updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2129. 複数の派遣会社に登録はできますか?  派遣会社に登録してもなかなか派遣先を紹介してくれません。仕方がないので、いくつかの派遣会社に登録をしようと思いますが?

 「一般に登録だけでは、派遣元との間に雇用関係は成立しません。数社に登録することは可能です。」と公共職業安定所のHPには記載されています。
 実際にも、登録型の派遣労働者は、いくつかの会社に登録しておいて、仕事の紹介があった派遣元から派遣されるのが一般的なようです。
 しかし、私たち派遣110番は、こうした登録型の労働者派遣は、派遣労働者の権利と身分を弱くし、派遣会社の責任を曖昧にすることから、複数の登録をせざるを得ない現状を望ましいものとは考えていません。
 派遣労働は、常用型と登録型の二種類に分れます。常用型は、一般の労働者と同様に派遣元(派遣会社)と期間を定めない労働契約を結んで雇用されますので、一定の派遣期間ごとにあちこちの派遣先に派遣されますが、派遣期間が終了しても、派遣元との労働契約は続きます。賃金・雇用保障も継続し、社会保険加入、年次有給休暇など継続雇用を前提にする権利も一般の労働者と同様に保障されます。比較的にトラブルが少ない雇用形態です。
 これに対して、登録型は、派遣元(派遣会社)に登録して、派遣先が見つかって派遣就労することになったときに、派遣元と期間を定めた労働契約(有期雇用契約)を締結します。派遣期間の範囲で、派遣元との労働契約の期間になり、派遣が終われば、派遣元との労働契約も終了し、登録状態に戻ることになります(図1参照)。

 派遣元への登録は、賃金や雇用の保障をともないません。実際には、登録をしても派遣就労の紹介をしてくれる保障がないので、派遣労働者のほとんどは、いくつかの派遣会社に同時に登録しています。雇用期間=派遣期間が、短期に断続しますので、社会保険や年次有給休暇などとくに継続雇用を前提にした制度上きわめて不利な扱いを受けることになっています。
 派遣会社によっては、派遣労働者の確保を目的に、次のような派遣と派遣の間にも一定の給与を保障する会社も現れています。

 オムロンパーソネルクリエイツ東京支店、待機・研修中も給与支給――派遣スタッフに。(日経産業新聞98年01月28日)

 オムロンの子会社で、人材派遣業のオムロンパーソネルクリエイツ(京都市、竹内佑一社長)東京支店は、派遣社員が登録してから勤務先が決まるまでの待機・研修期間中も給与(日給五千円)を支払う制度を設けた。パソコンなどOA機器の操作技術などの試験を通じて支給対象者を認定し、優秀なスタッフを確保するのが狙いだ。  同支店では一次試験として、パソコンなどOA機器の取り扱いに関する技能調査や協調性などをみる適性検査、一般常識のテスト、面接を実施する。さらに二次試験としてさらに高度なOA機器の取り扱いに関する技能調査と面接を実施して支給対象者「アルファメイト」を認定、登録する。  認定者には派遣先企業が決まるまで土、日、祝日を除き、日給を支払う。また、認定は一年間有効で、勤務が終了して次の勤務先が決まるまでも支給する。同支店は常時二十―三十人のアルファメイトを確保する考えだ。  人材派遣業界では、派遣社員が複数の企業に登録するのが通例で、優秀なスタッフの獲得競争は激しくなっている。  同支店は「新制度を通じて少しでも派遣社員に(同支店に)専属している意識を持たせたい」と話している。


 テンプスタッフの個人情報盗難事件では、登録型派遣労働者の置かれている地位が余りにも弱いこと、派遣会社の無責任ぶりが明らかになりました。

 当面は、
等が必要だと考えられます。
 したがって、複数の派遣会社に登録することは、一般的ではありますが、登録する以上は、その派遣会社に、派遣就労をあっせんするように強く求めて下さい。

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