Contingent Workers' rights in Korea 韓国の非正規雇用・派遣労働者の権利をめぐる取り組み


特別声明「不法派遣の根絶と派遣労働者の正規職化を要求する」

 われわれは、派遣法施行2年になる時点で、不法派遣労働と派遣労働者の雇用不安が広がっていることに憂慮を禁じ得ない。
 政府は、「中間搾取の雇用慣行の固定化をもたらす」という労働・市民社会団体の反対にも かかわらず、「派遣労働者を保護して専門業務担当者の需給を円滑にする」という名分で派遣制度を導入した。
 しかし、現行派遣法は法施行以前から約20余万に達する不法派遣労働を根絶するための対案を持つことができず、むしろ、派遣事業主の中間搾取を容認して便法的な派遣労働を量産してしまった.
 とくに、来る7月から2年の派遣期間満了に際して、派遣制を不法・便法的に悪用する事例が急増している。
 その例として2年間、派遣労働者を使用しても正規職雇用を拒否したり、派遣業者を交替する方法で、既存の派遣労働者を事実上解雇する事例、派遣労働者を正規職でない偽装請負または契約職に転換する事例等、窮極的に派遣先事業主らは雇用義務を回避して、低賃金の労働力を継続的に使用するために、派遣労働を便法的に濫用している。
 すなわち、派遣法の施行は、多様な不法派遣労働を助長しているのが現実である。
 こういった派遣労働者らの実態は、派遣労働の常時的な使用を制限して派遣労働者の正規職化を図ろうという派遣法第6条第3項の趣旨に正面から背反することになる。
 さらに、使用者らは、派遣期間制限規定の弱点を利用して、常時的派遣を容認してくれと派遣法改悪を躊躇なく主張している。
 非正規労働者の数が、全労働者の半分を超えた現時点で、再び派遣労働を制限なしに許容 してくれという使用者側の主張は非難を受けて当然である。
 「非正規労働者の基本権保障と差別撤廃のための共同対策委員会」は、次の通り、不法中間搾取と派遣労働者の雇用不安を引き起こす派遣制度の根本的是正を要求する。
 まず、財界は常時的に使用してきた派遣労働者を直接正規職に雇用する一方、現行法の弱点を利用して派遣労働者等の雇用不安を助長して派遣法を改悪しようという試みを即刻中断せよ。
 第二に、政府は、派遣労働者の正規職化を図り、派遣労働の濫用を助長する募集型・登録型の派遣事業を根絶するための対策を早急に用意せよ。
 第三に、政府は26の派遣勤労対象業務中、単純・労務職での派遣労働を禁止し、製造業生産職及び偽装請負形態の不法派遣行為に対する徹底した捜査と厳正な法執行を断行せよ。
 第四に、政府は、派遣事業主等の派遣労働者に対する中間搾取を根絶して同一労働同一賃金原則を確立する等の差別撤廃のための立法を即刻断行せよ。
 非正規職 共同対策委員会は、派遣法施行2年を控えて、政府と企業が違法派遣労働と彼らの正規職化のための措置をどのように講ずるのか監視する一方、不法事例に対する告訴・告発闘争を展開することになるだろう。
 また、われわれは、派遣業者の中間搾取慣行と派遣労働者の雇用不安が根本的に解消されるときまで、派遣労働の不法慣行を正すために共同闘争を行うことになるだろう。

2000年 6月26日         
非正規労働者の基本権保障と差別撤廃のための共同対策委員会          
 「非正規労働者の基本権保障と差別撤廃のための共同対策委員会」には、労働組合(民主労総、韓国労総)、民主弁護士会(民弁)など法律家団体、韓国非正規労働センターのほか、いくつかの市民、女性、青年団体が幅広く結集しており、5月9日から、会議を重ねてきたということです。詳しくは、経過報告参照。以上の特別声明は、民主労総のインターネットホームページに掲載されているものを、脇田が翻訳したものです(文責 脇田滋)。まだ、ハングルに慣れていませんので、誤訳もあるかもしれません。できれば、原文も参照して下さい。


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