updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

4050. 派遣先での労働組合活動はできますか
 派遣労働者も労働組合を結成したり、既存の労働組合に加入し、集団的に労働条件の改善を求めることが可能です。『がんばってよかった 派遣から正社員へ』(かもがわ出版)では、派遣労働者自身が労働組合を作って、自らの地位を改善した事例を集めています。
 日本では、労働組合の活動は、企業の事業所内で行われることが、戦後の確立した考え方になっています。労働組合法は、事業所内に、組合の事務所を設置することなどを予定した規定を置いています。ILO(国際労働機関)も、派遣労働者の結社の自由と団体交渉の権利を重視しており、政府とともに、派遣元・派遣先の使用者の責任を予定しています。他方、ILOは、労働者が事業所内で団結活動をするうえで、便宜供与をされることも予定しています。EU諸国では、共通して、派遣労働者の派遣先での組合活動を重視していると言えます。例えば、イタリアの1997年労働者派遣法では、派遣労働者が派遣先事業所で、全員集会などに派遣先従業員とともに参加する権利を認めています。イタリアやフランスでは、同一労働であれば、派遣労働者でも派遣先従業員であっても、同一の労働条件が適用されるのが当然のこととなっており、産業別全国労働協約が等しく適用されます。派遣労働者は、組合に加入していない未組織労働者であっても、この協約の改善のためのストライキに参加することが権利として認められています。協約闘争の妥結をめぐって職場ごとに批准のための全員集会・全員投票の権利が認められています。この職場での全員集会に派遣労働者も参加する権利がわざわざ確認されているのです。イタリアの派遣労働者は、自らの権利を守るための主体的な活動の権利を手厚く保障されているのです。
 日本でも、派遣労働者には憲法第28条の定める団結権・団体交渉権・争議権が保障されています。イタリアやフランスのように、組合に加入していないときには、こうした権利が行使できない、という問題がありますが、派遣労働者も組合員であれば、派遣先事業場で、この団結権を行使することは当然の権利です。複数の派遣労働者が派遣先で組合に加入して、組合事務所の提供を求めることも十分に考えられることです。
 派遣先事業主が、この派遣労働者の組合活動を嫌って差別的な行為をしたり、団体交渉を拒否したり、組合潰しの行為をすれば、労働組合法第7条で禁止されている不当労働行為の責任を問われることになります。
労働組合法第7条がこれを具体的に禁止しています。
 労働組合法第7条(不当労働行為の禁止)

  (不当労働行為)  使用者は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。
 一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。但し、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

 二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

 三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

 四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立をしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条第四項の規定による命令に対する再審査の申立をしたこと又は労働委員会がこれらの申立に係る調査若しくは審問をし、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること。



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