updated Sept. 10 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2130. 派遣会社に登録をしましたが、1ヶ月待っていても返事が来ません。使ってくれるにはどうすればよいのでしょうか。もう待てません。?
 

 法的には、派遣会社には「派遣就労あっ旋義務」があると考えられます。労働者派遣事業の許可や届出の要件としては、派遣先を確保する見込みがあることが求められています。また、登録のときに、派遣会社は、一定の求人の見込みを前提にして登録を募ることが必要です。紹介の見込みもないのに、登録だけを募るのであれば、労働者の貴重な個人情報を預かる訳ですので、紹介の可能性があまりないことを事前に知らせて、労働者がその派遣会社に個人情報を託するべきか否かの判断材料を示すべきです。あたかもすぐに仕事があるかのように宣伝し、登録をさせておいて放置することは、信義誠実に欠けた態度と言わなければなりません。
 派遣会社は、こうした「派遣就労あっ旋義務」までは法的にはない、という無責任な対応をするかもしれません。また、別の派遣会社にも登録したらどうか、などいい加減な対応をするかもしれません。これまでの相談でも、そうした対応に対する怒りの訴えがありました。
 それでは、最初から、「この派遣会社に登録すれば、どれくらいの割合で仕事を紹介できるか」を登録前に知らせるべきだと思います。派遣会社はたしかに民間の営利事業ですが、労働者を甘い言葉だけで登録だけさせておいて、仕事を紹介する努力をしないのであれば、双務的な関係とは言えません。
 労働者が登録をするのに対して、派遣会社が仕事を見つけることは派遣登録契約に基づく、派遣会社の義務と考えるのが素直な解釈です。派遣会社は、おそらく、登録は労働者の勝手、派遣会社が仕事を見つけて紹介するのも勝手、という求職者に法的な責任を負わないという立場ではないかと推測します。私はそれは通らないと考えます。労働者に登録させる際に、派遣会社は「派遣就労あっ旋義務」を負担していると考えるべきです。この点の自覚や責任感がなければ、派遣会社は、何時までも社会的に尊敬ある地位を獲得することができないと思います。無責任な企業であれば、それだけの信頼しかないからです。労働者派遣法が、そんな無責任な企業でもよいという立場で労働者派遣事業制度を導入したとは考えられません。

 法的な義務の存在についての議論はありますが、実際的な問題です。
実際には、登録した労働者の2割程度しか、実際には稼働していない、といった会社もあります。
 実際的な結論は、「待っている」だけだではダメだということです。
 毎日のように、派遣会社におしかけて、何故、紹介をしないのか、窓口で紹介を迫ることです。
 できれば、派遣会社よりも、公共職業安定所に求職をすることを勧めます。
 雇用状況が厳しくて公共職業安定所に多くの労働者が列をなしています。派遣会社と違って、公共職業安定所は、実際の仕事がないことは別ですが、営利を目的にしていませんので、利益にならないからと労働者を勝手に選別して放置することはできません。
 また、派遣会社とちがって、公共職業安定所では職業能力開発などの機関との連携もはかっています。とくに雇用保険の被保険者であれば、入学や手当などの優先や特典も受けられます。
 派遣会社のように派手な宣伝はしませんが、地味ながら、公共職業安定所は、すべての労働者の雇用を本当に守るべき役割を担っていることをご理解下さい。
 そして、公共職業安定所でも、毎日のように通って求職の熱意を示すことが必要です。


目次に戻る
110番の書き込み欄へ