第39回 NIKOREX ZOOM35の分解

(故障内容)シャッターが切れない
(故障原因)シャッターは、シャッター内部の部品の変形


作業時間約6時間

今回は、ズームレンズを初めてレンズシャッター機に搭載したニコレックスズーム35の分解です。分解が非常に複雑なので写真数が少なくなってしまいました。故障原因はシャッタートラブルだったのですがシャッターユニット部を見る為には、後群を全て分解しないとシャッターユニットが現れないというメンテナンス性を無視した構造になっていることに非常にびっくりしました。
写真1は、後群から分解していってシャッターユニットまでたどりつくまでの各分解部品です。1番の難関はヘリコイドブロックを外すことでした。はやりこの部分のネジ込み精度が高い為組み込みに非常に苦労をしました。
写真2は、写真1の拡大図になります。このカメラのシャッター構造は非常に複雑でシャッター分解に関してもかなりハイレベルの分解になります。
写真3は、ミラーユニットの拡大写真です。緑矢印がシャッターチャージのリンクになります。赤矢印はミラー稼動部分になります。この部分の構造は非常に簡単で故障の少ないように作られているのですがミラー上下用のスプリングテンションがものすごく強い為、シャッター本体の部品の変形を引き起こすと思われます。
後ミラー保持部分がユニット化されておらずに簡単なネジ止め構造になっているのでかなりの歪みが出ると思われます。
写真4は、シャッター本体へのリンクになります。緑矢印部分がシャッターチャージ用のレバー黄色矢印がミラー押さえ用レバー、赤矢印がシャッター開放用レバーになります。シャッターユニットがレンズの中群にある為、各レバーの長さは非常に長く部品の変形、位置の歪みなどの故障原因を引き起こすことが多いと思われます。
最後にレンズシャッターにズームレンズを付けたことはすばらしいと思うのですが各部品の構造、強度設計などが信じられないほど悪くはっきり言って故障はさけて通れないカメラであると思いました。いまだにしっかりと動くものは非常に少ないのではないかと思われます。