updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3010. 派遣労働者には労働基準法は適用されないと言われましたが、本当ですか?
 派遣労働者にも、労働基準法などの労働法規はすべて適用されます。
 一般の労働者との違いは、派遣労働関係では、使用者の責任が派遣元と派遣先に分れている点です。

 派遣労働者に関する派遣元・派遣先の労働基準法上の責任の配分
事項条文派遣元●派遣先○労働者派遣法・備考
第1章 総則
 均等待遇第3条第44条1項
 男女同一賃金の原則第4条
 強制労働の禁止第5条第44条1項
 中間搾取の排除第6条「何人」にも禁止
 公民権行使の保障第7条第44条2項
第2章 労働契約
第3章 賃金
第4章 労働時間、休憩、休日及び休暇
 労働時間第32条第44条2項・3項
◇変形労働時間第32条の2
第32条の3第44条2項
第32条の4
◇変形労働時間の定め第32条の2
第32条の3第44条2項読替え
第32条の4
 災害時等の時間外及び休日労働第33条第44条2項
 休憩第34条第44条2項・3項
 休日第35条第44条2項・3項
 時間外及び休日の労働第36条第44条2項・3項
 36協定の締結・届出第36条第44条2項読替え
 坑内労働有害業務の時間外労働第36条 但書第44条2項・3項
 時間外、休日及び深夜の割増賃金第37条
 年次有給休暇第39条
 労働時間及び休憩の特例第40条第44条2項・3項 
 適用の除外(監視断続業務の許可を含む)第41条第44条2項
第6章 年少者
 最低年齢第56条
 年少者の証明書第57条
 労働時間及び休日第60条第44条2項
 深夜業第61条第44条2項・3項
 危険有害業務の就業制限第62条第44条2項・3項
 坑内労働の禁止第63条第44条2項・3項
 帰郷旅費第64条
第6章の2 女子
 労働時間及び休日第64条の2第44条2項・3項
 深夜業第64条の3第44条2項・3項
 坑内労働の禁止第64条の4第44条2項・3項
 妊産婦の危険有害業務の就業制限第64条の5第44条2項・3項
 産前産後の休業第65条
 産前産後の時間外労働・休日労働、深夜業第66条第44条2項
 育児時間第67条第44条2項
 生理日の就業が著しく困難な女子に対する措置第68条第44条2項
第7章 技能者の養成
 徒弟の弊害排除第69条第44条1項
 職業訓練に関する特例第70条
 特例の許可第71条
 未成年者の年次有給休暇第72条
第8章 災害補償
第9章 就業規則
第10章 寄宿舎
第11章 監督機関第44条5項
 監督機関に対する申告に対する不利益取扱禁止第104条2項第44条5項
第12章 雑則
 国の援助義務第105条の2第44条5項
 法令規則の周知義務第106条第44条5項
 労働者名簿第107条
 賃金台帳第108条
 記録の保存第109条第44条5項
 報告の義務第110条第44条5項
 国・公共団体への適用第112条第44条5項
第13章 罰則
 罰則第117条〜第120条第44条3項
 両罰規定第121条第44条3項

 労働者派遣法は、労働基準法の定める使用者の責任を派遣元と派遣先に複雑に分けており、そのために、派遣労働者について、誰が労働基準法上の使用者であるかが、判りにくくなっているのです。だからといって、労働基準法の使用者責任が免除されている訳ではありません。労働基準法に違反した使用者については罰則の適用もある点では、派遣労働者も一般の労働者も何の変りもありません。
 とくに、派遣先会社には、派遣元を通じての間接雇用であるということから、労働基準法上の使用者としての自覚が不足している例が多いようです。
 例えば、派遣先で、所定の労働時間を超えた残業を命ずる場合、労働基準法の最低基準である1日8時間、1週40時間を超えて残業(時間外労働)を命ずることは、原則として、労働基準法違反となります。残業を命じた派遣先事業主は、労働基準法違反で処罰されることになります。
 派遣先の事業場で、正社員については、36協定(残業協定)が締結され、労働基準監督署に届出されていたとしても、派遣労働者については、こうした36協定が、派遣元事業場で締結されていることが必要です。そうした協定がないときには、派遣労働者に残業を命じることはできませんし、命じたときには、労働基準法違反の責任が問われることになります。

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