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スイスのアルバム

グァルダ編

 グァルダというエンガディンの村があります。駅からは見えません。ここからバスで十分というところでしょうか?
 で、接続が良ければいいのですが、悪いとどうしょうもありません。ごらんのように、駅のまわりは本当に何にも無いのです。
 はじめて行った時、次のバスまで30分ほどだったので歩いてみました。が、これが大きな誤りでした。
 道はとんでもなく険しく、細く、道標には30分と書かれていたのですが、どこまで登っても村は見えてきません。遙かにズーシュの村も見えてきました。
 舗装した遠くの道をバスが馴染み深い警笛を鳴らして行きます。「ああ、こんなのだったらあわてずノンビリバスを待てば良かった」と思っても、後の祭りです。
 しかたありません。ゆっくり登ることにしましょう。
 道はいよいよ厳しく、心細くなってきたあたりで、いきなり畑らしきところに出て、そのまま更に登っていくとあっけなく村に着きました。

 あっ銀行と思えば、木造の建物。そう言えば銀行って大体鉄筋コンクリート製ですよね。

 なんだか不思議な世界に迷い込んだみたいで、あちこちキョロキョロしていると、なにやら美味しそうな匂いがしてくました。
 どうも祭りが行われているようです。


 ヴルスト(フランクフルト・ソーセージ)の焼ける匂いが漂ってきます。日本ならソースや醤油の焦げる香りといったところでしょうか?

 あんなに苦労してきたんだからと、自分に言い聞かせ、何のお祭りなのかわからないままに座り込んで、まずは焼きたてのヴルストにビールを一杯。

 空は曇っていたし、暑くもなかったのですが、ちょっとした運動?の後なので、これはご機嫌でした。

 夏のアルプスの楽しみのひとつですね。何が?もちろんビールですよ!

 エンガディンの家々にはいろいろな模様が書かれています。大別すると筆によるものと、スグラフィトという石造りの家の壁を違った色で重ね塗りし、これを細い尖った釘のようなもので削って下地の色を出して描く手法の二つにわかれます。
 圧倒的にスグラフィトの方が多いように私は思うのですが、本当のところはどうなんでしょうねぇ。 
 スグラフィトの絵は、シャフハウゼンの「騎士の家」のように全身に入れ墨をしたような装飾とまた全然違った世界です。
 写真に撮ろうとすると、その淡い色彩になかなかうまく撮れません。露出を何段階かに変えて撮ったものの一部がこれらです。フォトショップでずいぶんトーンを深くしてやっと何となく見えるのですからやっかいです。この日は曇っていたのに。
 多くのテーマはルネッサンス風の模様や唐草模様、中に柱や窓枠を書いている家もあります。
 スグラフィトという技法が成り立つ(原材料は石膏と乳石灰)というのはこの地方が雨が少なく乾燥していることの裏返しでもあるようです。
 村はずれには、教会がありました。村は十八世紀頃の建物が多いと聞きましたが、この教会もそうなんでしょうか?

  ウルスリの鈴という絵本があります。カリジェの名作として名高いこの本の舞台となったのがこのグァルダです。

 どこなんだろうと思うほど谷底から斜面を登ってきたところにある、この十八世紀のままの小さな小さなこの村は、物語の舞台にあまりにもうってつけであります。

 次の二人の男の子はきっとウルスリの末裔なのでしょう。

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