派遣労働者の個人情報を保護するようにという、労働省の要請書
                  (『がんばってよかった』より)
                        需調発第22号
                        平成5年6月25日

社団法人 日本事務処理サービス協会
 会長    大原慶一 殿

              労働省職業安定局民間需給調整事業室長
                            井原勝介

       派遣労働者の履歴書等の送付について

 貴協会においては、日頃から労働行政の運営について御理解、御協力を
賜るとともに労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の福祉の
増進について御協力頂いていることに感謝申し上げます。
 ところで、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条
件の整備等に関する法律(以下「法」という。)第35条において、派遣
元事業主は、労働者派遣をするときは、当該労働者派遣に係る派遣労働者
の氏名、性別及び年齢を通知することになっていますが、最近、この法の
趣旨が曲解され、営業活動の中で労働者派遣契約前に履歴書を送付し、派
遣先に派遣労働者の選択を行わせている等の事案が多数確認されています。
また、労働者派遣をする際の通知においても、履歴書が送付され、不必要
な個人情報が開示されているため、派遣労働者からの苦情やトラブルの原
因としても大きな問題となっています。
 言うまでもなく、派遣労働者を派遣先に派遣する行為は、派遣元事業主
が行う労働者の配置と位置づけられ、派遣先による書類選考は事前面接と
同様に、派遣先が特定の派遣労働者を指名する行為であり、派遣先と派遣
労働者の間に雇用関係が成立すると判断される可能性が強くなり、このよ
うに判断されれば、職業安定法第44条に規定する労働者供給事業に該当
することとなります。また、労働者派遣契約前はもちろんのこと、法第3
5条に基づき派遣先へ通知をする際にも、労働者派遣契約に定められた業
務遂行に直接関係しない個人情報を不用意に開示することは、派遣労働者
のプライバシーの保護及び人権の擁護という観点からも法第30条の趣旨
に反することになります。
 したがって、このような事案が蔓延することは、労働者派遣事業の適正
な運営の確保や派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを
目的とする法の趣旨を損うものであり、ゆゆしき事態に陥るものと考えて
います。今後、このような事態を招かないよう貴協会加盟の会員各社に対
して、下記の点に留意しつつ法の趣旨に沿った運営に一層努力されるよう
周知をお願いします。


               記

1.労働者派遣契約前に派遣先の確保等の営業活動等を行うに際し、氏名、
 写真、出身地、既婚・未婚の別、生年月日、現住所、電話番号、最終学
 歴、実名の社名を含んだ職務経歴、趣味、家族関係、友人関係等を内容
 とし個人が特定されるような履歴書は用いないこと。

2.法第35条に基づく派遣先への通知の際には、法で定められた事項の
 他は、労働者派遣契約に定められた業務遂行に直接関係のある取得資格、
 技能程度、特技、経験職務(職種)等に限るとともに、派遣労働者の個
 人情報を不用意に開示しないこと。