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スイスのアルバム

ルツェルン〜旧市街、ムーゼック城壁編

 ルツェルンは、昔々の氷河期には、氷河の下にありました。四森林州湖と呼ばれる湖ももとは氷河が削り取った跡であります。
 まあ、スイスにある多くの湖は、氷河の跡と言ってもいいほどだそうですが、その氷河の底で逆巻く水の流れが作った珍しい渦巻き状の穴が、ルツェルンの氷河公園内にあります。
 フランス革命の末期、ルイ十六世を守って一七九二年八月十日、786人のスイス兵が殺されたことを記念して作られた瀕死のライオン像もすぐそばにあります。

 更に、九月始めには366人が殺されたそうです。
 えっ、なんでスイス人がフランス革命で殺されたのかって?
 スイスはかつて大した作物もとれず、ほとんどが輸入に頼っていた上に、ブルゴーニュの軍隊を破ったスイス軍の勇敢さ、その優秀さ、更に複数の言語に対応できる能力などによってヨーロッパ各国から傭兵として出稼ぎをしていたのであります。
 ナポレオンのロシア遠征で、築かれた累々たる屍の山のほとんどはスイス兵であったことや、今もバチカンの衛兵がスイス人の、それもレッチェンタールとゴムスの谷あたりの若者であることなども知っておくといいでしょう。
 実際、スイス兵は雇い主に対して忠誠を誓い、勇敢で、大変有能であったと言います。

 多くの若者が外国に出稼ぎに行くことで、国内に武装した大きな勢力が作られなかったという外的要因も作用して、スイス国内は、宗教改革の嵐にも比較的平穏に切り抜け、傭兵が稼いだお金を積んで、ベルンやチューリッヒがスイスを金融の国に育て上げたのであります。

 ナポレオンによる一時的なスイス占領の時代の後、ウィーン会議で、スイスの永世中立国としての地位が確定した後も半世紀近く、傭兵の制度は残っていたのだそうです。

 有名なカペレ橋を渡ると、ペータース教会です。(写真右)教会のある広場にはフリチーの噴水があり、広場に面してあるフーク楽器店の前では、ちょっとしたパフォーマンスや演奏がよく行われています。
 ジプシー音楽のグループもなかなかの腕前でしたし、デパートの前で始まったおどけたパフォーマンスも実に楽しいものでした。
 九月始めでしたから、町も観光だけの八月とはちょっと違う表情を見せてくれていたのですが、その中の一コマです。その後、八月の最中に何日も滞在しましたが、こういった光景には出会っていません。
 旧市街は 狭い路地、噴水のある広場、そして壁画のある建物で雰囲気抜群であります。
 もう都合十五泊以上は滞在しましたが、その度に新しい発見がある町であります。写真右はロイス川に近い路地で、フーク楽器店の裏をかつてワーグナーが通った一杯飲み屋「ドベリ」(今は高級中華料理店)に向かう路地です。
 更に写真右はヴァイン・マルクト(ワイン市場?)広場の写真です。(記憶が薄れているので、違っているかも知れません。訂正があればメールにてご教示頂ければ幸いです。)
 ロイス川沿いの高級ホテル(何と四ツ星!!)のデ・バランスです。見事な壁画にこのホテルの格式の高さを感じます。
 お金さえあれば、こんな立派なホテルに泊まるんですがねぇ…。うーん。
 夜ともなれば、ライトアップされた塔がひときわ印象的であります。写真左は、一九九七年に泊まったホテル・シフのベランダから撮ったものですが、湖上での花火大会があった日の市役所の塔であります。
 ルツェルンには、中世の頃、町を守っていた、古い城壁が残っています。写真右は、その城壁を町の外から撮ったものですが、もちろん城壁にあがって散歩することもできます。
 城壁は緑の木々に多くを隠され、町の方からはその城壁にある塔が見えるだけで、よくわからないものですが、歩いてみても、あまり眺望がよくなく、あまりガイドブックに載っていないのも無理はないと思いました。
 しかし、塔に登れば、その素晴らしい風景は充分に満喫できますので、ちょっと違ったルツェルンの表情を楽しみたい向きにはお薦めのスポットです。
 写真右は、その塔からのルツェルンの町と四森林州湖の風景であります。朝靄に霞んでいる遠くの山はリギだったと思いますが、八年も前の写真なのでどうだったか、はっきりしません。
 この城壁には九つの塔が復元されたりして残っているそうですが、中には古いタイプの時計塔もあり、中に入れたりするので、時計塔の中がどうなっているのか興味のある人にとっても面白い所かも知れません。

 城壁からは、シュブロイヤー橋が見下ろせるポイントがあります。

 かつて、オランダの名指揮者メンゲルベルクが指揮者としての最初のポストはここルツェルンの市立管弦楽団でした。そして、ここはワーグナーが住み、トスカニーニやフルトヴェングラーが歩き、ストラビンスキーが楽想を練り、ホロヴィッツが新婚時代を過ごした町でした。
 どうです… いい町でしょ?

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