updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

8020. 外国の労働者派遣の状況や事例は何の目的で紹介されるのですか。日本の法律の枠のなかで考えれば十分ではないでしょうか?
 「現実の日本の法律の枠」そのものが、海外の派遣法との密接な関連で作られ、また変更されようとしているからです。「派遣」そのものが、海外からの輸入であり、日本の法律は海外の派遣の状況をモデルに制定され、運用されているというのが、建て前になっているからです。
 1985年の労働者派遣法制定の有力な理由として、労働省は海外で派遣労働が拡大していることを挙げました。現在も、ILO96号条約(有料職業紹介所条約)の改正が理由となって、日本の労働者派遣法の規制緩和や見直しが進められています。私の意見
 日本の派遣法は、海外の派遣労働法と比較してあまりにも派遣労働者を無権利な状態に放置していることは、派遣に関わる方に是非知っていただきたいと思います。たとえば、フランスの派遣労働法は、派遣労働者が派遣先の正規従業員と同等の待遇を受けることを定めていますが、日本ではどうしてそれが定められないのでしょうか。
 同一労働同一賃金の原則といった労働法の基本原則は、日本だから除外されてよいとは思えません。「派遣労働者は正規従業員よりも安上がりですよ」というのは、日本の派遣業界では「常識」かもしれませんが、「日本の法律の枠」である労働基準法等の基本精神に反するのではないでしょうか。
 現在、経済界や派遣業界からの法改正要求はきわめて強いのですが、外国の労働者派遣制度との格差を一層拡大する方向であり、派遣労働者の地位や権利をいまよりもさらに不利にすることになると思います。国際化時代でもあり、派遣もその新しい時代の雇用形態であるとすれば、国際的に通用する法原則を踏まえて、近代的に事業が展開される必要があるのではないでしょうか。

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