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スイスのアルバム
アンデルマット編その1
 アンデルマットは南にザンクト・ゴットハルト峠を、東にオーバーアルプ峠を、更には四森林州湖に注ぐロイス川が削り取った天下の険、シェレーネン峡谷を北に持つ町であります。
 ザンクト・ゴットハルト峠は、かつてのヨーロッパを南北に貫く最重要な峠道として、そしてスイス建国のきっかけとなったハプスブルク家が目をつけた重要な峠でありました。

 そしてその重要性は今も変わらずゲッシェネンからアイロロへ抜ける山塊を貫くトンネルは、ドイツ語圏からイタリア語圏に抜けるトンネルであり、南北の重要な幹線として一八八〇年に開通、一八八二年からトンネルを通っての列車が走り始めたそうです。写真上のトンネルのゲッシェネン側の入り口の上には、ローマ数字でその年号が刻まれています。
 
とは言え、私には読めませんがねぇ。
 で、そこから支線に乗り換えてシェレーネン峡谷をラック・レールでよじ登って行く途中には、写真右のような大絶壁が左右に迫ってきます。
 昔の旅人は、さぞかしと思います。

 このザンクト・ゴットハルト峠だけが南北をただ一度の上り下りだけで済む峠なのだそうです。オーストリアとイタリアのブレンナー峠やスイスとイタリアを結ぶもうひとつの幹線、シンプロン峠も小さくても、必ずもう一つの峠が待っているのです。
 このことが、中世においてどれだけ重要な軍事的な意味を持ったか想像に難くありません。更にはこの峠を通って栄える地中海と北の大地との交易が生む多大な利益を考えると、ナポレオンならずともここを支配することが、どれだけ重要な戦略的な利点があるか位はわかります。

 この難所に早くから大変な労力を払って橋が架けられたのは、そういった理由からだったのです。

 あまりにも難しい工事だったために悪魔が作ったという伝説まで出来、そのために「悪魔の橋」と呼ばれていますが、列車の車窓から簡単に見ることができます。(写真上、写真左)
 アンデルマットの町は、実に静かで美しい町です。晴れた日に散歩していると、こんな所で住んでいる人たちが心底羨ましく思ってしまいます。

 写真上は、アンデルマットの住宅街の様子です。そして、写真右は、丘の上の白い礼拝堂越しにオーバーアルプ峠の方を撮ったものです。
 スイスでは珍しい、しっかりしたコンクリートの護岸工事をしてある川流れていますが、普通ならは、随分無粋な眺めとなる所ですが、スイスではこんな風景までも、美しくなってしまうのですね。

 近くには小さな町の教会があります。

 この教会は一九九三年に行った時は工事中でどんな教会か、さっぱりわかりませんでしたが、簡素で気品があって、昼下がりに行ったのですが、買い物帰りのおばさんやいろんな人たちが、静かに神に祈りを捧げていました。
 写真上の教会のオルガンは、この教会に合った比較的小さなものでしたが、一度聞いてみたいものだと思っています。
 教会を出てすぐにゲマインデハウス(何と訳せばいいのでしょう。村役場とでも言えばいいのでしょうか?)が白い外壁を真っ青な空にすっくと建っていました。
 こんなに絵になる風景というのも珍しいですね。ちょっと見とれてしまいました。
 ここから少し行くと中心部の「三人の王様・郵便旅館」(ホテル・ドライ・ケーニゲ・ウント・ポスト)の前にでます。ゲーテも泊まったという創業三〇〇年以上の由緒あるホテルで、一九九三年に一泊しましたが、FOのスパイラル線と丘の上の白い礼拝堂が目の前で時折乗馬の練習をやっている所に出ます。
 ちょっとした看板にも歴史があるような気がしてくる良い町だと思いませんか?
 ガイド・ブックでもあまり取り上げられることがない町ですが、ここを通る時はぜひ途中下車してみて下さい。その価値はあると思います。
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