夏のさなかでした。牛や羊といった家畜は、更に高い山の上で過ごしているのでしょう。そして、村の周りでは、草刈りを家族総出でやっていました。
 ふと、見上げると、セガンティーニの絵の中に出てくる山並みがありました。
 村の中は静かで、どこかですでに知っている風景のように思えてなりませんでした。誰もいない裏通り、でも花が美しく飾られていました。
 村はずれに出ると、きれいに刈り取られた牧草地に道が続いていました。真っ直ぐ行けば、ヴィコソプラーノあたりまで行けると道標にはありました。ベンチに座って、何時間も眺めていたい風景がそこにはありました。
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