updated Dec. 11 2000  派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)
 質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3065. フルタイムで働きながら週40時間を超えた派遣

年末年始に単発の派遣の仕事をしたくて派遣会社に登録に行きました。月〜金フルタイムで働いている人は週40時間労働に引っかかるので仕事はできませんと言われました。私の知っている人は、フルタイムで働きながら単発の仕事をやっている人もいます。


 ご相談だけでは事情が詳しく判りませんが、正社員や契約社員などの雇用形態でフルタイムで働きながら、年末年始に単発の派遣の仕事をされようとしているということですね。

 そうしますと、法的には、(1)ご相談のように労働時間との関係での問題と、(2)兼職禁止規定との関係の問題など、いくつか問題となる点があります。

 まず、労働基準法が定める労働時間規制との関係が問題となります。

 登録した派遣会社が指摘したとおり、フルタイムで就労しているときには、1日8時間、1週40時間で働く例が多いと思います。その場合、土、日曜日が休日であるとき、その休日に働くことは原則としてできません。この場合、使用者が異なっても同様です。

 第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
  2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 この場合、1日8時間、1週40時間を超えて働かせることになる使用者(ご相談の場合、単発派遣の派遣先事業主。また派遣元にも責任がないとは言えません)が、労働基準法第32条違反の責任を問われることになります(罰則の適用もあります)。

 したがって、派遣会社の対応は、それなりに筋が通ったものだと思います。あなたの知人で「フルタイムで働きながら単発の仕事をやっている人」の場合、その派遣先や派遣会社が労働基準法違反の責任を問われる可能性があると思います。

 1日8時間、1週40時間は、労働基準法の最低基準で、それ以上働かせない義務を使用者は負担します。たしかに、労働者はこの時間を超えて働くことは禁止されている訳ではありませんが、法的には望ましいとは言えないのです。

 次に、労働時間の制限以内の兼職であっても、フルタイムで働く会社の就業規則などに兼職禁止の規定があれば、それに反する可能性もあります。

 多くの企業では、本来の職務に元気で働けるなどを理由に、労働者が兼職することを禁止したり、企業の承認が必要である旨の規定を就業規則で定めています。

 ご相談だけでは判りませんが、会社の就業規則にそのような兼職関連の規定がないかも確かめておくことが必要だと思います。たしかに、就業時間外は労働者の自由時間ですので、そこまで会社が就業規則で拘束できることにはなりません。ただ、兼職禁止規定は、適当な休養をとることを労働者に求めると言えますので、労働者がそれに反して過労で倒れたとしても会社の責任を問うことは難しくなると言えます。


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