updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

4080. 不当労働行為にはどうすればよいでしょうか
 不当労働行為というのは、労働組合の活動に対する使用者の妨害行為、すなわち、団結活動に対する敵対行為を意味しています。労働組合は、この不当労働行為を違法行為とするとともに、それを類型化して、差別待遇(不利益取扱い)、黄犬契約、団体交渉拒否、支配介入などに分けて禁止しています。
 不当労働行為は、労働者が憲法第28条によって保障された基本的人権である、団結権・団体交渉権・争議権を認めない違法な行為です。労働組合法第7条がこれを具体的に禁止しています。
 労働組合法第7条(不当労働行為の禁止)

  (不当労働行為)  使用者は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。
 一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。但し、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

 二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

 三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

 四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立をしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条第四項の規定による命令に対する再審査の申立をしたこと又は労働委員会がこれらの申立に係る調査若しくは審問をし、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること。


 第7条第1号は、組合活動を理由とする不利益取扱い(差別待遇)を禁止しています。 派遣労働者の場合には、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主についても労働者を指揮命令して、使用者としての立場に立ちますので、派遣労働者を組合活動を理由に差別したり、嫌ったりして不利益な扱いをするときには、どのような場合でも、この規定に違反することになります。
 登録型の派遣労働者の場合でも、組合加入をしている登録者に、仕事のあっ旋をしなかったり、差別的なあっせんをするときには不利益取扱いとなります。また、組合から脱退するとか、組合に加入しなことを条件として、派遣先を紹介するという約束(黄犬契約)も不当労働行為として禁止されます。

 不当労働行為に対する救済

 もし、不当労働行為があったときには、裁判所と労働委員会で使用者の不当労働行為について、それぞれの類型毎に多様な争訟が可能です。

 労働委員会への行政救済の申立て

 万一、派遣労働者が組合活動を理由に解雇されたり、派遣の打ち切りなど不当労働行為があったときには、本人や所属する労働組合が、各都道府県の地方労働委員会に救済を申し立てることができます。
 救済内容としては、解雇など撤回、組合活動への妨害の中止、組合側への謝罪など不当労働行為がなかった原状回復を実現するために必要な措置です。

 裁判所への司法救済の申立て

 他方、不当労働行為に対しては、不利益取扱いや団結権侵害を理由に、不当労働行為の主体である派遣元や派遣先の事業主を相手に、裁判で救済を求めて争うことも可能です。本訴とともに、仮処分を求めることも可能です。


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