updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2270. 派遣元から「業務確認」ということで派遣先に連れていかれて直接面接を受けましたが、日当はもらえるのでしょうか?  派遣会社は、先方企業と私が直接会って事前の業務の打ち合わせをして欲しいと言ってきました。疑問なのは、その打ち合わせの結果、採用になるかどうかの確約も無いのに、交通費を含め、労力を費やさなければならないということです。派遣会社の担当は、今後も仕事を紹介した際に行う事前の打ち合わせについては、交通費を出さないと言っています。スタッフに営業活動的な事(打ち合わせ)をさせておきながら、交通費も負担しないというのは、この派遣会社だけでしょうか。他の派遣会社もそうならば、それはどうしてでしょうか。
   「この先方企業との事前の業務の打ち合せ」は、労働者派遣法に違反します。
 派遣先による「直接面接」として、労働省も、派遣先による直接雇用に当るものとして禁止しています。
 派遣労働関係の趣旨は、派遣会社が派遣労働者の専門技能を評価して、派遣先に責任をもって派遣することを基本としています。したがって、派遣先が派遣労働者を直接面接したり、その採否を直接決めることは許されていません。
 私のホームページに掲載しておりますが、労働省の通達を参考にして下さい。
 それによれば、派遣先が直接に派遣労働者を採用することになり、職業安定法第44条違反になるとしています。職業安定法第44条では、違法な労働者供給の受け入れも禁止されており、受け入れ側も処罰の対象となります。
 この「直接面接」については、派遣元・派遣先・派遣労働者ともに、違法であるという認識が余りにも弱いのが現実です。是非、直接面接そのものが違法であることをご理解下さい。
 ご相談の趣旨も、こうした「直接面接」にともなう弊害の一つであると言えます。

 「適切に当てはめていくこと」のなかに、派遣先と直接面接することを含めてはならない、というのが労働者派遣法の趣旨です。
 派遣先が直接面接するのなら、派遣元は単なる形骸的存在であって、無用となるからです。
 労働者派遣法では、直接面接は禁止されていますので、そのときの労働者の費用を派遣元が負担するように定める規定は当然のこととしてありません。
 何らかの「契約」が派遣元・労働者の間に成立していると考えられます。
 法的にはこの「契約」に基づいて、派遣先に「直接面接」を受けに行くように、派遣元が労働者に一定の指揮命令をしたと考えれば、「賃金」や作業にともなう「必要経費」に類似したものとして派遣元が負担すべきものと「契約」を解釈することも可能です。
 現実には、ご相談者は、派遣元に対して、違法な行為を指示して経費を出費させたことについて、その経費・日当分などの「損害」を賠償請求する、といった考え方になるかと思います。
 堂々と必要経費(交通費など)と日当分を請求して下さい。
 派遣労働者が弱い立場にあること、労働省が派遣会社・派遣先の横暴を野放しにしていること、派遣労働者を支援する態勢が労働組合をはじめとしてきわめて貧弱なことなどのためです。
 直接面接に類似したものとして、いくつかの派遣会社から労働者を一人ずつ連れてこさせて、派遣先が集団面接するという例まで、ひろがっています。これらも「直接面接」ですので、違法です。
 派遣110番としても、違法な「直接面接」が横行していることに「納得」できません。ご相談の趣旨は、きわめて正当なものです。ご相談者は、違法な派遣元・派遣先の行為の被害者として、損害賠償の権利があります。
 問題の存在を公然化して請求するという姿勢を示せば、派遣元・派遣先は要求に応ずると思います。
 悪質な派遣元・派遣先については、直接面接(職業安定法第44条違反)について刑事罰も予定されています(同法第64条 1年以下の懲役または20万円以下の罰金)ので、警察や検察に対して「刑事告発」をすることも考えられます。
 関連した回答・内容の、次のページも見て下さい。
 2280. 友人は「競合で紹介するのは違法」と言っていましたが? 本当でしょうか。/A>
 
派遣労働者の履歴書等の送付について

目次に戻る
110番の書き込み欄へ